岐阜県警本部長 様 206年8月14日 告 発 状 告発人 くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク 事務局 寺町知正 岐阜県山県市西深瀬208-1 被告発人 梶原 拓 居所不詳 告発の趣旨 被告発人は、後記の通り公職の候補者等の寄附の禁止の罪を犯した容疑があるので、速やかに捜査の上、刑事処分を求めます。 告発の理由 1. 被告発人 被告発人梶原拓は、1989年から2005年まで岐阜県知事であった。 2. 事件の概略 (新聞各紙参照) (1) 岐阜県庁の裏金問題が発覚した。その関連で、岐阜県知事は岐阜県職員組合に寄付を行っていたこと、梶原らは組合から貸付を受けていたことが明らかになった。 報道では、組合員は給与の1.2%を組合費として納付する。だが管理職に昇任して組合員でなくなった場合も、本人から要請がない限り県が自動的に給与の1.1%を控除。「寄付金」として組合に納めている。この寄付金は組合の一般会計の財源となっている。 寄付者は組合の福利厚生上の各種制度を利用することができるという。 被告発人梶原拓は、1989年に岐阜県知事に就任、それ以後毎月の「給与の1.1%を組合に支払うこと」」(本件支払い行為という)を続けていた。 (2) 岐阜県庁の裏金問題で、被告発人梶原拓前知事が、裏金が原資の一部となっている県職員組合の職務関連訴訟等特別会計から借り入れをしていた。組合は、県から裏金が移し替えられた年と同じ1999(平成11)年に同特別会計を立ち上げた。原資の中には、裏金が組み入れられていたことが、県の内部調査で分かっている。 借り入れができるのは、組合員のほか、非組合員でも組合に寄付をした者とされている。組合員個人が、職務に関連して住民訴訟などで訴えられた場合に、弁護士費用や裁判費用を借りる。 被告発人梶原拓はこれまでに14件の借り入れを申請。一部が返済されたが、借り入れは残ったままになっている。組合員が裁判で負けた場合などで中央執行委員会が適当と認めれば、全部または一部の返済が免除されるという。 3. 被告発人梶原拓の公職選挙法違反について (1) 会費について 職員は、管理職になると組合の構成員からはずれる。そもそも、知事には組合員の資格はないから、組合に「会費」を支払う義務はない。支払う義務が無いにもかかわらずなされた本件支払い行為は、「一方的な寄付」にあたる。 仮に組合側に、金を払ったら組合員とみなす、あるいは会員に準じた者となるとの認識があるとしても、政治家の場合は公職選挙法が罰則をもって禁止する「寄付」とみなされることに変わりはない。 (2) 債務の履行について 本件支払い行為と貸付の両者の関係は「債権債務の関係には無い」から、公職選挙法が罰則をもって禁止する「寄付」にあたる。 (3) 実際、全国の都道府県で岐阜県のように知事らの職員組合への寄付はないとされる。 4. まとめ 被告発人梶原拓は、職員組合との良好な関係を期待して就任以来本件支払い行為を継続してきたもので、それ以前からの習慣であったとはいえ自覚的である。公職選挙法第199条の2第1項の(公職の候補者等の寄附の禁止)は、厳格な規定でてあるところ、本件支払い行為につき、第199条の2の第1項、第249条の2の1項、2項、3項の罪を構成すると思料される。 よって、捜査の上、刑事処分を願いたく告発する。 以 上 ○ 資料-1ないし5 新聞各紙 2006年8月3日付け 岐阜新聞記事 2006年8月5日付け 中日新聞記事 2006年8月10日付け 朝日新聞記事 2006年8月11日付け 毎日新聞記事 2006年8月13日付け 読売新聞記事 ○ 資料-2 公職選挙法(昭和25年4月15日法律100号) (収入、寄附及び支出の定義)第179条 第2項 この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう。 (公職の候補者等の寄附の禁止)第199条の2 1項 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならない。 (公職の候補者等の寄附の制限違反) 第249条の2 第199条の2第1項の規定に違反して当該選挙に関し寄付をした者は、1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。 2 通常一般の社交の程度を超えて第199条の2第1項の規定に違反して寄附をした者は、当該選挙に関して同項の規定に違反したものとみなす。 3 第199条の2第1項の規定に違反して寄附(当該選挙に関しないもので、かつ、通常一般の社交の程度を超えないものに限る。)をした者で、次の各号に掲げる寄附以外の寄附をしたものは、50万円以下の罰金に処する。 なお、添付の地方選挙の手引き(平成15年)選挙制度研究会編(発行者「ぎょうせい」)によれば、以下と解説されている。 2 候補者等の寄附の禁止(法199の2) 侯補者等は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下同じ.)内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず寄附をしてはならない。この場合、その寄附が選挙に関すると否を問わず、また、時期のいかんを問わず禁止される。 「当該選挙区内にある者」とは、その老が選挙権・被選挙権を有すると杏とにかかわらず、また、その区域内に住所又は居所を有する老だけでなく、一時的な滞在者をも含み、かつ、人、法人だけでなく、人格のない社団も含むと解される。 「寄附」とは、公選法第179条に規定する寄附の意であり、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費、その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう。 例えば、候補者等が町内のお祭りに酒を差し入れたり、町内会のスポーツ大会に際してカップや記念品を贈ったりすることは財産上の利益の供与に当たるので禁止されるが、会費制の会合に出席し、定められた会費を支払うことはそれが妥当な額の会費であり単なる債務の履行と認められる場合には禁止されていない。 「いかなる名義をもってするを問わず」とは、どのような理由をもってしてもの意であり、したがって候補者等の政治活動や選挙に関しない通常の社交上の寄附であっても選挙区内にある者に対するものは禁止されるものである。 候補者等がする寄附は、次の(1)(2)(3)を除いて、一切禁止される。 以上
岐阜県警本部長 様 206年8月14日 告 発 状 告発人 くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク 事務局 寺町知正 岐阜県山県市西深瀬208-1 被告発人 坂上一秀 居所不詳 被告発人 水谷雅孝 居所不詳 被告発人 三浦孝雄 居所不詳 被告発人 岐阜県職員組合(代表者執行委員長三浦孝雄) 岐阜市藪田南2丁目1番1号 岐阜県庁内 告発の趣旨 被告発人は、後記の通り貸金業法に抵触する罪を犯した容疑があるので、速やかに捜査の上、刑事処分を求めます。 告発の理由 1. 被告発人ら 被告発人坂上一秀は、1994年度から1996年度の岐阜県職員組合(以下、組合という)副委員長であって、1997年度から2000年度の委員長であった。 被告発人水谷雅孝は、1999年度から2000年度の組合書記長であっって、2001年度から2005年度の委員長であった。 被告発人三浦孝雄は、2004年度から2005年度の書記長であって、2006年度の委員長である。 被告発人岐阜県職員組合(代表者執行委員長三浦孝雄)は、岐阜県職員の労働組合であり、岐阜県本庁舎内に事務所を置く。 2. 事件の概略 (新聞各紙参照) (梶原告発文と同じなので省略) 3. 被告発人岐阜県職員組合委員長らの貸金業法違反について 被告発人岐阜県職員組合の代表である被告発人坂上一秀、同水谷雅孝、同三浦孝雄は、岐阜県知事の登録を受けないで、かつ、法定の除外事由がないにもかかわらず、1999年ころから2004年ころまでの間、岐阜市藪田南2丁目1番1号岐阜県庁内2階の職員組合事務所において、同組合の「職務関連訴訟等特別会計」の名称の貸付制度で、(1)貸金業を営む旨を、知事ら組合員でない者を含む岐阜県職員に対して広告および勧誘し(2))梶原拓ほか12名に対し、前後数回にわたり、貸付名目で合計5700万円を業として貸し付け、もって、無登録で貸金業を営んだ。 (3)組合にも責任がある。 4. まとめ 被告発人の組合委員長らは、貸金業の規制等に関する法律に関して、無登録で貸金業を営み、(1)広告および勧誘した行為につき、49条2号、11条2項2号、3条1項(2)貸付をした行為につき、47条2号、11条1項、3条1項、組合は(3)法人の責任につき、51条1項の罪を構成すると思料される。 よって、捜査の上、刑事処分を願いたく告発する。 以 上 ○ 資料-1ないし5 新聞各紙 (梶原告発文と同じなので省略) ○資料-2 貸金業の規制等に関する法律(昭和58年法律第32号) 無登録で貸金業を営み、 (1)広告および勧誘した行為につき、49条2号、11条2項2号、3条1項 (2)貸付をした行為につき、47条2号、11条1項、3条1項 (3)法人の責任につき、51条1項。 第3条1項 貸金業を営もうとする者は、2以上の都道府県の区域内に営業所又は事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては内閣総理大臣の、1の都道府県の区域内にのみ営業所又は事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては当該営業所又は事務所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。 第11条1項 第3条1項の登録を受けない者は、貸金業を営んではならない。 2項 第3条1項の登録を受けない者は、次に掲げる行為をしてはならない。 一 貸金業を営む旨の表示をすること。 二 貸金業を営む目的をもつて、広告をし、又は貸付けの契約の締結について勧誘をすること。 第47条 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 二 第11条1項の規定に違反した者 第49条 次の各号のいずれかに該当する者は、100万円以下の罰金に処する。 二 第11条2項の規定に違反した者 第51条1項 法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。 一 第47条 一億円以下の罰金刑 二 第47条の2から前条まで 各本条の罰金刑 第2項 前項の規定により第47条の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、同条の規定の罪についての時効の期間による。 第2項 人格のない社団又は財団について第1項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につきその人格のない社団又は財団を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。 以上