例の件で,衛生基準を満たして生肉提供できていたところはあまりなさそうであるということ:
読売新聞 牛肉生食 不適合99%…都内の飲食店調査 2011年6月9日
「都は7日、生食用の食肉を扱う飲食店842店のうち、約8割にあたる661店が厚生労働省の衛生基準を満たしていなかったと発表した。都によると、牛肉を扱う439店に限れば、基準を満たしたのは2店だけだった」
「その結果、馬肉を扱う飲食店では4割超が国の基準に適合していたものの、牛肉では99・5%の店舗が不適合だった。また牛肉を扱うほとんどの店で、生食用ではない原料肉を仕入れ、加工するなどして提供していた」
馬肉側の基準適合率が良いのは注意点。
生食用でない原料肉を使用するのが常態―というが,そもそも生食用が出ていないのだからそうなるだろう,論理的に。問題は一定の鮮度を確保しているかとか,そういうところだろうか。
なお提供自粛業者はこの調査に含まれない。
朝日新聞 焼き肉店 衛生基準クリア0 2011年06月04日(和歌山)
和歌山で調査,結果を6月3日に発表したが―「県食品・生活衛生課によると、県の8保健所と和歌山市保健所が5月6~31日、県内で生食用の肉を客に提供している飲食店166店舗と、生食用の肉の処理や販売をしている業者の59施設を調べた。衛生基準には「器具の適切な消毒」「適切なトリミングの実施」などがあるが、166の飲食店はいずれも基準を満たしていなかった」とのこと。
記事表題には「衛生基準クリア0」とあるが,記事中には:
「59施設のうち、輸入馬刺しを扱っている海南市の販売業者は肉の加工を自前でしていないため、唯一、基準をクリアしている施設とされた」
とあり,やや不整合。
とはいえ,肉の加工を自前でしていないため,ということで,クリアしたとはいえその価値は消極的なものとみなされるか。この場合,記事タイトルをどうするかは判断の分かれるところだが,「…衛生基準満たさず」で字数も同じ。明確に数字「0」を出すより―少々逃げを打っておく方が,本文との不整合を突かれずに済むかもと思ってみる。
「県は適合していない施設に対して生食用の肉の提供や販売を中止するように指導している。しかし、29店舗と7施設は立ち入り調査後も継続しているという」
で,166店舗中29店舗(約17%),59施設中7施設(約12%)が指導に従わないというわけだ。これを高いとみるべきか低いとみるべきか。民間の自浄作用でなんとかなるものか,それとも「えびす」の社長のように,愚かな民間人を適切に指導すべく官の権限を強化すべしとなるものか。しかとした論拠なしには語れないだろうところ。
ローカルなところでもう一例:
佐賀新聞 県内の焼肉店など46施設、生肉の衛生基準満たず 2011年06月04日
「県は5月2~31日、生食用の牛肉や馬肉などを提供する焼肉店や食肉処理・加工施設など939施設を調査した。電話やファクスで「生食提供なし」「自粛」と事前に回答した821施設を除く118施設を立ち入り調査。このうち46施設(飲食店19、食肉処理5、食肉販売22)が肉の表面を削って細菌を取り除くトリミングの未実施や専用器具の未整備など、衛生基準を満たしていなかった」
こちらでは衛生基準を満たす率がかなりある。
読売新聞 「生肉 明確な安全基準を」 2011年6月15日(鳥取)
「加藤社長は「(食中毒の原因となった)ユッケは人気メニュー。提供を中止しているが、焼き肉店にとっては死活問題だ。風評被害で売り上げも落ちた」と現状を訴え、肉の表面を削ったりあぶったりする具体的な手順について統一基準づくりを急ぐよう求めた。一方、牛の肝臓を使う「レバ刺し」について、加藤社長は「(食中毒菌の)カンピロバクターの汚染リスクがゼロではなく、提供するべきではない」と述べ、各委員からも同調する意見が相次いだ」
民間の「公平な競争」「健全な競争」のためには,(予め)官からの(罰則を伴い強制力を伴う)規制が必要―ということだろうか。
なお「リスクがゼロではなく」のところは気になるところ。だって何事であれリスクゼロなんて,滅多にあったものではない。ひとはふつう,何事かリスクを負って物事をするのであって―そのことは社会人(つうか成人)なら意識すべきなんではないかなーと思う。
リスクゼロの幻影の中で,いつまで生きていられるのかな。
でまあ,
朝日新聞 食中毒「えびす」運営のフーズ社、6月末めど清算へ 2011年6月13日15時25分
8日に従業員に退職を求めていたが,会社自体を閉じることの発表が来ました。補償金は数億かということで,無事店舗資産が適切な値段で売れれば,一定程度は確保されるでしょうねえ。とても満足に出せるとは,とは思うのですが。だって今仮に30人が20日入院したと仮定しよう,入院費用一日1万としてもこれだけでもうアナタ。
…損害賠償を考えなければいけるのだろうか。
読売新聞 焼き肉えびす、営業断念で補償難航…謝罪もなし 2011年6月10日09時59分
「同社は、7日までに食中毒患者の検査費や入院費計約3000万円を支払ってきた。今後の補償については、現在加入している支払い限度額約1億円の営業損害保険から充当する予定だったが、会社が存続しない場合、適用できない可能性もあるという。同社は補償総額を数億円と見積もっていたが、営業再開できないことで、「死亡した人を含む被害者への支払いができるかどうかわからない」としている」
現金3億はあるにはある。ところが銀行さんが凍結しており,使用できない。手持ちの現金を使い果たしたもののようで,にっちもさっちもいかなくなった―というわけだ。
社長としては,外部由来の菌で会社に痛恨の一撃を喰らったわけで,自分は被害者だとの意識はあろう。しかし,あのずさん極まりないマニュアルを作成・運用してきた問題もある。
ただまあいくら手持ちの資金がないからって:
47NEWS(共同通信) 解雇手当不払いで勧告へ 生肉食中毒の運営会社 2011/06/11 08:43
「労基法は解雇予告手当について「30日前に解雇の予告をしない使用者は、30日以上の平均賃金を支払わなければならない」と定める。同社関係者によると、勘坂康弘社長らは8日夜、約60人の全従業員に解雇を告げ「お金がないから解雇予告手当と6月1~8日の給与を支払えない」などと説明した」
労基からは,そりゃあご指導が入ることだろう。
…昔懐かし「夜逃げ」は,彼の場合,できないだろうしなあ。キャラたちまくって有名人になっちゃって…。
なお解雇対象従業員数については
時事ドットコム フーズ社が営業再開断念=全従業員を解雇-焼き肉店食中毒 2011/06/09-11:12
「店を経営するフーズ・フォーラス(金沢市)が営業再開を断念し、全従業員約90人を解雇していたことが9日、同社関係者の話で分かった。関係者によると、勘坂康弘社長が8日、金沢市で社員約50人を集め、「(営業再開について)行政の同意、理解が得られない。その中で資金がもう回らない。自主再建は不可能だ」と口頭で解雇を言い渡した」
90人との報道もある。
口頭での解雇言い渡しに遭ったのが50-60人ということか。全従業員約90名のうち,取締役など中央スタッフ若干名は残るとのことで,残留して残務処理するのが20名(以上)というのはいかにも多い感がある。
読売新聞 牛肉生食 不適合99%…都内の飲食店調査 2011年6月9日
「都は7日、生食用の食肉を扱う飲食店842店のうち、約8割にあたる661店が厚生労働省の衛生基準を満たしていなかったと発表した。都によると、牛肉を扱う439店に限れば、基準を満たしたのは2店だけだった」
「その結果、馬肉を扱う飲食店では4割超が国の基準に適合していたものの、牛肉では99・5%の店舗が不適合だった。また牛肉を扱うほとんどの店で、生食用ではない原料肉を仕入れ、加工するなどして提供していた」
馬肉側の基準適合率が良いのは注意点。
生食用でない原料肉を使用するのが常態―というが,そもそも生食用が出ていないのだからそうなるだろう,論理的に。問題は一定の鮮度を確保しているかとか,そういうところだろうか。
なお提供自粛業者はこの調査に含まれない。
朝日新聞 焼き肉店 衛生基準クリア0 2011年06月04日(和歌山)
和歌山で調査,結果を6月3日に発表したが―「県食品・生活衛生課によると、県の8保健所と和歌山市保健所が5月6~31日、県内で生食用の肉を客に提供している飲食店166店舗と、生食用の肉の処理や販売をしている業者の59施設を調べた。衛生基準には「器具の適切な消毒」「適切なトリミングの実施」などがあるが、166の飲食店はいずれも基準を満たしていなかった」とのこと。
記事表題には「衛生基準クリア0」とあるが,記事中には:
「59施設のうち、輸入馬刺しを扱っている海南市の販売業者は肉の加工を自前でしていないため、唯一、基準をクリアしている施設とされた」
とあり,やや不整合。
とはいえ,肉の加工を自前でしていないため,ということで,クリアしたとはいえその価値は消極的なものとみなされるか。この場合,記事タイトルをどうするかは判断の分かれるところだが,「…衛生基準満たさず」で字数も同じ。明確に数字「0」を出すより―少々逃げを打っておく方が,本文との不整合を突かれずに済むかもと思ってみる。
「県は適合していない施設に対して生食用の肉の提供や販売を中止するように指導している。しかし、29店舗と7施設は立ち入り調査後も継続しているという」
で,166店舗中29店舗(約17%),59施設中7施設(約12%)が指導に従わないというわけだ。これを高いとみるべきか低いとみるべきか。民間の自浄作用でなんとかなるものか,それとも「えびす」の社長のように,愚かな民間人を適切に指導すべく官の権限を強化すべしとなるものか。しかとした論拠なしには語れないだろうところ。
ローカルなところでもう一例:
佐賀新聞 県内の焼肉店など46施設、生肉の衛生基準満たず 2011年06月04日
「県は5月2~31日、生食用の牛肉や馬肉などを提供する焼肉店や食肉処理・加工施設など939施設を調査した。電話やファクスで「生食提供なし」「自粛」と事前に回答した821施設を除く118施設を立ち入り調査。このうち46施設(飲食店19、食肉処理5、食肉販売22)が肉の表面を削って細菌を取り除くトリミングの未実施や専用器具の未整備など、衛生基準を満たしていなかった」
こちらでは衛生基準を満たす率がかなりある。
読売新聞 「生肉 明確な安全基準を」 2011年6月15日(鳥取)
「加藤社長は「(食中毒の原因となった)ユッケは人気メニュー。提供を中止しているが、焼き肉店にとっては死活問題だ。風評被害で売り上げも落ちた」と現状を訴え、肉の表面を削ったりあぶったりする具体的な手順について統一基準づくりを急ぐよう求めた。一方、牛の肝臓を使う「レバ刺し」について、加藤社長は「(食中毒菌の)カンピロバクターの汚染リスクがゼロではなく、提供するべきではない」と述べ、各委員からも同調する意見が相次いだ」
民間の「公平な競争」「健全な競争」のためには,(予め)官からの(罰則を伴い強制力を伴う)規制が必要―ということだろうか。
なお「リスクがゼロではなく」のところは気になるところ。だって何事であれリスクゼロなんて,滅多にあったものではない。ひとはふつう,何事かリスクを負って物事をするのであって―そのことは社会人(つうか成人)なら意識すべきなんではないかなーと思う。
リスクゼロの幻影の中で,いつまで生きていられるのかな。
でまあ,
朝日新聞 食中毒「えびす」運営のフーズ社、6月末めど清算へ 2011年6月13日15時25分
8日に従業員に退職を求めていたが,会社自体を閉じることの発表が来ました。補償金は数億かということで,無事店舗資産が適切な値段で売れれば,一定程度は確保されるでしょうねえ。とても満足に出せるとは,とは思うのですが。だって今仮に30人が20日入院したと仮定しよう,入院費用一日1万としてもこれだけでもうアナタ。
…損害賠償を考えなければいけるのだろうか。
読売新聞 焼き肉えびす、営業断念で補償難航…謝罪もなし 2011年6月10日09時59分
「同社は、7日までに食中毒患者の検査費や入院費計約3000万円を支払ってきた。今後の補償については、現在加入している支払い限度額約1億円の営業損害保険から充当する予定だったが、会社が存続しない場合、適用できない可能性もあるという。同社は補償総額を数億円と見積もっていたが、営業再開できないことで、「死亡した人を含む被害者への支払いができるかどうかわからない」としている」
現金3億はあるにはある。ところが銀行さんが凍結しており,使用できない。手持ちの現金を使い果たしたもののようで,にっちもさっちもいかなくなった―というわけだ。
社長としては,外部由来の菌で会社に痛恨の一撃を喰らったわけで,自分は被害者だとの意識はあろう。しかし,あのずさん極まりないマニュアルを作成・運用してきた問題もある。
ただまあいくら手持ちの資金がないからって:
47NEWS(共同通信) 解雇手当不払いで勧告へ 生肉食中毒の運営会社 2011/06/11 08:43
「労基法は解雇予告手当について「30日前に解雇の予告をしない使用者は、30日以上の平均賃金を支払わなければならない」と定める。同社関係者によると、勘坂康弘社長らは8日夜、約60人の全従業員に解雇を告げ「お金がないから解雇予告手当と6月1~8日の給与を支払えない」などと説明した」
労基からは,そりゃあご指導が入ることだろう。
…昔懐かし「夜逃げ」は,彼の場合,できないだろうしなあ。キャラたちまくって有名人になっちゃって…。
なお解雇対象従業員数については
時事ドットコム フーズ社が営業再開断念=全従業員を解雇-焼き肉店食中毒 2011/06/09-11:12
「店を経営するフーズ・フォーラス(金沢市)が営業再開を断念し、全従業員約90人を解雇していたことが9日、同社関係者の話で分かった。関係者によると、勘坂康弘社長が8日、金沢市で社員約50人を集め、「(営業再開について)行政の同意、理解が得られない。その中で資金がもう回らない。自主再建は不可能だ」と口頭で解雇を言い渡した」
90人との報道もある。
口頭での解雇言い渡しに遭ったのが50-60人ということか。全従業員約90名のうち,取締役など中央スタッフ若干名は残るとのことで,残留して残務処理するのが20名(以上)というのはいかにも多い感がある。
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