空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

あいちトリエンナーレ・メモ:補助金撤回

2019-09-28 11:42:34 | ノート
 まずは



 各プレイヤーそれぞれの合理性を検討し、相互の「落とし所」を探すべきものか。
 市民側としては、こうして一部領域の文化に触れる可能性が減ることで、多様な文化に触れる機会を一つ失う(可能性がある)ことで不利である。
 表現者側としては、下手すると表現規制に進みかねないものである。
 監督側としては、己の商品価値がえらいこと傷ついて、いかに損害を減らすべきところかというわけか。
 文化庁側としては―『運営があまりにぐだぐだすぎて、これを素通ししては、反社会勢力によるやっつけ仕事で補助金騙し取り事案などをハネることができなくなる』といったところではないか。

nhk 愛知 国際芸術祭への補助金 不交付の方針 文化庁 2019年9月26日 12時45分

慰安婦を象徴する少女像などの展示をめぐって脅迫めいた電話などが相次ぎ一部の展示が中止された愛知県の国際芸術祭について、文化庁は、事前の申請内容が不十分だったとして、予定していたおよそ7800万円の補助金を交付しない方針を固めた

「あいちトリエンナーレ」に対する補助金の取り扱いについて、文化庁は、審査の結果「申請者である愛知県は、開催にあたり、来場者を含め、展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、事実を申告することなく、文化庁から問い合わせを受けるまで事実を申告しなかった」と指摘しています。

そして「審査の視点で重要な点である、実現可能な内容になっているか、事業の継続が見込まれるかの2点で、適正な審査を行うことができなかった」としています。

そのうえで「補助事業の申請手続きにおいて不適当な行為であったと評価した」として、補助金適正化法に基づき、全額不交付とする方針を固めました


 この際、「脅迫電話を予測しておけと言うのか?」などと言う方向で運営側を弁護する筋がありえるが―




 たぶん役所としては、この運営のぐだぐだっぷりを理由としたものか。
 …裁判に持ち込まれたら負けるかもしれないが、それはそれとして、反社会勢力の類の参入を抑止する無形の力となりえる。そういう作戦のための犠牲の羊に選ばれてしまった、という可能性もまああり、多少すっきりしきらない点はある。



 しかし



 この「正しく運営ができるかどうか、きちんとした管理ができるか。この1点であります」は重要。この点から推論を進めれば―①『運営管理ができるかどうかで判断します』、②『できないという判断を下しました』、③『つまり、管理・運営部門が無能だということです』となる。

 ここで③’『政治的に支持したくないので外しました』という判断に一足飛びにいくのは、「私は本質を知っているのだ!」式のやり方だな。とりあえず、論理的ではない。その飛躍を支える物証を持ってくるべきだ。具体的には、管理・運営部門がきっちり仕事をしていた、という証拠。まあトップがアレだからダメの証拠ばかり積みあがりそうではあるが。



 とまあ、文化庁の巧妙さにも、それなりに対応すべきでしょうよねえと。



 なぜ認可がゆるゆるかといえば、硬くすればするほど文化統制に近づくから、だろう。

 後だしとはいえ、あまりに運営がぐっだぐだすぎてあきれ果てた、ということなんだろうと。この際、「後で都合が悪くなって」の内容が、政治的に問題になって大炎上して、というふうに読むかどうか、は問題として残る。ともかく、文化庁側は(すくなくとも表向きだけでも)『運営がダメ』で押してきている。これをまるっと無視して『オレが推定したお前のホンネを批判してやる!』だけで押すのは、ちと筋が悪くないか、いやせめてそっちの(表向きの)理屈と理論闘争する係は確保しておこうよ、と思うのだ。



 正直、科研費も同様ではあるんでなあ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 共産党・赤旗部数減を報じる... | トップ | 問題設定:「グレタ・トゥン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ノート」カテゴリの最新記事