空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

イスラム圏だって普通は暴力反対のはずでして

2007-12-30 14:55:19 | Weblog
 といいますか当たり前のことは報道されない傾向があるものでして。というか普通の人が普通の頭で考えた普通のことはニュースになりません。

 異常事態が起こったからニュースになるんであって。
 それは常態じゃないですよ。
 イスラム過激派の行動ばっかり報道されるから,うっかりするとムスリムに平和主義者は居ないのかな,かなっと思う人まで出かねない。居るんでしょうか教えてください,って言われても,こんどはこっちが困るだってそんな当たり前の記事なんてわざわざ記録してません。

 というのも悪いのでちょっと自分の過去の記録から手繰ってみたりした結果:

BBC news, South-Asia Karachi protest at Sharia mosque 16 April 2007

 古い話題ですね。パキスタン首都の「赤の寺院」(関連記事一覧)への抗議行動。数万からの人が参加だとか。但しこの運動の指導者自身は聖職者じゃない模様(?)。

 聖職者じゃないけど,一般世論の話では:「ムスリムはあんまり自爆テロを容認しないっぽいのです」。
 赤の寺院始末に関する,民間人的ご意見:「「赤のモスク」始末記:パキスタン」。

 あと昔ちらっと読んだだけの記事だと,英国のムスリム聖職者団体が暴力反対を言ったとかなんとか。これはあれです,ロンドン地下鉄連続爆破事件の頃でしょうね(Wikipedia日本語版でロンドン同時爆破事件)。

 …したら別のハードルが出てたりした。ガンジーやダライラマのような強い影響力のあるリーダーはイスラムには居ないのか?と(http://blog.goo.ne.jp/kuniphoto/e/b81437f5d4ed16a66b761233eda5893eのコメント欄)。
 過激派「イスラム」の暴力に絡めてのことと理解し,(絶対)非暴力の方向で―というなら,そりゃあインド文化圏の行き過ぎたほどの非暴力思想が世界的に異例なんだと思う…。

 それに時代背景,置かれた条件も異なり,一概には言えない。

 また,「イスラム」過激派の暴力って,まあ一応,仮にもまあ,圧制に対する抵抗という面はあるようで,すると宗教だけの問題にはならないし。
 過激派に対する行動は,即座に政治的な行動になる,ともいえる。―上掲,赤のモスクへの大衆抗議行動指導部は親ムシャラフである旨,記述してある点を注意。

 ともあれそういういいわけ抜きに,私がイスラムに関して不勉強なことは明らかで―私は実例を出せません。マスードとかだと武力が表に出るし。

 ですから,貴殿,調べ,読み,考えよ。ただ聞くのではいけない。帽子の台は,意外に多くのことができるものだ。

 …あと,所謂「大衆」行動の現実の限界も認めるべき,かな…。
 いやほら,例のカラー革命を例にとれば,『まぁなんてステキに××一色☆ みんなお揃いなんてすごぉいっ☆ おべんとだって心配いらないよっ! 大衆の資金力ってなんて無限大☆』
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15 コメント

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上記BBCの記事の日本語版これですかね (navi-area26-10)
2007-12-30 18:08:11
イスラム圏で自爆テロへの嫌悪拡大=シーア・スンニの対立懸念も-米調査
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070725/1185362453
たしかに疑いだしたらきりがありませんが。

あと他にはこんな記事もありました。
■バグダッドの防護壁に平和願う壁画 「街に潤いを」
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070513/1179043046

一番このエントリの趣旨に合ってるのはこの人たちでしょうか。
中東ジョークで笑いの渦 グループ名は「悪の枢軸」
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070514/1179175390
『クッキーを焼いたなんていう話題なんてどうかな』なんていうのはまさにぴったりじゃないでしょうか。

テロの原因はこういう人なのかもしれません。
■「弱者がテロに頼るのは自然」カダフィ大佐が講演
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20071210/1197293975
返信する
間違えました。 (navi-area26-10)
2007-12-30 18:10:29
上記BBCじゃなくて
■ムスリムはあんまり自爆テロを容認しないっぽいのです
のリンク先のBBCでした訂正します(_ _)
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Unknown (teiresias)
2007-12-30 22:16:25
 …navi-area26-10さんのところを丹念に探せば,大体必要そうなソースは大体出てくるわけですわね。
 いやいつも参考記事をありがとうございます。

> 『クッキーを焼いたなんていう話題

 ナイス発言ですよねぇ,それ。こうした,いろんな「マジ」なものを皮肉と笑いと冗談に巻き込む「抵抗」運動は結構効率よさそうな気がするです。
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>暴力反対 (Hi-Low-Mix)
2007-12-31 16:29:16
独りよがりな意見ですが。
たぶん、イスラーム圏に限らず、キリスト教世界もアジアやらなんやらも、基本的には「暴力反対」ではないと思うんです。
むしろ「イスラームの人たちだって、西欧やらなんやらと同じように『社会を維持したい』と考えている」って言うべきなんじゃないかと。
「人が人を殺しちゃいけないのは、そう決めないと社会を維持できないから」とカントクがおっしゃっていたかと思いますが、そのレベルでは本当にイスラームもキリスト教も儒教もありませんよね。
でも、それぞれの文化によって維持したい「社会」が違うという現実もある。
今はそこに生じる矛盾を超える知恵って、まだ誰も得ていないように思えるのです。
…年末だってのに鬱なこと言うなー(→ワシ)。
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イスラム系の平和発言と言えば (navi-area26-10)
2007-12-31 19:45:35
どうもです。読んでいただけることが、なにより幸せです。

タイトルの件
■ビンラディンよ「アルカイダ暴走止めて」 スンニ派訴え
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070407/1175958534
…は平和発言というより現状があまりに悲惨と言うことかもしれませんが…

■サウジアラビア:イスラム法学者がビンラディン容疑者批判
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070920/1190304430
こちらのほうは一応平和発言かなと。

あとリーダーはイスラムにはいないのかということですが、昔はカリフという人が、教皇とも呼ばれましたが、預言者の代理人という事で、イスラム世界におりました。最後にはオスマン帝国のスルタン(皇帝)が兼任していたはずです。ですが欧米の圧力を受けカリフはいなくなってしまうんですね。

サウジの方のリンク先に書いてありますが、現状ではエジプトのイスラム法学者が出すファトワが最も権威があると別のところでも読みました。

実際にはこんな記事もありました。
■ビンラディン師に「神の剣」称号 パキスタン宗教組織
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070623/1182554287
ビンラディンをカリフにしてもいいという発言がどこかにあった気もしますが、今ちょっと見つからないです。

Hi-Low-Mixさんのおっしゃる事、ホッブズ問題と言うやつですかね。自然状態の万人の万人による戦いをいかに治めるかと言うやつです。それで一時期社会学も独学でやってみようかと思ったのですが、ちょっと自分には無理でした。

ともかく自分の今の考えは、
■イラクに流入のアルカイダ戦闘員、リビア人が増加 米報告
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20071221/1198243543
の追記の下のほうに書いたとおりです。
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Unknown (teiresias)
2008-01-01 00:22:55
>…年末だってのに鬱なこと言うなー(→ワシ)

 全くです,反則大将に対する正義の裁きがなされたこの夜に!(←おい)

 …まぁ私も「帽子の台」だなんて欝思想と二人連れですが。

 いえまあ。「暴力礼賛」を公言していいものとするかどうか,建前の部分での話,ではあります。カダフィ大佐みたいに,弱者の(悲しい)抵抗手段としてまぁあり得るよなぁ,というのは私も同意する気持ちがあります。

 ただ日常を,多少の愚痴と一緒に生きていたいだけなのに,それがなんか訳判んない巨大な何かに打ち砕かれたら,そりゃ八つ当たりもしたくなろうというもので。

 …××軍の誤射で夫を殺された未亡人が,とにかくなにか「軍」に対して絶望の表現をしようとかいうのは,まぁ解らんでもないというか無理もないというか…。

 そこで『それは正当な抵抗活動であって汝は神の許に召されるであろうー』と説くか,『それでもなお暴力は悪なのであるー』と説くかは,まぁなんですか,上部構造的なところでの大きな分かれ道かと。

 維持したい社会,つくりたい社会,どこらあたりでたった今の妥協をなすかは,いやホント難しい。誰もその智慧は,まだもってないでしょうし,私自身も何かそれに貢献できそうでもない。

 …新年始まって最初に書く文がこれか。
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Unknown (teiresias)
2008-01-01 00:46:27
 私のいまのイメージですと,各国(各地域)別に「教会」があるような点ではギリシャ正教的な,各国内で各派分かれてたりする点では日本仏教のような,どーもそれぞれの教会がそれなりに独立性を持つような…のような,そんな大づかみのイメージです。

> 現状ではエジプトのイスラム法学者が出すファトワが最も権威がある

 にしても,現場で法解釈で多少なりと融通利かせたりできるだろうし,きっとそれがイスラムの生命力なんじゃないかなーと想像する程度で過ごしてました。

 日本仏教だって,所変わればものすごく風習が変わって,いやそれ同じ宗派か?というくらいのこともある風な…。そんな融通無碍なところがあるんだろうと思ってるんです。でないと多分,あんまり広がれない。

 …だからタリバンとかが活動する余地もでるんだろうけど。

 各教会の自治権は大きそうで,ある意味民主的なのかなーとも思うところもないではないです。各教会が神の名の下に宗教令を出す破目になることもあるわけで,神さまは大変そうだなとも思いますが。

 あとそこそこ学のある人たちがテロに走るとか,それは普通のことなんじゃないかなと思います。全共闘なんてものもあったわけで。
 田舎の学校のトップを走ったよーなひとが,『ああ僕にはきっと輝かしい未来がっ』とか思って都会(西欧)の大学に出てきてみたら実は自分はざらに居るレベルだったり田舎者扱いされたり,

 うにゃー,僕はほんとはもっと(以下略)だから偉大な事ができるんであってほら実は僕は神の使徒ォォォ,なんてのはわりとありそうな。

 真実に目覚めた学生として労働者との連帯をとかそーゆーよーなことを考え始めて,結局潰れた後輩を見た身としては,まあええ,若者はしばしば同じ道を辿るものだという気が…。
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学のある人 (Hi-Low-Mix)
2008-01-01 10:50:54
歴史的に見ても、イスラーム主義に走るのは西欧流の学問をおさめた人たちが多いようですね。
タリバーンは例外的なようで、難民キャンプでおっそろしく単純化されたイスラームだけを学んだ連中が中心だそうです。ろくにコーランもハディースも読んでいないのまでいるそうで。
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>タリバン (teiresias)
2008-01-01 14:01:55
>単純化されたイスラームだけを学んだ連中が中心

 …うわぁ。そりゃひどい。
 難民キャンプで可能な限りの教育を,とか頑張った結果かもしれないですが,それでもその状況はどぅか…。

 
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教育 (Hi-Low-Mix)
2008-01-01 20:48:03
サウジあたりがワッハーブ派の教師を送り込んでいたはずです。
えらく高純度なワッハーブ派の教えを「土民」たちに教えるということで、かなり略したようですねえ。
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