Mali事情（3）

　日曜，トンブクトゥ（ティンブクトゥ）にてスイス国籍の女性一人が誘拐された。

BBC Swiss woman abducted by gunmen in northern Mali 16 April 2012 Last updated at 00:03 GMT

　伝道団の一員で，40歳代。名前はBeatriceとされる。自宅に6名の武装した男たちが来訪，彼らに連れ去られた。なおこの際，男たちは『アッラーアクバル』と叫んでいたそうで。

　この土地は今月初めごろ，Tuareg側に奪取された。で，Islamist勢力のおかげで，アルカイダ勢力のsafe havenとなってしまいやしないかと不安視されていたところ。

BBC Mali: Timbuktu heritage may be threatened, Unesco says 3 April 2012 Last updated at 17:01 GMT

　Timbuktuは4/1にはTuareg勢力の影響下に入っている。

　National Movement for the Liberation of Azawad (MNLA)はTuareg勢力の独立を，他方Islamist勢力のAnsar DineはTuareg領域がMaliに残るままでよいとするそうだが，Shariaの適用を求める。

　この時点でGaoやKidalの住民はBBCに，Islamist fightersがアルコールを出すバーを襲い，西洋音楽をオンエアするのを禁じていると言う由。

　Timbuktuでは，Ansar Dineの構成員が一軒一軒まわって，今や諸君はイスラム法の下生きることになった，と言ってまわっていたとか。

　―そうなら，上掲記事のBeatriceさんの行動はほとんど自殺志願者同然とさえ言える。西洋人を，ましてやキリスト教宣教師（関係者）をただ生かしておく人々ではなかろうからだ（ソマリアのIslamistは，西洋出身者だからということでロシア出身の女性を誘拐したことがある。イスラムに改宗して久しい，ソマリ人の旦那を持つ，しかも聖地巡礼修了者ということがわかって翌日解放されたが）。

　さてそのTimbuktuは15世紀にはイスラム世界の中心地のひとつ。貴重な写本が山と残っている。それらの保存には，それこそ西洋の技術と資本が用いられているわけで―ということでこの戦乱の中，西洋の”アフリカってば歌と踊りと口頭伝承の大陸だよね”という先入観に訂正を迫る大事な資料たちが消えかねない。


　…なんとか保存しておいてくれませんかねえ…。