パキスタン人聖職者暗殺さる－ソマリア，プントランド

　日本語報道では7名，現地報道では「少なくとも5名」。Shabelle Media Networkでは「5名を殺害，2名を負傷させ」ほど，Garowe Onlineでは，その2名は「病院に担ぎ込まれた」。

Garowe Online　Five Pakistan sheikhs killed in central Somalia　Aug 12, 2009 - 2:07:24 PM

ShabelleMediaNetwork　Foreign and Somali clerics killed in Galka’yo town 　Posted: 8/12/2009 6:24:00 PM

毎日　ソマリア：パキスタン人伝道師７人射殺される　武装勢力に

Daily Times　Seven Pakistani preachers shot dead in Somalia August 13, 2009

NYTimes　Another Day in Somalia, Fresh Fighting and Unlikely Victims

　人数については微妙にずれがありますが―
　25名の代表団からなるTabliiq movementがプントランド，ガルカヨを訪問。南北の境目あたりにあるモスクで和平を説いていたものが，突然6名の武装した男たちに襲撃をうけ，7名（または8名）がモスク外に出され，銃撃された。パキスタン人5名はその場で死亡，ソマリ人1名を含む残りの2名（または3名）は重傷ないし死亡。

　足し算・引き算の関係上，1名は重傷ながら生存している可能性が無きにしも非ず，というところか。

　プントランド大統領Faroleは（折がいいんだかわるいんだか）Galkayoに在り，南部側を支配するAhlu Sunnah Wal Jamee'aに捜査協力を要請。こちらもこの殺害事件を「調査している」とする。

　日本語記事にありますが，このパキスタン人たちとアルシャバブの関係を疑って殺害に及んだのでは―という，その主体と目されるのはこのAhlu Sunnahですね。彼らが関与したものと，ひろく噂が流れているようです。

　他方，アルシャバブとしては「復讐」を叫ぶわけです―誰に対してか，ということは明言しませんが。

　この宗派，Tabliiq movementはここ暫くでは二度目の悲劇にあったのです。二度目はこの件，一度目は「アル・ヒダヤモスクの虐殺」事件です―。

　前回は，まだしも『穏健なイスラミスト団体を過激派と間違えて殲滅指令出しちゃった』で言い訳は…まあ…可能ですが…。
　今回は『パキは殺せ！』なひでぇ理屈なわけで，言い逃れがききません。

　平和の愛好の点では名声があろうTabliiqの教師が暗殺されたのは，『パキスタン人（の説教師）だから』であろうことはほとんど確定です。少なくとも，現地民衆はそのように信じているようです（だからAhluSunnahが疑われてる）。

　果ては，パキと一緒にいた！ってわけですか，ソマリ人も一緒に殺そうとして（殺して）います。なんとも，これは，いいわけのできない蛮行であります。

　…それほどまでに，パキスタン人戦闘員の存在が大きな，もしくは周知のこととなっている。それがソマリアの現状らしいと，そのようなことが日本語記事からも推測できるかと思われます。

　何と申しますか，Al ShabaabやHizbul IslamはAMISOMについて『外国勢力はソマリアに入ってくるな！』というわけですが，AMISOMは少なくとも名目的には（極論すれば）「いるだけ」で，戦闘は自衛の限りでしか許されていない。
　他方，アルシャバブのパキスタン人たちは積極的にソマリアの内戦に関わっているようで…。