空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

GSOMIA廃棄の件の解説記事メモ:浅羽教授と香田提督

2019-08-27 14:24:09 | Weblog
「もう、無理ぃ!」と叫んで投げ出したら、それはそれで文大統領のお仲間・同水準ってことになるんだろうなあとか思うんだが、これ、当事者としては髪の毛がなくなるくらいに頭をかきむしりたいところじゃないかなー…。



NNA Asia 【韓国】「文政権に当事者意識欠如」[政治] こじれる日韓、浅羽教授に聞く 2019/8/27 01:59 (JST)8/27 07:22 (JST)updated

日本との対決姿勢を打ち出すことで韓国経済に被害が出るなどの「経済的なコスト」が積み重なっても、政治的なコストに跳ね返らない限り、政治家はなかなか動こうとしない。皮肉なことに、日本の輸出管理強化による実害がないとなれば、なおさら難しくなる

 ということで、韓国の政治家としては、さしあたり国内での自分の地位をゆるがすことなく便利に使える政治的資源としての価値があるわけだが、いやしかしなんぼなんでも、そのうち使いべりするんでなあ…(現にその使いべりが明白になってきた)。



Yahoo!News(日経ビジネス) GSOMIA破棄、日米韓“疑似”同盟を打ち壊す韓国 2019/8/27(火) 5:00配信

韓国が日本から得られる情報はミサイル防衛関連にとどまりません。情報収集のための体制は日本がずっと優れています。西側では、米国に次ぐものと言えるでしょう。日本は衛星を7つ運用しているの対し韓国はゼロ。P-1やP-3Cといった洋上哨戒機は日本が73機、韓国が18機。早期警戒管制機(AWACS)は日本が18機、韓国は4機です。日本の方が、「一日の長」ならぬ5日くらいの長があると言うことができる。

 一方、北朝鮮に関する情報については、韓国が優れています。両国は地理的に近いですし、同じ民族で同じ言語を話すわけですから


 ということで、「お互い、なかよく共存共栄と行こうぜ」といえればよかったのである。『お前が切れる可能性があるからオレが先に切れてやる!』とやられて、わりと長期に亙ってこういう可能性はなくなったが:

―日韓がGSOMIAを締結した2016年11月以前の状態に戻るだけ、という評価が一部にあります。

香田:私はそうは思いません。北朝鮮の状況が大きく変わっているからです。北朝鮮が弾道ミサイル発射の頻度を上げ、本気で暴れ出したのは2017年からです


 三国の擬似的軍事同盟のありがたみは:

朝鮮半島有事を考えてみましょう。韓国が単独で自国を防衛することはできません。米軍が重要な役割を果たすことになります。そして、米軍が力を発揮するためには、在日米軍基地およびそれを支えるインフラが欠かせません。水道水がそのまま飲める。基地の周囲で購入した糧食をそのまま兵士に提供できる。そんな環境は世界を見渡しても多くはありません。

 このようなことは、威勢の良い安保論議では見過ごされがちですが、実際に兵士が命をかけて戦う戦闘を勝ち抜くための死活的要素としてのロジスティクスの意義なのです。つまり、米韓同盟は、日米同盟があってこそ機能する同盟なのです


 朝鮮戦争当時だが、B-52だったか、大型爆撃機の損失は太平洋戦争時より遥かに低率だったという。それは北朝鮮がしょぼいからではなく(旧日本軍の迎撃態勢のほうが遥かにアレであっても)被弾した機体が延々洋上飛行を強いられ途中でt力尽きるようなことが避けられた=すっげえ近くに基地があったから、なわけだ。

 故障した戦車・車両を修理するにしても、ちょっとした携帯食料を補給するにしても、補給の距離が超短いことの利点は計り知れない。だが―

日韓の間に軍事協力をする条約は存在しません。軍事面で唯一存在する協定がGSOMIA。したがって、これは日米韓の疑似同盟を保証する象徴的な存在なのです。

 米国を苦境に追いやるような措置を文在寅(ムン・ジェイン)大統領は認めてしまいました。韓国の国益を考えたら、全閣僚が反対しても、GSOMIAを維持すべきでした。それなのに、文大統領は、米韓同盟よりも日韓問題の方に重きを置いたのです。

 さらに言えば、米国よりも北朝鮮を選びました


香田:そうですね。GSOMIAの破棄は、日韓関係においてUターンできない状況を作ることになったかもしれません。GSOMIAを維持し時間を稼いでいれば、いずれ貿易管理の問題を解決したり、歴史問題で合意をみたりする可能性があります。しかし、韓国はこの“土台”を蹴飛ばしてしまった。交渉の“ドア”を閉めてしまったのです

 この記事の、もっともえぐそうなところはここかなあと思う:

香田:冷戦時代、旧ソ連という"大きな熊"の利き腕である右手と右足はNATO(北大西洋条約機構)を押さえていました。そして、左手と左足は日米同盟が押さえていた。この間、韓国はソ連に対峙していたわけではありません。北朝鮮は強い牙を持った猛獣ですが、これとの戦いは戦史において冷戦には入らないのです。韓国はこの点に気づいてないかもしれません

 …韓国は、我々こそが冷戦の最前線と思っていたのではなかったろうか。己の若者たちの血で耐え切った戦線であると認識しているのではなかろうか。それがこういう扱いだ、というむっちゃさらっと書かれたこの文章こそ、最もえぐい言葉ではなかろうか、と思う。
 …しかしまあ、「こうだぞ」と言われたら、ああ、うん、その、まあ…うん…。

 今後については

もちろん、トルコと韓国で一対一の比較はできません。しかし、米韓同盟の劣化あるいは解消は、プーチン大統領のみならず、中国の習近平主席や北朝鮮の金正恩委員長が狙うところを、こちらのオウンゴールで実現してあげることになります。彼らは弄することなく目的を達成できる。この観点から、米国、そしてトランプ大統領は自らの思いに蓋をしてでも、韓国をつなぎとめようとする公算が高いと考えます

 そんななか、『ちょっと「お話」してみようか?』というようなシグナルが、あの…その…。




 そりゃコメントできないだろうよ。こんな事態。




 私としては脳内絶叫「んなーっ?!」。アメリカがこんなに踏み込むなんて、ああ、私は驚き、そして恐怖します…。

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