AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

宮崎美子ファーストアルバム『MELLOW』を聴く。(ときめき研究家)

2022-01-31 22:49:27 | ときめき研究家
中古CDショップで見つけて購入し、久しぶりに聴いた。1981年発売のアルバムで、もちろん当時はレコードしかなかった。レンタルレコードかFMエアチェックでカセットテープに録音して、私は結構気に入って聴いていた。今回入手したCDは2015年に復刻発売されたものだった。
1980年に週刊朝日の表紙に登場、ミノルタのテレビCMで人気沸騰した熊本大学の学生宮崎美子は、民放の昼ドラマの主役に抜擢され芸能界入りした。還暦を過ぎた現在も、ドラマやバラエティー、クイズ番組等で活躍中だ。数年前には久々のビキニ姿を披露して話題になった。
そして、彼女は1981年に歌手としてもデビューしている。シングルデビュー曲『NO RETURN』を含む全10曲のアルバムは、多彩なミュージシャンが楽曲提供をしており、個性的なアルバムだった。
同時期に発売された伊藤つかさのアルバムも、ニューミュージックのミュージシャンたちの作品で構成されていて、同じような作りだった。本業のアイドル歌手が職業作詞家、作曲家の作品でヒットを狙ったシングルやアルバムを発売していたのに対し、ヒットしなくても構わない女優の余技として作られた「遊び心」のある作品だったのだと思う。
作曲者で言えば、松任谷由実が2曲。八神純子、渡辺真知子、坂本龍一、吉田拓郎、南佳孝、鈴木慶一が1曲ずつ書いている。あと2曲は田中弥生(彼女のことはよく知らない)で、計10曲だ。

今回久しぶりに聴いて、声が現在の宮崎の声とほとんど同じなのに、びっくりした。現在でもテレビで彼女をよく見るからなのかもしれない。還暦を超えた現在の彼女が、40年前にタイムトリップして録音したのではないかと錯覚する。それくらい声が変わっていないのだ。言い換えるなら、20歳そこそこの当時から、落ち着いた大人っぽい声だったと言える。既存アイドルのような、若々しく華のある歌声ではない。少し野暮ったい、洗練されない声。素人っぽい歌唱。でもそれが彼女の魅力でもあった。

1曲目の『夕闇をひとり』は、ユーミン独特のアンニュイな曲調が歌手に合っていない気がする。もう1曲のユーミン作品『とまどい』の方は、のびやかに声を出せる曲で、宮崎にも歌いこなせている。歌詞の世界観も似合っている。
シングル曲『NO RETURN』は八神純子作品。シングルらしいキャッチーなメロディーが耳に残る。ファルセットは少し苦しそう。
『オルゴールの恋歌』は、渡辺真知子がデビュー前に作っていた作品らしい。素朴なメロディーだが、丁寧に歌う宮崎の歌唱によく合っている。
坂本龍一の『今は平気よ』は独特のテクノポップ。当時流行していた。
『嫌いですか』は一聴してわかる吉田拓郎ぶし。吉田拓郎は宮崎を気に入っていたのか、彼女の主演ドラマ『元気です』の主題歌も作り、自ら歌っていた。

そもそもアルバムタイトル『MELLOW』がしっくり来ない。宮崎の歌唱のイメージは、メロウと言うよりナチュラル、ワイルドだろう。『ワイルドハネムーン』という曲も収録されているくらいだ。
そういうちぐはぐさも含め、「遊び心」溢れる貴重なアルバムだと言える。
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NGT48『ポンコツな君が好きだ』とカップリング曲を聴く。(ときめき研究家)

2022-01-23 15:36:23 | ときめき研究家
『ポンコツな君が好きだ』。
AKBグループにおいて「ポンコツ」と言えば島崎遥香の代名詞だったが、彼女が卒業してもう6年経った。NGT48のシングル曲タイトルにその言葉を使ってもいいのだろう。むしろ色々あったNGT48というチームを自虐的に「ポンコツ」と呼び、逆説的に「ポンコツな君が好きだ」「守ってあげたくなる」というコンセプトで1曲仕上げた秋元康のプロデュース力はさすがだ。
そんな穿った見方をしなくても、楽曲としてよくまとまった、楽しい曲に出来上がっていると思う。
曲調もアップテンポでアイドルらしい。一風変わった相手を好きになるシリーズでは『逆転王子様』『ドリアン少年』『あばたもえくぼはふくはうち』『ゴルゴンゾーラ』などと同系統だ。

しかし、部活動のマネージャーで合宿の日を1週間間違うとは、ポンコツと言うより不注意、怠慢の類だろう。それでも大して落ち込むことなくケロリとしている彼女の大らかさが好きだと歌っているが、好きなら何でも許せるという境地なのだろう。しかし、「言われたことを言われたとおりにやる」普通の人よりも「自由」で「器が大きい」とまで言っているのは、櫻坂46的なプロテストソング要素まで狙っているのか?
それはさすがに考えすぎか。そもそも体制に反抗したいのなら、部活のマネージャーなどはやらないだろう。

『私が一番言いたかったこと』。
荻野由佳の卒業ソングのようだ。卒業ソングを与えられ送り出されるのは、相応の貢献が認められている証拠なのだろう。
色んな騒動があって、その後はコロナの影響を受け、満足できる活動ができたのか、そして納得できる日々だったのか、思い残すことや後悔はないのか、それは彼女自身にしかわからない。
楽曲としては、ソロパートもなく淡々としているが、しんみりとした気分になる、卒業ソングらしい良い曲だ。

『僕らのトチオンガー』。
「トチオンガー」とは何?と疑問に思ったが、新潟のご当地ヒーローらしい。番組の主題歌か何かだろう。
サビの「トチオンガーが・・・」の「トチ」が弱起になっているので聞き取りにくいのは、主題歌としてどうなのだろうか?

『情熱の電源』。
カップリング曲ではこの曲が一番気に入った。
歌詞はわかりやすい。廃棄された冷蔵庫の中で腐ってしまった誰かの夢。自分は腐らせることなく、いつまでも夢や情熱を持ち続けていたい。そういう歌詞だ。
秋元康が、ある時は「心のロッカー」と呼び、ある時は「一番好きだったはずの小説」と呼び、ある時は「出しっぱなしの水道」と呼ぶもの。彼は一貫して若いアイドルたちにそれを歌わせてきた。
年を取って気が付けばいつの間にか劣化したり失われてしまっているもの。でも完全に消え去っているわけではない。心の奥底に眠っていて、何かの拍子にふと蘇ることもあるのだ。そのことをこの曲では「忘却は思い出のサーモスタット」と表現している。そして、完全に消え去ってしまわないためには、電源だけは繋いでおかなければならない。日頃は動いていないようでも、密かに充電をしておく必要がある。秋元康にとって若いアイドルに詞を書くという行為がその充電に当たるのかもしれない。それでは彼が書いた楽曲を聴き、こうして拙い文章を書くことが私にとって充電になっているのかどうか、それは半信半疑である。
この曲では、最後に「青春のエネルギー」とあまりに直接的な言葉で答えを書いている。私には蛇足に思えるが、この一言で腑に落ちる若者も多いのだろう。
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乃木坂46ベストアルバム『Time files』の新曲を聴く。生田絵梨花『歳月の轍』は端正な卒業ソング。(ときめき研究家)

2022-01-10 15:09:19 | ときめき研究家
乃木坂46の10周年記念ベストアルバム『Time Files』が発売された。配信で新曲5曲だけを購入した。力の入った曲ぞろいだった。

『歳月の轍』。
その中でも、生田絵梨花のソロ曲『歳月の轍』はしみじみと心に残る曲だ。グループを卒業する彼女の卒業ソングと言えるだろう。
生田絵梨花のソロ曲と言えば『あなたのために弾きたい』は至高の名曲だった。彼女の幼い頃からの歩みを総括したような内容で、1編の短編小説を読んでいるような深い味わいがあった。それが7年前。その曲に雰囲気がよく似ている。ピアノの弾き語りのように静かに始まり(おそらくピアノも生田自身が弾いていると思う)、徐々に他の楽器も加わり盛り上がっていく構成も似ている。

7年の歳月を経て発表された今回の『歳月の轍』は、彼女の乃木坂46における10年を総括するような内容だ。と言っても、普遍性のない楽屋落ちソングではない。何かに懸命に打ち込んだ青春時代に別れを告げるという普遍的な歌となっている。「坂を登って」という歌詞はさりげなく織り込まれているが・・・。
彼女の卒業の景色は桜吹雪ではない。一面の雪景色だ。真っ白なその光景は、無垢な彼女自身のイメージにも似合っている。
端正な歌い方は7年前と全く変わっていない。艶とか媚とか甘さがなく、音楽そのものに誠実に向き合っているような凛とした歌唱。そしてそれは彼女の生き方そのものを反映しているのではないかとすら思わせる。

乃木坂46在籍中から多くのミュージカルに出演する等、活躍していた彼女のことなので、今後も一層の活躍を見せるのだろう。AKBグループ、坂道グループの卒業生の進路としては、女優かバラエティーというのが相場だが、彼女の場合はミュージカルという舞台中心の独自の道を歩むこととなるだろう。成功を祈る。

『あなたからの卒業』。
真内眞衣のソロ曲。彼女も卒業するとのことで、卒業ソングなのだろう。恋人との別れを卒業に擬して歌っているような歌詞だが、あながちそうとも言い切れない。自分を守ってくれていた存在からの自立を歌っていて、グループからの卒業のことも意味しているのだろう。「あなた」とは、恋人でもあり、乃木坂の仲間たちでもあり、ファンでもあるのだろう。
ミディアムテンポで、デリケートな音階が続く曲調は、歌うのが難しそうだ。大人びた感じがする。

『Hard to say』。
彼氏に嫌われたくないから、言いたいことも我慢して素直ないい娘を演じているという歌詞。言いたいこととは、彼の浮気疑惑のようだ。問い詰めたいが嫉妬深く思われたくないからスルーする、気弱で慎み深い女性の葛藤を歌っている。櫻坂46ではありえない歌詞だ。
アップテンポな曲調が歌詞とアンバランスなところが効果的。歌詞といい曲調といい、酒井法子『幸福なんてほしくないわ』を思い出す。その歌では、最後にデート中の車から降りてしまうのだが・・・。

『最後のTight Hug』。
半年前に別れた元カノに呼び出されて「結婚する」と聞かされ、惜しくなり、激しく後悔している未練がましい歌だ。後悔するくらいだったら別れなければよかったのにと思うが、失ってみて初めて大切さに気付くのはよくある話だ。
かける言葉がなくて、彼はただきつく抱き締めた。されるがままにされている彼女の気持ちも図りかねる。彼女の方にもまだ好きな気持ちは残っているようで、彼女もまた踏ん切りをつけたいのかもしれない。それとも「結婚するな」と止めてほしいのか。それは聴き手の解釈に委ねられる。いずれにしても、お互い嫌いになって別れた訳ではないのだろう。この2人の関係は『11月のアンクレット』の2人のそれと似ている。
冷めてしまったカフェラテが良い小道具になっている。冷めても捨てられない思い出の象徴だ。冷めてしまったことは事実、それでも最後まで恋の余韻を味わいたい、そんな気持ちなのだと私は解釈した。
ノスタルジックな曲調も心地よく、別れの曲なのに穏やかな気持ちになる。

『ゆっくりと咲く花』。
今回のベストアルバムのテーマソングと言うべき楽曲だろう。
不安で眠れない日々を過ごしながら、10年の歳月を経て、乃木坂らしい花を咲かせることができたという内容。しみじみとした歌唱が心に残る。何回も聴き続けたいような曲だ。
AKBグループの「公式ライバル」として作られ、最初は『会いたかったかもしれない』とかいう安易な歌を与えられていた。秋元康としては、分散投資、リスクヘッジのつもりだったのかもしれず、またその思惑通りに人気がシフトした感がある。しかし、彼女たちは、そうした思惑とは関わりなく、ゆっくりと自分たちの歩みを進めてきた。その歩みを歌にしたような楽曲で、それを作詞している秋元康のしたり顔も目に浮かぶが、ここは見事としか言いようがない。
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2021年紅白歌合戦の感想など。(ときめき研究家)

2022-01-03 15:05:39 | ときめき研究家
2021年の大晦日もNHK紅白歌合戦を観た。印象に残った場面を記す。

乃木坂46の『きっかけ』は、出場7回目にして初めての「その年リリースしたシングル曲」以外の選曲だった。大物歌手ではよくあることだが、アイドルグループとしては異例なことだった。「その年リリースしたシングル曲」は『僕は僕を好きになる』『ごめんねFingers crossed』『君に叱られた』と3曲もあったのだし、櫻坂46も日向坂46も「その年リリースしたシングル曲」から選んでいた。
このことから言えるのは、乃木坂46は既に「自分たちが歌いたい歌」または「視聴者が聴きたい(とNHKが推察する)歌」を歌わせてもらえる大物歌手になったということだろう。そう言えば、AKB48も出演した2年前、3年前は「その年リリースしたシングル曲」以外の選曲だった。
『きっかけ』は、ファン人気も高い曲らしいし、今回はピアノを弾いた生田絵梨花の最後のステージとしての演出にふさわしい楽曲だったのだと思う。歌詞も、交差点の信号といった日常的な事象から少し理屈っぽく人生を語る、いかにも乃木坂らしい歌詞だ。激しいダンスがない分、おそらく全曲生歌唱で、多少の乱れはあったものの私は良いと思った。乃木坂らしい「静かな決心」みたいなものが感じられた。

三山ひろし歌唱時の「けん玉ギネスに挑戦」は、本当にもうやめたほうがいいと思う。けん玉が気になってゆっくり歌を聴けず、三山の歌唱が「ギネス挑戦のBGM」扱いに成り下がっている。古い例で恐縮だが、「芸能人水泳大会」で競技中に歌う新人歌手の扱いだ。
三山自身が、そういう扱いでもいいから紅白に毎年出演したいのかもしれないが・・・。

KAT-TUNがデビュー15年目で初出場だった。ジャニーズ事務所の「枠」があって、先輩グループの出演が固定化され、有力後輩グループにも席を譲らねばならなかったとか、事情はあったのだろうが、紅白に関してだけ言えば不遇なグループだった。その間に6人だったメンバーは3人になった。かつてメンバーだった3人に向けてもメッセージを口にしていたのはグッと来た。
歌った『Real Face』は改めていい曲だと思った。新人アイドルのデビュー曲として非常に高度だし、歌詞のメッセージも強い。少年隊の『仮面舞踏会』やKinki Kidsの『ガラスの少年』に匹敵する名曲だ。
15年目の紅白初出場で、彼らは「リアルを手に入れた」のだと思う。

薬師丸ひろ子の『Woman-Wの悲劇より-』は、時代を超えて益々評価が高まっている名曲だ。今回は大幅にアレンジを変え、フルオーケストラと松任谷正隆のピアノで、堂々と歌い上げていた。相変わらず歌は上手い。近年は映画やドラマでの活躍も多く、主役しか演じなかった角川映画時代とは違った存在感を示している。

出演を辞退した松田聖子について。
不幸な出来事があって、本人が辞退を決めたことなので、周囲はそれを受け入れるだけだ。放送では彼女について一切言及がなかったが、それでよかったと思う。
年末、出演するかしないか未定だった時に、ネットへの書き込みで「辞退したほうがいい」「いや、松田聖子なら出演するのでは」といった様々な意見を目にした。友人同士での噂話なら別だが、世界中の人、そして松田聖子の関係者や本人も見るかもしれない場所に、一個人の意見を書き込むことには疑問がある。
作品やパフォーマンスへの感想、意見、評論なら大いに書いていいと思うし、私も書いているが、プライベートな個人の価値観に係ることは、そっとしておいてあげるべきだろう。
時が経ち、悲しみが徐々に和らいでいけば、2022年の紅白ではまた彼女の歌声が聴けるだろう。


2015年紅白歌合戦の感想 
2016年紅白歌合戦の感想 
2017年紅白歌合戦の感想 
2018年紅白歌合戦の感想 
2019年紅白歌合戦の感想 
2020年紅白歌合戦の感想 

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