HKT48の新曲は、良く言えば正攻法、悪く言えばありきたりな曲だ。
ありきたりが悪いわけではない。同じようなテーマを手変え品替え歌っているのがアイドルポップであって、ありきたりの中にどんな工夫があるのかが重要だ。
歌詞の内容は、早く夏になれば君を誘って海に行きたいという妄想を歌っていて、AKBグループでは何度も歌われてきたような片思いソングだ。
君を誘って行きたいと歌っているのは「天国に一番近いあの海」だ。それはニューカレドニアのことではなく、自分の思い通りに彼女といちゃつける妄想の中の海だろう。『ポニーテールとシュシュ』や『Everyday、カチューシャ』で想像の翼を広げた、あの「楽園」という意味だ。そこでは、片思いの彼女に対しても恋人として堂々とふるまえる。
歌詞を最初から見ていく。
「太陽を急がせろ」とは、季節はゆっくり来てほしいと歌った『春はどこから来るのか?』とは反対のアプローチ。太陽がドアをノックしているという『太陽ノック』と似たレトリックだ。
「雨が」「止んで」「雲が」「切れて」という掛け合いが、はやる気持ちを表していて秀逸。
「Hey Hey Hey」は『完璧ぐーのね』と同じ掛け声。
「パラソルを開いた」カフェは、『11月のアンクレット』ではテントを畳んでいたカフェかもしれない。
「ノースリーブ着替えた頃」とは初夏の季語のようなもので、『ポニーテールとシュシュ』の「衣替え」、『Everyday、カチューシャ』の「Tシャツに着替えて」、『君の名は希望』の「夏の服に着替えた」など事例豊富だ。
「蝉」も『前のめり』、『友達のままで』、『青空カフェ』など頻出アイテム。
「ためらってる時間はないよ」のメロディーが本作の聴きどころだろう。
1曲を通して癖のないメロディーが続く中、ここだけ、砂利道をバスが走っていて上下に大きく揺れるようなゴツゴツした感じがして印象に残る。
「ため・らっ・て・る じ・かん・は・ない・よ」と、1音に1音節がきれいに乗っている。
ところが2番の歌詞「考えてる猶予はないよ」は強引過ぎていただけない。
「かん・がえ・て・る ゆぅ・よぅ・は・ない・よ」と無理やり当てはめて歌っているが、砂利道バスの心地よいリズムが失われている。素直に「迷ってる余裕はないよ」だったらしっくり来たはずなのに、わざと外しているとしか思えない。ちょっと凝り過ぎだと私には思える。
そういう「字余り」を無理やり歌うことを面白いと感じる人もいるだろうから、ここは賛否両論あるだろう。
2番の歌詞には他にも聴きどころがある。
「どんな水着着替えるのかな でも誰にも見せたくないよ」の部分。彼女の水着姿を想像して興奮しつつも、自分だけで独占したいという欲望を隠さない。一体どんな水着を想像しているのやら。
水着に着替えるのは小泉今日子『渚のはいから人魚』では停めた車の影、『波音のオルゴール』ではコインシャワー、『ガールズルール』ではバスの中。
水着の妄想事例は松浦亜弥『Yeah!めっちゃホリディ』の「すんげぇ水着」など、『素敵な罪悪感』に関する記事で紹介した。
「夕暮れがやって来るまで眠ろう」とは大胆な誘い。夕暮れに何をするつもりなのか。砂浜で眠るのは、吹田明日香『バ・ケー・ショ・ン』の「眠くなりそう恋してるのに」を思い出す。
2番の最後「情熱は誰んだー」は「カレンダー」の駄洒落。大塚商会のCM並みの寒い駄洒落だが、歌詞だと許される。
上記のような聴きどころが盛り沢山で、もちろんそんな細かなことは気にせず、ゴキゲンな初夏の歌としても楽しめる、いい曲だと思う。
AKB48本体シングルでは難しくなった直球勝負を挑んでいて、好ましい。
ありきたりが悪いわけではない。同じようなテーマを手変え品替え歌っているのがアイドルポップであって、ありきたりの中にどんな工夫があるのかが重要だ。
歌詞の内容は、早く夏になれば君を誘って海に行きたいという妄想を歌っていて、AKBグループでは何度も歌われてきたような片思いソングだ。
君を誘って行きたいと歌っているのは「天国に一番近いあの海」だ。それはニューカレドニアのことではなく、自分の思い通りに彼女といちゃつける妄想の中の海だろう。『ポニーテールとシュシュ』や『Everyday、カチューシャ』で想像の翼を広げた、あの「楽園」という意味だ。そこでは、片思いの彼女に対しても恋人として堂々とふるまえる。
歌詞を最初から見ていく。
「太陽を急がせろ」とは、季節はゆっくり来てほしいと歌った『春はどこから来るのか?』とは反対のアプローチ。太陽がドアをノックしているという『太陽ノック』と似たレトリックだ。
「雨が」「止んで」「雲が」「切れて」という掛け合いが、はやる気持ちを表していて秀逸。
「Hey Hey Hey」は『完璧ぐーのね』と同じ掛け声。
「パラソルを開いた」カフェは、『11月のアンクレット』ではテントを畳んでいたカフェかもしれない。
「ノースリーブ着替えた頃」とは初夏の季語のようなもので、『ポニーテールとシュシュ』の「衣替え」、『Everyday、カチューシャ』の「Tシャツに着替えて」、『君の名は希望』の「夏の服に着替えた」など事例豊富だ。
「蝉」も『前のめり』、『友達のままで』、『青空カフェ』など頻出アイテム。
「ためらってる時間はないよ」のメロディーが本作の聴きどころだろう。
1曲を通して癖のないメロディーが続く中、ここだけ、砂利道をバスが走っていて上下に大きく揺れるようなゴツゴツした感じがして印象に残る。
「ため・らっ・て・る じ・かん・は・ない・よ」と、1音に1音節がきれいに乗っている。
ところが2番の歌詞「考えてる猶予はないよ」は強引過ぎていただけない。
「かん・がえ・て・る ゆぅ・よぅ・は・ない・よ」と無理やり当てはめて歌っているが、砂利道バスの心地よいリズムが失われている。素直に「迷ってる余裕はないよ」だったらしっくり来たはずなのに、わざと外しているとしか思えない。ちょっと凝り過ぎだと私には思える。
そういう「字余り」を無理やり歌うことを面白いと感じる人もいるだろうから、ここは賛否両論あるだろう。
2番の歌詞には他にも聴きどころがある。
「どんな水着着替えるのかな でも誰にも見せたくないよ」の部分。彼女の水着姿を想像して興奮しつつも、自分だけで独占したいという欲望を隠さない。一体どんな水着を想像しているのやら。
水着に着替えるのは小泉今日子『渚のはいから人魚』では停めた車の影、『波音のオルゴール』ではコインシャワー、『ガールズルール』ではバスの中。
水着の妄想事例は松浦亜弥『Yeah!めっちゃホリディ』の「すんげぇ水着」など、『素敵な罪悪感』に関する記事で紹介した。
「夕暮れがやって来るまで眠ろう」とは大胆な誘い。夕暮れに何をするつもりなのか。砂浜で眠るのは、吹田明日香『バ・ケー・ショ・ン』の「眠くなりそう恋してるのに」を思い出す。
2番の最後「情熱は誰んだー」は「カレンダー」の駄洒落。大塚商会のCM並みの寒い駄洒落だが、歌詞だと許される。
上記のような聴きどころが盛り沢山で、もちろんそんな細かなことは気にせず、ゴキゲンな初夏の歌としても楽しめる、いい曲だと思う。
AKB48本体シングルでは難しくなった直球勝負を挑んでいて、好ましい。