2007年12月05日 パイプ栽培 楽しく手軽 【寺町 知正さん】 (写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
粘るイモを二十数年前から作っている。
このイモの仲間は、中長や扇形のヤマトイモ類、球形のマルイモ類、細長いヤマイモ類。ヤマイモは、大ざっぱに言えば3タイプある。
山野に自生する本物のジネンジョ、粘りが比較的少なく最も商品化されているナガイモ、両者の中間的な形や性質のヤマイモだ。
私は長年、ヤマイモを主体に作ってきたが、掘り出すのが大変だ。スコップの長さほどにも伸びていたら、真冬でも汗が出る。
3年前の春、水道管を細工したような灰色のパイプを見かけた。想像をかき立てる形状。作り方を調べた。長さ1メートル以上のパイプをゆるく斜めに埋めるから収穫しやすい、その発想と理屈に驚嘆した。
さっそく植え付け、年末に初めて掘ってみたら、なんと手軽で楽しいこと。長さ1メートル前後のイモがスッ、スッと掘れる。パイプ栽培にはまった。
今年はジネンジョの種イモを通信販売で60本も手に入れ、植え付けた。先日、試しに掘ってみた。数本のつもりがホイホイワクワク楽しいから、続けて15本も抜き出してしまった。もちろん、味は絶品だ。
畑の仕事は、作付けも収穫も楽しい。中でも、この「ヤマイモのパイプ栽培」なら、収穫の喜びも最高級だ。この横に長く作る山芋は、やせた畑でもどこでもできそうだし、農の暮らしにメリハリを付けるには持ってこいだ。
ヤマイモ類の植え付け適期は春の桜の花が咲く頃。この連載が続いていれば、その時期に改めて作り方のカンどころや妙味を紹介したい。
ともかく、楽しみは待つものではなく、自らつくり出すもの、というのが私の持論だ。 |