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てらまち・ねっと



 石原産業のフェロシルト問題、
 夏に明らかになった農薬原料の製造過程物質を瀬戸に捨てていた件で会社の告発を津地検が受理。
 奇しくも、四日市公害の判決から35年ということで新聞各紙の三重版では特集が組まれた。

 岐阜県では過日中津川でみつかった場所から基準値を超える有害物質県内では埋設地が15カ所確認された。県内では、今回を含め14カ所で六価クロムなどの有害物質が検出された。

 愛知県でも、豊明、長久手、瀬戸で新たな投棄場所が見つかった。

 こんな話、まだ続くのだろう。

 ところで、石原産業関係者に対する株主代表訴訟は、先日10月24日の期日(私はいけなかったけれど)に続いて、
  次回期日は、 12月 6日(木)午前11時30分
  次々回期日は、 1月16日(水)午後 1時15分
 となった。
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● 石原産業:愛知・瀬戸の産廃投棄 津地検が告発状受理  毎日 10月5日 
 ◇元副工場長ら不法投棄
 土壌埋め戻し材「フェロシルト」の不法投棄事件で化学メーカー、石原産業(大阪市)の元四日市工場副工場長、佐藤驍被告(70)=廃棄物処理法違反罪で公判中=らが、愛知県瀬戸市に有害物質を含む産業廃棄物を不法投棄していた問題で、津地検は4日、佐藤被告とフェロシルトを購入していた愛知県の業者2人の計3人に対する同法違反容疑での同社の告発状を受理したと発表した。
 石原産業などによると、佐藤被告らは、農薬の原料の製造過程で生じた同工場内で焼却処理することになっている六価クロムなどの有害物質を含む産業廃棄物約257トンを04年11~12月に瀬戸市広之田町と余床町の民有地に埋設していた。【飯田和樹】毎日新聞 2007年10月5日 中部朝刊

● 石原産業:四日市工場に産廃不適正保管 三重県が改善命令  毎日 10月2日
 土壌埋め戻し材「フェロシルト」の不法投棄事件で有罪判決を受けた化学メーカー、石原産業(大阪市)が、六価クロムなど有害物質を含む産業廃棄物を愛知県瀬戸市に不法投棄していた問題で、三重県は1日、これと同じ産廃約70トンが同社四日市工場(同県四日市市)に不適正に保管されているとして、同社に全量撤去を求める改善命令を出した。撤去量は産廃を覆った石こうなどを含め約650トンに上るという。
 産廃は、同工場の農薬製造過程で04年9~12月に発生した有機塩素系廃油に、焼石こうなどを加えたもの。瀬戸市内に不法投棄された以外の約70トンを石こうで覆って同工場内に保管していた。三重県が9月に行った調査では、有害な有機塩素系化合物が、国の基準の約3倍の濃度で検出された。だが、地下水汚染防止のための排水処理施設がないほか、浸透防止のシートも敷いていおらず、廃棄物処理法に違反していた。
 改善命令では、全量撤去のほか、同工場内で一時保管する場合、容器に入れ密閉するなどの措置を求めている。同社の炭野泰男取締役は「早期に撤去計画を立てて県に提出し、処分場が確保でき次第、早期に撤去したい」としている。【田中功一】毎日新聞 2007年10月2日 0時06分

● 基準超す六価クロム検出 フェロシルト埋設地  岐阜 2007年10月20日 
 石原産業(大阪市)が製造した有害物質を含む土壌埋め戻し材「フェロシルト」の不法投棄問題で県は19日、中津川市中津川のフェロシルト埋設地の土壌から、環境基準を超える六価クロムと、フッ素が検出されたと発表した。県は同日、石原産業に撤去計画の提出と、早期の全量撤去を指示した。
 県は先月19日に採取した土壌について、重金属など25項目の溶出試験を実施。その結果、環境基準の15倍に上る1リットル中0・77ミリグラムの六価クロム、基準の1・25倍の1ミリグラムのフッ素が検出された。それ以外の検査項目は、いずれも環境基準に適合していた。
 県では撤去作業が始まった場合、作業の監視、指導も行う方針。

● 岐阜・中津川のフェロシルト問題:埋設地から六価クロムとフッ素  毎日 10月20日
 岐阜県は19日、石原産業(大阪市)製造の土壌埋め戻し材「フェロシルト」の埋設が見つかった同県中津川市中津川の造成地で採取した土壌から、国の環境基準を上回る重金属・六価クロムとフッ素を検出したと発表した。六価クロムは基準の15・4倍、フッ素は1・25倍検出された。県は早期撤去を同社に指示した。
 この造成地へのフェロシルト埋設量は最大150トンとみられる。県内では埋設地が15カ所確認されており、今回を含め14カ所で六価クロムなどの有害物質が検出された。毎日新聞 2007年10月20日 中部朝刊

● フェロシルト、新たに3カ所 学校、田んぼ…困惑と怒り  中日 2007年10月23日 
 どこまで石原産業(大阪市)に振り回されるのか。二十二日、新たに三カ所の埋設地が発覚した土壌埋め戻し材「フェロシルト」。今回は学校の駐車場と田んぼという住民生活に極めて密接した場所での埋め立てだけに、早期撤去を求める声は一層強まっている。(榊原智康、伊藤儀雄)

 新たに判明したのは、豊明市栄町舟田▽長久手町岩作▽瀬戸市新田町-の三カ所。埋設された場所は合わせて一万八百平方メートルに及ぶ。
 豊明市の現場は、刈谷市との境になっている境川沿いの農地。フェロシルトが埋設された約九千平方メートルの半分が田んぼとして使われ、七戸の農家が米を栽培し、残りは休耕田になっている。
 豊明市によると、現場は「大脇土地改良区」の事業地。二〇〇二年六月ごろ、田んぼのかさ上げなどの改良をした際にフェロシルトが埋められたという。
 現場の隣に田んぼを持つ刈谷市の農業男性(80)は「米を検査した結果、環境基準値を上回る有害成分はないとのことだが、この一帯で作っている米全体に悪い評判が立たないか心配」と懸念を示す。土地改良区の鈴木勝喜理事長(69)は「農地を改良するはずが、こんな形で有害物質を持ち込まれ困っている。一刻も早く撤去してもらいたい」と話した。

 長久手町岩作の私立栄徳高校では、敷地内の駐車場と駐輪場の一部でフェロシルトの埋設が確認された。近藤新二校長は「駐車場と駐輪場は他の場所で代用できるので学校運営に大きな支障はないが、まったく迷惑な話。生徒に心配をかけないよう安全面に十分配慮した上で、土壌の入れ替え工事を求める」と強調。
 長久手町の川崎善秀環境課長は「以前町内で問題になった埋設地では撤去量が当初推計の三倍になった。今回はそういうことが無いよう場所と埋設量をはっきりさせ、早期の全量撤去を強く求めていく」と強い口調で話した

● フェロシルト:埋設新たに3カ所確認 石原産業、愛知県に報告  毎日 10月23日
 愛知県は22日、六価クロムなど有害物質が検出された土壌埋め戻し材「フェロシルト」が、新たに県内3カ所で埋設されていることが判明したと発表した。製造元の石原産業(大阪市)が同日、県に報告した。同社は全量撤去する方針。
 新たに確認されたのは、▽豊明市栄町舟田の水田(約9000平方メートル)▽長久手町岩作の私立高校の駐車場(約1700平方メートル)▽瀬戸市新田町の畑(約100平方メートル)--で、同社が土壌調査を実施し、確認した。埋設量や埋設の経緯は明らかになっていない。県廃棄物監視指導室によると、生育した稲などの農作物が六価クロムなどを含有する恐れはないという。
 同県内でフェロシルトが埋設されたのはこれで計20地点となり、このうち12地点での撤去が完了している。【武本光政】毎日新聞 2007年10月23日 中部朝刊

● 企画特集3
【終わらぬ公害 四日市訴訟判決から35年】
  朝日 
 •【第1部】 5 市民の意識 (08/11)
 •【第1部】 4 なれ合い (08/10)
 •【第1部】 3 規制緩和 (08/08)
 •【第1部】 2 フェロシルト (08/07)
 •【第1部】 1 続く苦痛  (08/06)

● 【第1部】 4 なれ合い  朝日 2007年08月10日
 ◇◆有害物質にお墨付き 検査機関は「産官」一体◆◇
 40年以上、四日市の公害を記録し続ける沢井余志郎(79)が、今でも思い出す光景がある。77年2月。石原産業の廃硫酸垂れ流し事件の裁判が津地裁で続く寒い日のことだった。
 同社が廃硫酸などを脱水処理した汚泥「アイアンクレイ」が、旧楠町吉崎の海岸近くに埋め立て処分されていた。その約3カ月前、県が許可していたが、地元の漁師が「変な赤い水が流れ出て魚が寄りつかなくなった」と騒いでいた。
 名古屋大で分析してもらおうと、沢井たちが処分場周辺を調べていると、腕章をした男が近寄ってきた。男は言った。「まったく安全。分析してもらわなくてもいい」
 沢井が赤くなったリトマス試験紙を見せ、「なぜこうなるのか。何が入っているのか教えてくれ」と尋ねると、「何が入っているかはわからない。安全だと言え、と上の人に言われている」という答えが返ってきた。
 沢井たちは、その足で同社四日市工場に向かった。押し問答しているうちに守衛が認めた。「腕章をした人なら、だいぶ前に(ここに)帰ってきましたよ」
 腕章には「県環境衛生検査センター」とあった。県の外郭団体で県環境保全事業団の前身だった。

 ■      □
 アイアンクレイの処分をめぐっては、川越町や四日市市八郷地区などで住民の反対運動が起きた。沢井たちは高濃度の硫酸分を含むといった独自の分析結果を住民に知らせたが、県の姿勢は「問題ない」だった。
 その後、87~89年度、アイアンクレイの有効利用を探るため、県は同社と共同研究に取り組んだ。土木建築資材として使うには技術的な問題が残るとの結論に終わったが、分析試験で六価クロムを検出していた。
 98年、同社は「有害物をのぞいた」とするフェロシルトを商品化。01年8月から販売を始め、03年3月、推奨リサイクル製品としての認定を県に申請した。
 申請の書類には、県環境保全事業団が成分分析した証明書も添えられた。六価クロムなど26の化学物質について、すべて環境基準を下回っているという内容だった。
 事業団は県やコンビナート企業などが出資する県の外郭団体。77年の設立当初から、同社の歴代四日市工場長が理事に就いてきた。しかし、フェロシルト問題発覚後の05年10月、任期途中で辞任している。
 沢井はこうみる。「産廃を出す側と、監督する側が、なれ合いの組織をつくったことが元凶だったのではないか」

 ■      □
 廃硫酸垂れ流し事件で69年12月、四日市海上保安部が同社からメモを押収した。無届けで工場を増設したことをごまかすため、架空の届け出を提出していたかのように装うよう名古屋通産局(当時)に指導されたことが記されていた。
 そして、フェロシルト事件では、県や県の外郭団体と同社のなれ合いが不正を生み、「推奨リサイクル製品」認定が被害をひろげた。垂れ流し事件と同じ構図がまたも繰り返された。
 原告患者の野田之一(75)はあきれかえる。
 「刑事事件になってんのやから、行政は、監視していく義務があるはずや。怠っとるだけならいいけど、お墨付き与えてどうすんの」(敬称略)



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 先日、関係者からも電話があった。
 きょう10月26日(金)11時から、静岡地方裁判所で浜岡原発を止める裁判の判決がある。

 業界も行政も注目している。
 新潟の中越沖地震での東京電力柏崎刈羽原発のこともあるからなおさら。
 むろん、新聞各紙も事前に特集を組んでいる。
 
 ところで、判決の2日前の24日に締結された安全協定。
 真意はみえみえ。
 しかも、「浜岡原発の安全協定には全国で唯一、原子炉の新増設やプルサーマルの導入など重要な変更時に電力会社が地元自治体の『事前了解』を得る条項が盛り込まれていない」という。

 ともかく、関連情報を紹介しよう。

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   ◎ 浜岡原発とめよう裁判の会
   ◎ ストップ浜岡原発@ブログ の
         10月21日の判決前集会のお知らせ
   ◎ NPJ News for the People in Japan の
      NPJ弁護士の訟廷日誌 の
        NPJ 原発を止めよう!~浜岡原発差止仮処分・本訴 から以下を引用

原発を止めよう!~浜岡原発差止仮処分・本訴

事件名:浜岡原子力発電所運転差止仮処分申立事件
      浜岡原子力発電所運転差止請求事件
内  容:浜岡原発震災を止めるための運転差止
当事者:浜岡原発周辺住民VS中部電力株式会社
係属機関:静岡地方裁判所
次回期日:10月26日(金) 午前11時
傍聴希望者集合場所:静岡地裁 (傍聴は抽選予定)
紹介者:青木秀樹弁護士
連絡先:浜岡原発止めよう裁判の会

【はじめに】
  東海地震が発生したら、震源域の真ん中の直上に立つ浜岡原発での揺れは、中越沖地震による柏崎刈羽原発のそれをはるかに上回るでしょう。その浜岡原発について、東海地震が起こる前に止めるよう求める運転差止裁判が2004年4月以来、静岡地裁で闘われています。

  中越沖地震では、原告が主張してきたことを裏付ける事実が次々と明らかになっています。原告が主張してきた超東海地震については、調査によりその発生が確認されています。判決は10月26日です。原告側に大変有利な状況で判決を迎えます。訴訟団も支援者も勝利判決を確信しています。

【本訴請求の趣旨=判決で求める内容】
1 被告は、静岡県小笠郡浜岡町佐倉5561所在の浜岡原子力発電所1号機ないし4号機を運転してはならない。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

【本訴請求の原因=請求の根拠=の概要】
① 老朽化し、圧力容器・配管系に重大な欠陥を抱えている原発を巨大地震が襲うことによって、安全審査で想定された事故を遥かに超える重大な原発事故が発生する恐れが極めて強いこと。

② 重大な原発事故による被害と巨大地震による大震災の相乗作用によって、人類がかつて経験したことがない悲惨な地震・核複合被害が発生するおそれが極めて強いこと。阪神・淡路大震災の現地をチェルノブイリ原発事故が襲いかかることを想定しなければならないのである。
  その時間的空間的影響は、広島、長崎の核爆弾の投下直後を上回るものと言わなければならない。浜岡原発にため込まれている死の灰の量は広島・長崎級の核爆弾の数千倍だからである。

【次回期日の紹介】
  次回は判決です。10月26日(金)午前11時。静岡地裁にて。ただし、抽選なので、法廷内には入ることができないかもしれません。とはいえ、弁護団の「歴史的」な解説を見るだけでも十分に価値があるかも。

【カンパのお願い】
  結審とはなったものの、出費はまだまだ続きます。カンパ大歓迎。
  〒420-0007 静岡市柳町16-1
  TEL 054-271-7302 FAX 054-271-7339
  郵便振替口座
  口座名称 浜岡原発訴訟団
  口座番号 00870-5-95420
(文責:NPJスタッフがウエブサイトを参照して執筆)


● 浜岡原発差し止め訴訟 26日判決 
停止なら 中電 政策見直しも 代替の発電コスト増1日「億単位」
 
  2007.10.24 読売
  
 中部電力浜岡原子力発電所(本社ヘリから)

 中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の1~4号機の耐震性を争点に、住民グループが運転差し止めを求めている訴訟で、静岡地裁の判決が今月26日に予定されている。運転の即時停止を求める仮処分申請もついている。判決の行方は不透明だが、仮に原発の運転停止という事態になれば、中電の経営収支にマイナスに働くだけでなく、将来の国の原子力政策にも大きく影響する。中電関係者は警戒感を強めている。(野矢充)

【耐震安全性】
 住民側は、想定外の巨大地震が発生する可能性があるとし、危険性が少しでもあれば運転は許されないと主張。機器の老朽化も耐震性を引き下げるとした。
 これに対し、中電は1854年の安政東海地震(マグニチュード8・4)クラスの巨大地震にも余裕を持たせた耐震設計とし、定期点検や部品取り換えなどを考慮すれば、耐震安全性は確保されるとする。
 三田敏雄社長は「裁判所に理解をしていただけるものと確信している」と、差し止め請求の棄却に自信を示している。ただ、「安全性と住民の安心は別物」とも考え、耐震性向上の工事は自主的に進めている。
 7月の新潟県中越沖地震では、東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)が被害を受け、原発の耐震性が議論されたばかり。「判決に楽観はしていない」と話す中電関係者は多い。

【実質2基】
 中電の電源設備全体に占める原子力発電の割合は15%だ。東京電力の28%、関西電力と九州電力の27%(10電力合計で23%)と比べて、もともと低い。浜岡原発の1~5号機のうち、05年稼働の5号機は訴訟の対象外だ。1970年代から長期間使用してきた1、2号機は、耐震性の向上に向けた評価や工事のため、11年3月までの停止が既定路線となっている。
 1~4号機すべてが運転差し止めとなった場合、実質的に影響するのは、稼働中の3号機と、12月にも約2か月半の定期検査が終わって稼働予定の4号機となる。この不足分を補うためには、火力発電所などの代替稼働を検討せざるをえない。
 しかし、液化天然ガス(LNG)などを燃料とする火力発電所は燃料コストが高く、コスト増の影響は1日に「億円単位」となる。昨年に5号機がタービン損傷で停止した際は1日約3億円だった。

【電力安定供給】
 中電の発電設備は、定期検査や長期停止の分も含めると、出力の合計が3259万キロ・ワットだ。このうち、浜岡3、4号機は約7%を占めている。
 今夏に過去最高を記録した最大電力が2797万キロ・ワットだったことから、数字上は3、4号機を動かさなくても、他の設備を有効に使えば、供給不足は回避できる。
 ただ、冬季は定期検査のために止める発電所が増える。長期停止中の発電所を再稼働させるには準備が必要なうえ、古い発電所はエネルギー効率に劣る。このため、効率性や供給安定性を考慮して、火力発電所などをどう組み合わせて稼働させるのか早急な対応が必要となる。

【長期計画】
 判決次第で中電の長期計画にも響く。16年度までの電源設備計画で、電源開発の大間原発(青森県)や日本原子力発電の敦賀3、4号機からの受電を見込み、発電電力量でみた原子力比率は06年度の15%から16年度には29%に伸びると想定する。しかし、その数字も浜岡原発が安定的に稼働し続けた場合だ。運転差し止め判決なら、原発政策の見直しが必要となる。
 さらに、中電は、使用済み燃料を再利用する「プルサーマル計画」を10年度から4号機で開始する方針だが、運転差し止めなら計画を根底から見直さざるを得ない状況になる。 (2007年10月24日 読売新聞)

● 石川知事・浜岡原発差し止め判決なら 『プルサーマルに影響』  中日 2007年10月23日
 静岡地裁で26日に判決が言い渡される中部電力浜岡原発(御前崎市)の運転差し止め訴訟について、石川嘉延静岡県知事は22日の定例記者会見で「差し止めが認められれば、プルサーマル以前の大問題。プルサーマルを議論する余地もないということになりかねない」と述べ、中電が敗訴した場合は浜岡原発4号機でのプルサーマル計画にも大きな影響が出るとの見通しを示した。
 一方で、原告が敗訴した場合には「少なくともプルサーマルにマイナスに働くことはないと思うが、判決が出てみないと何とも言えない」と述べた。

● 御前崎市が浜岡原発と安全協定調印 『事前了解』なしの合意  中日 2007年10月24日
 中部電力浜岡原発(御前崎市)と県、地元4市(御前崎、掛川、菊川、牧之原)が締結している安全協定を合併後の新市名で再調印することで合意したことを受け、御前崎市の石原茂雄市長は23日、県の要請に応じ当事者のトップを切って新しい協定書などに公印を押した。
 当事者間の日程調整が困難なため、調印式の形はとらず、県防災局の岡部昭典原子力安全対策室長がこの日、協定書を持参し、御前崎市役所に来庁した。岡部室長は今後、他の3市、中電本社(名古屋市)を今月末までに順次訪れ、押印を得ていく予定。同手順を経て、新協定は11月1日から運用される運びだ。

 浜岡原発の安全協定には全国で唯一、原子炉の新増設やプルサーマルの導入など重要な変更時に電力会社が地元自治体の「事前了解」を得る条項が盛り込まれていない。このため論議が巻き起こったが、事前の通報、協議を通じて実質的な事前了解が担保されていることを記した事務レベルの「解釈書」を、公文書に格上げすることで、決着の形となった。

 石原市長は「協定内容や解釈書を広報紙に載せることも検討し、市民への浸透を図っていく。事前了解はすべての人が納得したと言えないが、説明して理解を得たい」とした。
 石原市長は25-29日、県と中国浙江省との友好提携25周年記念式典に出席する各界友好代表団として訪中する。浜岡原発の地元4市による安全等対策協議会は次回、31日に御前崎市で開催。26日に静岡地裁で言い渡される浜岡原発運転差し止め訴訟の判決結果について、中電から報告を受ける予定だ。 (中野吉洋)

● 耐震安全性が焦点に 運転再開の行方  毎日 2007年10月20日
停止中の志賀原発。運転再開に向け耐震安全性も問われている=石川県志賀町で、本社ヘリ「まなづる」から
「会社始まって以来の危機です」。北陸電力の幹部は率直に打ち明ける。志賀原発の停止に伴う損失は、割高な火力発電所の稼働率増による燃料費増加分だけで一日一億円。影響がいかに深刻かは、経常利益が前期比九割減に落ち込むとする二〇〇八年三月期の連結業績予想を見ても明らかだ。
 一日も早い運転再開を望む北電。臨界事故隠しに伴う国の行政処分では停止命令を免れ、能登半島地震に伴う耐震安全性評価の国の審査もクリア。再開へのハードルは地元合意に絞られるはずだった。しかし、七月の新潟県中越沖地震に伴う柏崎刈羽原発のトラブルで算段は狂った。

 八月下旬、北電は十月に計画していた新耐震指針に基づく志賀原発の耐震安全性評価の国への報告を一年先延ばしすると発表。国の指示で、能登半島地震を含む二つの地震で得られる知見を評価に反映させるためだ。
 北電幹部は「中越沖地震を受けたこれまでの評価でも、志賀原発の重要設備は健全性を有している。新指針に基づく評価の遅れは、足かせにならない」とする。だが、原発の耐震安全性を見つめる世間の目は厳しくなり、より慎重な対応が求められるようになっている。
 北電は、来年三月に予定する新耐震指針に基づく評価の中間報告を見据え、来年度早々の運転再開を探っているとみられる。
 志賀町の細川義雄町長は「地元の皆さんの同意と信頼回復がない限り、再開はとんでもない話だ」としながらも、「少なくとも年内の再開はあり得ない」という表現で、来年以降に含みを残す。林一夫町議長も「柏崎刈羽原発の対応を確認した上での対応になるが、あまり運転停止の期間を延ばすのもどうか」との見方を示す。

 こんな中、注目されるのが、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転差し止め訴訟。二十六日に静岡地裁で判決が言い渡される。原発の老朽化や東海地震に対する耐震設計の妥当性が焦点になっている。
 営業中の原発の運転を差し止める全国初の判決となった、昨年三月の志賀2号機運転差し止め訴訟の一審敗訴の衝撃はいまも残る。原告団の堂下健一団長は「耐震安全性が焦点となる浜岡訴訟でも原告が勝てば、相当なインパクトになる」と指摘する。
 北電は裁判について「立地条件など浜岡原発と志賀原発は別もの」としている。だが、原告勝訴はもちろん判決内容によっては、運転再開に向けた住民への理解獲得に、これまで以上の努力が求められるのは必至だ。(山森保、小塚泉)

● 【警鐘は止まず 東海地震特集】
柏崎刈羽・黒煙の衝撃 浜岡原発は<上> 揺らぐ 地元の信頼
  毎日 2007年7月26日
 世界で初めて原子力発電所直下で起きた新潟県中越沖地震。被災した東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)で想定外のトラブルを相次いで誘発し、原発の「安全神話」を大きく揺さぶった。東海地震の想定震源域の真ん中にある中部電力浜岡原発(御前崎市)では、国の基準を先取りする形で耐震強化が進められてきた。地元住民の信頼が前提だった原発。浜岡で地震の余波を追った。

『地震+火災』想定なし
 浜岡原発の周辺には「東海地震が起きれば、原発に逃げ込めばいい」という笑い話がある。「原発は地震でもビクともしないほど頑丈にできているはず」という住民の“信頼感”の表れだ。
 だが、息子が原発で働いているという男性(67)は「もう笑えなくなった」とつぶやいた。中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発からもうもうと上がる黒煙のテレビ映像が、頭にこびりついて離れないからだ。

 地震で消火用配管がズタズタになり、ホースからは1メートルしか水が飛ばない。東電の自衛消防隊は機能せず、頼みの消防は手いっぱいで来られない…。鎮火まで2時間弱かかった火災は、原発の消防体制の未熟さを浮き彫りにした。
 「浜岡原発だけを特別扱いにはできない」。この原発を抱える牧之原市御前崎市広域施設組合消防本部の川嶋定雄消防次長は言い切った。

 東海地震は中越沖地震を上回るマグニチュード(M)8クラスと想定される。もし起きれば倒壊家屋からのけが人の救出や搬送で、混乱するのは目に見えている。職員数はわずか63人。原発火災に割ける要員はおのずと限られる。
 中電は中越沖地震を受け24日、浜岡で柏崎刈羽と同様の変圧器火災を想定した消火訓練を実施した。社員らで組織する自衛消防隊の任務を確認するのが狙いだった。

 100人近くの報道陣らを前に、中電の担当者は「火事が複数個所で同時発生しても対応できる」と胸を張った。だが、視察した地元関係者からは「緊急呼び出しをしたわけでもなく、デモンストレーション。東海地震で実際に機能するかは分からない」との声が漏れた。
 柏崎刈羽でこうした消防隊が有効に機能しなかったのは、地震対応に人手を割かれたからだ。地震に伴う火災の事前想定はなく、中電のマニュアルも地震と火災は個別に規定している。

 宇都宮大の松岡猛教授(システム工学)は「国や電力各社はこれまで、地震時の原発火災のリスク評価をしていない。炉心損傷など大事故につながる確率を出すべきで、評価もせずに『安全である』とは言えないはず」と指摘する。
 さらに原発には、原子炉などの重要施設には最高度の耐震性を求めるが、今回の出火元となった変圧器など付帯施設にそこまでの規定はない。浜岡の変圧器も建築基準法に適合する耐震性しか求められていない。

 「見直すべきところは徹底的に見直して改善を」。中電はほかの電力会社とともに経済産業省の指示を受け、本店の原子力部と浜岡原子力総合事務所の担当者らが休日返上で、浜岡の体制に「死角」がないか、洗い出しを進めている。
 消防と直通回線がないことなどが課題として浮上しているといい、見直し結果を26日、経産省に報告する。

 「同じことが浜岡で起きるかもしれない。でも、中電を信じるしかない。私たちはここで生きていくんだから」。御前崎市の自営業男性(58)は、中電から納得のいく説明を待っている。

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