空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

GSOMIAの件:2件の解説記事がとても勉強になる

2019-08-27 10:41:57 | Weblog
 鈴木一人先生(北大)および村野将氏(ハドソン研究所研究員)の解説が非常によく纏まって勉強になる。



gendai.ismedia 韓国がGSOMIA破棄を決めた根本理由〜外交と相性の悪い文在寅政権 27 Aug 2019 鈴木一人

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しかし、文在寅政権では、アメリカの反応は想定内であるらしく、問題にはなっていないようである。実際、青瓦台の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長は、アメリカが失望することは「当然」であると認識しており、それでもなお、これを機会に米韓関係を「アップグレードできる」と述べた

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果たしてどのような形でアップグレードできるのかは想像することも難しいが、一つ考えられるのは、これまで米韓合同司令部にあった「軍事作戦にかかる統制権」が、2020年代半ばに韓国軍に移管されるということである。軍事安全保障部門において、これまでアメリカに従属的な関係にあった米韓同盟だが、韓国軍が独立した作戦統制権を得ることによって、より対等な関係となり、それによって韓国軍の自律的な行動が可能になるということが意識されているのではないか、ということである。

これは、「国家的自尊心」を重要視する文在寅政権にとっては大きなポイントではないかと考えられる


 読みやすい。それでいて簡単に読めるネットメディア記事として望める情報をできるだけ詰め込んでいこうという意志があるものか、情報量もあって、この意味でも勉強になる。



fnn 日米の「韓国疲れ」はピーク 日米韓協力の構造的限界を突きつけたGSOMIA破棄問題 2019年8月26日 月曜 午前11:40 【執筆:ハドソン研究所研究員 村野将】

 タイトルは少々あおりぎみだが、ここ10年ほどの状況を踏まえながら詳細に述べる。残念な点といえば、ネット記事にしては改行がすくなく、読みにくいというくらいか。用語が多いのは領域が領域なのでしょうがない、として。

2011年頃から、軍事情報共有体制の向上を喫緊の課題としてGSOMIA締結に向けた協議を続けていたが、2012年 6月29日の署名式1時間前という土壇場のタイミングで、韓国側が国内政治への配慮を背景に協定へ の署名を延期したこともあった

2012年の署名延期に象徴されるように、日韓の防衛協力はこれまでにも(とりわけ韓国の)国内 政治の波に揺さぶられてきた。そうした苦難の末に締結されたGSOMIAは、両国の防衛協力の努力が 国内政治に翻弄されるリスクを緩和し、波があったとしても、防衛情報当局の実務協力が落ち込むことを避け、安定的な議論を続ける素地を作る意味合いも大きかった

文政権が最終的に協定破棄を選んだことは、 日本のみならず、自国の国防情報当局を軽視したということでもある。これは韓国政治指導部の北 朝鮮に対する脅威認識が危機的なまでに欠如していることの裏返しに他ならない

北東アジアの地域安全保障構造は、1950年の朝鮮戦争以来、有事の際には米韓同盟を日米同盟が支援するという二国間同盟の連携体制によって成り立ってきた。この連携体制は、在韓米軍・国連軍・米韓連合軍を束ねる米国人大将が半島全体の情報と指揮統制を掌握し、なおかつ米軍の出撃拠点である日本が安全な後方支援拠点であってこそ維持しうる。しかしながら、 日本を脅かしうる北朝鮮の核・ミサイル能力の飛躍的増強や、文政権の日米双方に対する信頼性を欠く対応は、朝鮮戦争以来続いてきた北東アジアの同盟連携体制に構造的限界を突きつけていると言わざるを得ない

 この点、「「誰がそういう日本にしたんだ?」」という怒りが湧き起こることがあるが、まあ、やっぱり北朝鮮のせいだよなあと。

むしろ影響を受けるのは、日韓・日米韓の平時の情報協力が円滑に行えなくなることや、文政権が日米との安定的な協力関係を築いていく意思がないことを対外発信してしまうこと だ

韓国政治指導部は、日韓GSOMIAがなくとも、自前の監視能力に加えて米国から必要な情報が得られれば、日本との情報協力は必要ないと考えているかもしれない。文政権にそうした「甘え」があるとすれば、韓国に再考を促すべく、米国が何らかの見せしめをする可能性も排除できない

 制裁が米国から来る可能性―文政権は真面目に考えただろうか、それがわりとありえるものだと?

文政権の任期は2022年5月まで残されているが、その間日米は韓国を「待てる」だろうか。特に米国のトランプ大統領は、金正恩委員長との 個人的関係を重視する一方、韓国とのポジティブな関係維持に関心がないどころか、米韓同盟を米 国にとっての一方的な負担と考えている節がある

 さらには個人的にもものっそい低評価で、例の二分間首脳会談で晒し者にされたあげく、G7でも(文脈にないのに?)罵倒されていたという:

Yahoo!News 「文大統領 信用できない」 トランプ大統領 G7の席で 2019 8/26(月) 20:30配信

トランプ氏が文大統領を批判したのは、フランスで開かれているG7(主要7カ国)首脳会議の初日の夜で、首脳らが外交安全保障に関する議論をしている最中に、「文在寅という人は信用できない」などと切り出したという

政府関係者によると、トランプ氏はさらに、「金正恩(キム・ジョンウン)は、『文大統領はウソをつく人だ』と俺に言ったんだ」と重ねて批判したという

文大統領について、「なんで、あんな人が大統領になったんだろうか」と疑問を投げかけ、同席した首脳らが、驚いた表情をする場面もあったという

 こまったねえ、と。
 
 さて、以上、勉強になる記事のメモ。以下異なる。



Yahoo!News 日米に広がる「韓国無用論」 条約も常識も守らない…韓国内で文政権“打倒”の動きも 専門家「文政権はメディアで国民を操ろうとしている」 2019 8/26(月) 16:56配信

日本政府の輸出管理強化に逆上して報復措置を振りかざし、ついには米国の要請で締結した日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)まで破棄してしまった韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権。条約も国際社会の常識も守ろうとしない見境のなさに、日米で「韓国無用論」が広がっていると国際投資アナリストの大原浩氏は指摘する

 冒頭部分だけでダメさがかもし出される。本文に入っても

日韓問題は連日メディアで騒がれていて、「韓国の異常性」は良識ある日本人のコンセンサスになった感がある」…

また、日本政府の韓国に対する「戦略的放置」=「断韓」という施策が、「輸出管理」も含めて、韓国を窮地に陥れている」…

日本は制裁発動などしておらず、単なる「輸出管理」でしかないのに、右往左往している文政権の姿は哀れですらある」…

 ああ、単純に、ネット掲示板やtwitterでの反韓お手軽メモを一枚に集約するとこうなる、といったところ。

これに対し、「従北」であるだけではなく共産主義中国の意のままに動く文政権は既に見限られていると考えられる

 この認識が出てきたあたりで、なら鈴置氏に喋らせろよ、そっちのほうが質が高いぞ、とか言う感じ。
 夕刊フジで連載を持っている人だそうで(「夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中」)、手持ちのカードでともかく流行のネタをおさえておこうと言うわけだろうが―書く方も書く方で、もちょっと質の高いソースを絡めるといいぞ、と。

関連:「GSOMIA破棄の件:状況はできるだけ整合的に理解・説明するよう心がけたい(2019-08-26)」

 ただし、こういう水準の記事が求められるのでもあるということも:



あくまで一つの推理にしか過ぎないが、現在の韓国の状況では、韓国内の保守・良識派による「軍事(無血)クーデター」を米国が陰で支援する(諜報活動は失敗しなければ、絶対に明らかにされない)ことも十分あり得る

米国の忠告を無視して、GSOMIAを破棄してしまった文政権は「無用」と考えられているであろうから、無用なものを入れ替えるのは極めて合理的な行動だ

そうなると、「無用」な国から米軍とその家族が撤退し、日本海を反共防衛ラインにする選択も十分出てくるだろう。クーデターでも、国民の選挙でも構わないのだが、文政権以外にバトンタッチすることが緊急の課題といえる

 そこで「超ウルトラC」として登場する可能性があるのが、米連邦捜査局(FBI)が米国で保護しているとされる、金正男氏の息子、金ハンソル氏だ。正恩氏に圧力をかける意味でもキーパーソンとなることも考えられる

 なにをどう指摘したんでしょうね、という水準の話である。

 前段階として指摘しておくべきは、先だって米国が非難する際、韓国をではなく、文政権を批判したことだ。したがって『韓国と仲良くしておきたいのは大前提だが、とにかく文が悪いということだけははっきり分った』という意志表示である、そこから文を取り替える―という話にもっていくわけだ。このリンクを落とすのはよくない。

 で、替えるにしたって、国内でそれなりに候補はたくさんあろうよ、と言う。(いまどき、だが)軍事クーデターをするにしたって、ふつー将官の何十人くらいはいるだろう。それで足りなければ大佐級でもいい。その全てが不適格以外のなにものでもなく、あえて南に地盤がない北の独裁者一族の生き残りに期待すべきであるという可能性はどれほどか。

 となると、常識的に、なんで北の独裁者一族(生き残り)の話を南のクーデターの文脈に絡める必要があるんです、という。

 …というわけで、単にセンセーショナルなところを拾っただけと言う評価になろう。
 いえまあ、「らしい」記事だなあということで、そういう需要にこたえているわけでもあろう。実際、私も従兄殿からこういう話をされることもある。できるだけ誠実に返答するようにしているが、まあ妥当穏当な落としどころにはそこそこの納得をして貰えていると思う、うん。

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