空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

焼肉屋さんの食中毒の件9:「二日ルール」

2011-05-10 17:37:11 | ノート
中日新聞 神奈川の客から大腸菌検出せず 焼き肉店の集団食中毒 2011年5月10日 13時25分
東京新聞 神奈川の客から大腸菌検出せず 焼き肉店の集団食中毒 2011年5月10日 13時25分

焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で、横浜市は10日、同市旭区の横浜上白根店でユッケなどを食べて下痢症状を訴えた2人の検便で、腸管出血性大腸菌O111は検出されなかったと発表した

○神奈川県内の有症者(7名)全員が陰性,従って富山・福井で検出された菌との関係は不明。
○7名のうち,横浜上白根店を利用した19歳・溶血性尿毒症症候群・重症の女性の血液からはO-111の抗体が検出されている。
○7名の食事場所(横浜上白根店および藤沢湘南台店)から回収した未開封肉からは菌の検出なし
○中日新聞・東京新聞は発行の日時・文面同一

 5月7日以来,店員からO-111が検出されたが,重症化しないタイプのものという:

読売新聞 4従業員感染…客としてユッケ食べた3人から菌 2011年5月8日01時41分

全従業員を対象に行った検便の結果、小松店(石川県小松市)の20歳代の1人と、高岡駅南店(富山県高岡市)の10歳代の2人の感染が分かった。いずれも4月下旬、それぞれ客としてユッケを食べたという。検出された菌はベロ毒素を作らず、重症化しないタイプのものという。女性従業員は、砺波店(同県砺波市)の30歳代のホール担当で、菌は検出されたが、特に目立った症状はなかったという

読売新聞 従業員は、異なる大腸菌 焼き肉店食中毒 2011年5月10日 石川

焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で、小松店(小松市)に勤務する20歳代の男性従業員から検出された大腸菌「O(オー)111」は、一連の食中毒を引き起こした腸管出血性大腸菌とは異なり、重症化の要因となるベロ毒素を作り出さないタイプであることが9日、県の再検査で確認された」…(中略)…「男性は4月18日に「金沢高柳店」(金沢市)、25日に「小松店」(小松市)で客として食事し、ユッケなどを食べた」。

 死亡者(4名)については菌の遺伝子型が一致したと報道されている:

朝日新聞 死亡の4人、菌の遺伝子型一致 納入前に肉汚染か 2011年5月10日12時30分

焼き肉チェーン「焼肉酒家(さかや)えびす」の集団食中毒事件で、死亡した4人から検出された腸管出血性大腸菌O(オー)111の遺伝子型が同一であったことが10日、富山県警などの合同捜査本部の調べでわかった。 4人は砺波店(富山県砺波市)と福井渕店(福井市)で別々に食事をしており、捜査本部は、ユッケに使われた肉が店舗に納入される以前に汚染されていたとみて調べている

「二日間ルール」については,フーズフォーラス社に用語があった由:

日経新聞 売れ残りユッケ、翌日も提供 焼肉店強制捜査 2011/5/6 21:47

フーズ・フォーラスによると、東京都板橋区の食肉卸業、大和屋商店から購入した真空パックを開封し生肉が売れ残った場合、冷蔵庫に保管し翌日も客へ提供。2日間を意味する「デイ2」という独自のルールを定めていたが、フーズ・フォーラス社幹部は「衛生管理上(安全を保証する)根拠があったわけではない。食の安全に対する意識が低いと言われても仕方ない」と話した

 流石に日経さんは速い。

毎日新聞 生肉食中毒:肉、開封して2日間…フーズ社が保管期間設定 2011年5月10日 9時36分 更新:5月10日 9時47分
焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の客4人が死亡した食中毒事件で、経営するフーズ・フォーラス社(金沢市)が原因食材とみられる生肉の保管期間を、真空パックから開封して2日間と定めていたことが9日、分かった。保管期間について国の明確な基準はなく、「3日もあり得る」と話す業者がいる一方、「速やかに食べるべきだ」と指摘する専門家もおり、店の良識に任されているのが実情だ。同社は保管期間を「D2ルール」として規定。残ったユッケはラップをかけて0~4度の冷蔵庫で保管し、翌日も使っていた。以前は最大3日間保管できる「D3」だったが、「肉の腐敗が進む」との意見が出て途中で変更したという

 この「二日間ルール」の意味内容の疑問が一応理解されたのは前進だ(私にとって)。開封後二日以内の意味であるが,開封当日を―含むかどうか? まあ含むよな。

 ところが,実際の運用では「調理当日を含む2日以内」「その日に余った物は翌日に引き継ぐ(廃棄しない)」が絡むため,開封から消費まではさらに伸びる可能性がある。

 砺波の話だが,20日調理分を21日調理分に混入(21日調理分が問題の発症元か)。で,死者が発生した食事タイミングは22日と23日である。

>4/22(富山・砺波・死亡6歳男児,父は多少腸が緩いかな程度)
>4/23(富山・砺波・死亡43歳女性,死亡70歳女性 なお一家の他のメンバー2人も入院,発症なし1名)

 …16日入荷の肉が複数パッケージに分かれていて22-23日にも個別に調理されていたのなら,この「調理後二日」ルールの問題ではないが,さてどうだろう。

 私はこの「開封後二日」ルールの存在を知らず,想定してこなかった。さて一方,さしあたり管見の限り,「調理当日を含む二日」ルールと絡めて説明した記事をみない。警察さんは把握しているような気がするが―大変微妙な点であるため,なかなか報道まで降りてこないのではとも思う。

 …個人の記憶に依存する可能性もあるしね。ちゃんと,何をいつどれだけ使ったかという管理がされていたかどうかの問題もあるし。

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1 コメント

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memo (teiresias)
2011-05-10 19:18:03
>ちゃんと,何をいつどれだけ使ったかという管理がされていたかどうかの問題もあるし

この点がかっちりしていないと,実証(的研究)に難が出る。
推測に係る点,個人の記憶に係る点が余りにあり過ぎては,そもそも事態の正確な把握に難だし,
そこがあやしければ議論の前提が怪しいわけだし,
そうすると教育的目的に用いることも難だ。
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