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てらまち・ねっと



 我が家では長期の継続契約が何件かある。
 その一つの業者が6月の中旬ごろ、「来年から消費税が8%になるので、契約変更の契約をしたい。
 たくさんのお客さんなので間に合わないから、今説明して、8月ごろには契約したい。」 という。

 私は、「まだ選挙前で、争点にされている案件。いずれにしても最終決定してからしか再契約はしない」 と改めての訪問を求めた。

 それでも、 「皆さん、了解してくれますが・・・。一遍には大変なので、早めに準備したいのです。」 という。
 私は、「決定してもいないのに、決定したかのごとく再契約はしない。」 とお帰り願った。

 で、その消費税。自民党の議員は8%を多数が言っているらしい。
 ところが、ここにきて、安倍総理は慎重論に傾いているらしい。
 政治的な観点から。

 ということで、状況を見てみた。
 ブログの後半には、読み応えのある次の二つの意見を記録しておく。

 ★ 「消費増税は中間層を貧困にする愚策」と気鋭の女性経済学者」 岩本沙弓/週刊ポスト
 ★ 「日本経済の幻想と真実消費税の増税で税収は減るのかデータで見る日本財政の4つの神話」 池田 信夫/JBpress(日本ビジネスプレス)

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●消費増税 お金の流れは 社会保障限定 監視を
          東京 2013年8月17日
 二〇一四年四月に消費税率を現在の5%から8%に引き上げるかどうか、論議が活発化している。増税法では税収を社会保障に充てることが明記されているが、別の目的に使われる懸念は消えない。そもそも税収はどのように管理され、どう使われるのか。税の流れを整理した。 (石川智規)

 Q 税金はどう管理されるの。

 A 税金は、国民生活に必要な社会保障や教育、防衛などあらゆる公的サービスの財源として国民から集められる。徴収は主に税務署や各自治体の税務事務所が担う。税金や国債販売などで得た現金は、日銀が「国庫金」として管理すると会計法で定めている。

 Q 予算や税制を決める財務省ではないんだね。

 A そう。日銀が国庫金を「政府預金」として、受け入れと支払いの事務作業を担う。日銀が「政府の銀行」と呼ばれるゆえんだ。

 次に税金の流れを見てみよう。法人税や所得税、消費税などは国庫に入れば同じ「税収」となる。税金の種類は異なるが、お金に色はないからだ。そして国庫を出る際は、国の一般会計に入る。特定の目的で集めた税金は特別会計に入る。

 Q 消費税の使い道は社会保障費に限られると聞いたけど。

 A そう。一四年度以降は年金と医療、介護に加え、少子化対策を加えた「社会保障四経費」に充てることが、増税を裏付ける消費税増税関連法の中で明記された。今でも、予算執行の基本的なルールなどを記した毎年度の予算総則で、基礎年金と老人医療、介護の「高齢者三経費」に充てるとしている。今回の増税を国民に納得してもらうため、法律に明記することで使い道を限定することを強調したんだ。

 Q 本当に社会保障に限定されるのかな。

 A 復興増税を被災地以外の事業に流用した問題を見れば、懸念はもっともだ。それに増税法の付則で、増税で財政に余裕が出れば公共事業費を増やす余地を残した。税収として国庫に入った後、使い道を定める毎年度の予算を厳しくチェックすることが、極めて重要になるね。

●消費税、来年8%実行を 自民党税調会長・野田毅氏に聞く /設備投資、税や規制で促進
          2013/7/30付 情報元 日本経済新聞 
自民党の野田毅税制調査会長は29日、日本経済新聞のインタビューで、消費税率(現行5%)の引き上げについて消費増税法で定めた通り2014年4月に8%、15年10月に10%へ2段階で実行すべきだとの認識を示した。増税に伴う景気対策として企業に省エネルギーや耐震強化の投資を促す税制措置や規制強化策を導入する方針を表明。法人税の実効税率引き下げには慎重姿勢をみせた。

 野田氏は消費税率の引き上げに関し「消…

●来年度の経済は実質1%成長に減速 消費税増税なら
       産経 2013.7.30
 政府が平成26年度の経済成長見通しに関して、消費税を増税した場合、物価変動を除いた実質国内総生産(GDP)成長率を1%程度とする方針であることが30日分かった。13年度の実質成長率は2・8%程度と見込むが、14年度は増税による個人消費の落ち込みや緊急経済対策の効果が薄まることから成長が減速するとみている。

 政府は成長見通しを8月上旬の経済財政諮問会議で示す。消費税率は14年4月に8%に引き上げるとの前提で試算した。

 13年度の実質成長率はことし1月時点で2・5%と見込んでいたが、金融緩和などによる景気押し上げ効果で予測を引き上げる方向となった。

 消費税増税をめぐり、安倍晋三首相は、足元の経済指標や増税が景気に与える影響などを見極めて、税率を引き上げるかどうかを今秋にも最終判断する。

●本田内閣官房参与:年1%ずつ上げを、消費増税-景気「かなりぜい弱」
            bloomberg 2013/08/18
  8月18日(ブルームバーグ):安倍晋三首相のアドバイザーである本田悦朗内閣官房参与は18日、来年4月から予定されている消費税率の3%引き上げについて「懐疑的」とし、1年に1%ずつ5年間かけて5%引き上げるべきだとの考えをあらためて主張した。

本田氏はNHK番組の「日曜討論」で、4-6月期の実質国内総生産 (GDP)速報値の前期比年率2.6%増について「まずまずの数字だ」と評価した。同時に、アベノミクス効果で景気は回復過程にあるが「かなりぜい弱」との見方を示した。

その上で「デフレから脱却しつつあるその瞬間に消費税を増税するのはいかにもタイミングが悪い」として「できれば1年間待ってほしいが、何もしないで先延ばしをすれば財政健全化に疑念を生じる恐れがある」として税率の引き上げ幅の縮小に必要性を訴えた。

さらに「消費増税が消費に与える影響は大きい。名目GDPが増えれば税収も増加する。まずデフレ脱却を優先すべきだ」と強調。安倍首相は今秋に行う消費増税の最終判断について「経済指標などをもとに最善の選択をする」と語った。

消費増税法では、来年4月から3%、15年10月から2%と2段階で、消費税率を5%に引き上げる方針が明記されている。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 下土井京子

●本田内閣官房参与「景気は強くない」 消費税1%刻み、重ねて主張
                 産経 2013.8.18
 内閣官房参与の本田悦朗静岡県立大教授は18日、NHK番組で、景気の現状に関し「見掛けほど足腰は強くない」と指摘し、消費税率引き上げは景気への影響を抑えるため、5年間にわたり毎年1%ずつ実施するべきだとあらためて主張した。

 本田氏は「増税が消費に与える影響は大きい」と強調。来年4月に予定通り3%増税するのは上げ幅が大きすぎ、消費の急激な落ち込みにつながるとの懸念を示した。

 本田氏は景気の現状を「回復過程にあるが、駆け込み需要も起きている」と分析。1%ずつ増税する効果は、駆け込み需要やその反動減の動きを「平準化できる」とし、景気の急減速を回避できるとの見方を述べた。

 増税の先送りに対しては「財政健全化に疑念を生じる恐れがある」と、慎重な姿勢を示した。

●.消費税有識者会議の狙いとは? 懸念は“例のない”社会保障専門家
            zakzak 2013.08.16.
 消費税増税について、現政権は昨年12月の衆院選、今回の参院選でも、直接国民に信を問うていないが、前の民主党野田政権が提出した消費税増税法は、1年前の8月10日に成立している。
その法律の中に書かれている条項を根拠として、安倍晋三首相は秋までに最終判断をすることになっている。

 安倍首相は8日、消費税率引き上げの判断にあたり、有識者から広く意見聴取を行うよう関係閣僚に指示した。消費税率引き上げに関する有識者会議は、甘利明経済再生担当相ら関係閣僚の他、民間のエコノミストや社会保障の専門家ら約50人を集め、8月下旬から開催する予定という。

 安倍首相の指示を受けて、甘利担当相は、「判断材料の1つとして(議論を)とりまとめたい」と述べ、有識者会議の狙いとして「有識者、各業界を代表する方々が忌憚(きたん)なく議論し、国債の信認、財政の持続性など日本が抱えている課題についてベストな道を探る」こととした。

 ところで、どうして有識者会議を作るのだろうか。政府には、浜田宏一・エール大教授らの内閣参与が既にいる。彼らは経済政策の専門家として首相が判断するときにアドバイスをするのが仕事だ。彼らはアベノミクスを推進する立場から、消費税10+ 件増税に消極的な立場である。よもや、政府がそうしたアドバイスをひっくり返すために、有識者会議を新たに設けたとは信じがたい。消費税増税問題の判断は、その影響が広範に及ぶために念には念を入れていると思う。

 もっとも、社会保障の専門家といっても、これまで政府が重用してきた人は、先進国では例がなく、理論的な根拠すらない消費税の社会保障目的税化を推進するなど、ちょっと怪しい専門家だ。社会保障は所得再分配を行うので、原資は保険料と所得税というのが原則。

 また、資産・所得の捕捉に不公平があると所得再分配では致命的になるため、国民番号制や歳入庁が不可欠であるが、政府が呼ぼうとする専門家は歳入庁には何の関心も示していないので、まったく不安がないといえばウソになる。

 政府がこのような有識者会議を作る際には、既に結論が見えていることも少なくない。本当にガチンコであれば、賛成、反対について世論を代表するような比率で有識者を選ぶだろう。さらに、例えば動画で議論やそのプロセスを公開して行うだろう。ある団体の見解を一方的に読み上げるのではなく、中立的なコメンテーターを交えて議論を行うだろう。逆にいえば、どのような有識者を呼ぶか、どのような方法で議論するかで、有識者会議の結論が見えてくる。

 本来であれば、消費税10+ 件増税は総選挙のテーマとして国民の信を問わなければいけないテーマである。その代わりに有識者会議を設けて議論するというのだから、世論を代表する形で禍根を残さないようにしっかりと透明性の高い議論が必要だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

●消費税引き上げ論が多数 自民政調全体会議 安倍政権の圧力に
       産経 2013.8.5
 自民党は5日、党本部で政調全体会議を開き、政府の中期財政計画骨子案や平成26年度予算の概算要求の基本方針をめぐる議論を開始した。この日の焦点だった消費税増税は、社会保障の財源を確保するためにも予定通り来年4月から8%へ引き上げるべきだとの声が多数を占め、実施の見送り論が浮上する安倍晋三政権には大きな圧力となりそうだ。

 安倍首相は今年4~6月の景気指標を踏まえて秋に消費増税の是非を判断するとしている。これに対し、保岡興治元法相は「(政権内に)いろんな議論が出ていることを心配する。絶対にブレないことが大前提であり、結論を延ばすべきではない」と発言、数人の議員が拍手で応じた。

 若手議員を中心に「プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を達成しなければならない。税収を見て歳出を決めるやり方で財政健全化が進むのか」と、財政再建の重要性を説く意見も相次いだ。

 議論では「景気回復を見定めてから引き上げを判断しないと、デフレ脱却の道筋が腰折れになる」(穴見陽一衆院議員)との慎重論も出たが、三ツ矢憲生政調副会長は「7対3ぐらいで『上げるべきだ』との意見が強かった」と総括した。

 自民党は、税制改正に関しては党税制調査会(野田毅会長)を中心に議論してきたが、消費税増税は社会保障制度に絡むことから高市早苗政調会長の下でも並行して議論を進める方針だ。高市氏は全体会議終了後、「党の意見を活発に戦わせ政府にモノを申したい」と記者団に語った。

 公明党は、来年4月の消費税増税を予定通り実施すべきだとした上で「低所得者対策をきちんと作り上げる」(山口那津男代表)と主張する。激変緩和措置をめぐる議論も活発化しそうだ。

●消費税が「最大の問題」 引き上げ是非、首相が苦悩
              産経 2013.8.14 1
 安倍晋三首相は14日夜、自民党の中川秀直元幹事長らと東京都内の日本料理店で会食し、来年4月の消費税8%への引き上げ判断について「それが最大の問題だ」と述べた。会食後に中川氏が明らかにした。10月中旬召集見通しの臨時国会前に判断する増税の是非をめぐり苦悩している様子がうかがえる。

 経済成長重視の「上げ潮派」で増税に慎重な立場の中川氏が「どのような決断をしても応援する」と伝えたのに対し、首相はうなずいていたという。

 中川氏は第1次安倍政権当時、自民党幹事長を務めた。

●日本経済の幻想と真実消費税の増税で税収は減るのかデータで見る日本財政の4つの神話
   JBpress(日本ビジネスプレス) 2013.08.15 池田 信夫
安倍晋三首相は夏休みに入り、消費税の増税についての判断は秋の臨時国会まで先送りされそうだ。しかし消費税増税法の付則第18条には「消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行う」と書かれているだけなので、増税を延期するには法律を改正する必要がある。

 今はそんな非常手段を取るほど景気が悪いのだろうか。8月12日に発表された4~6月期のGDP(国内総生産)速報値は、予想より低かったが、年率2.6%とまずまずだった。それなのに首相がためらっているのは、彼の周辺に増税を延期させようとする人々が多いためだろうが、彼らの話には根拠がない。それをデータに基づいて検証してみよう。

【神話1】消費税率を上げて景気が悪くなると税収が減る
 これは一部の人々がいまだに主張している神話だが、消費税率を上げて消費税収が下がるはずがない。これは消費税収は増えたが、他の税収が減ったことを意味する。その1つの原因は課税所得が減ったことだが、もう1つは所得税・法人税の減税である。


図1 減税(所得税・法人税)の税収への影響 図1は今年の経済財政白書のものだが、確かに1997年の消費増税のあと税収は減っているが、90年代の初めから税収は減り続けている。その原因はバブル崩壊による不況に加えて、所得税の減税を繰り返したためだ。

 日本の所得税は累進性が高く、86年までは所得税+住民税の最高税率は88%だった。これは国際的に見ても高すぎるという批判が高まり、累進性を徐々に下げ、最近では最高50%まで下がった。

 特に99年からは年2.7兆円の恒久減税が行われ、課税最低限度も384万円まで上がった。もしこうした減税がなかったら、図1の赤い点線のように、2000年には消費増税前の税収に戻っていたはずだ。

【神話2】1997年の消費税率引き上げでデフレになった
 これもよく出てくる都市伝説だが、次の図をよく見てほしい。消費税率が3%から5%に上がったのは1997年4月だが、その前の96年10~12月期と97年1~3月期には、駆け込み需要でGDPは大幅に伸びた。その反動で4~6月期には成長率はマイナスになったが、97年の10~12月期には年率2%まで回復した。

・・・・・(略)・・・

【神話3】景気がよくなれば財政赤字はなくなる
 成長率が上がれば、税収も増えることは自明である。政府債務が大きくても、国債の利払いを除く基礎的財政収支(プライマリーバランス)が赤字でなければ、全体の債務は(名目成長率と名目金利が等しければ)GDP比では増加しない。

 しかし2012年のプライマリーバランス(PB)は6.9%の赤字であり、このまま放置すると赤字が雪ダルマ式に増えてゆく。PBの赤字をなくすには、名目成長率が名目金利よりかなり高くなければならない。小黒一正氏はこのために必要な名目成長率を5.8%と試算している(『アベノミクスでも消費税率は25%を超える』PHPビジネス新書)。

 面白いことに、小黒氏とは逆に「消費税の増税は必要ない」という高橋洋一氏も、ほぼ同じ数字を出している。彼はツイッターで次のような図を見せているのだ。

・・・・・・(略)・・・

図3を見ると、昨年のPB-6.9%と2011年の名目成長率-2%が見合っているので、PBをプラスマイナスゼロにするためには、名目成長率は(PBゼロの横線に見合う)5.5%ぐらいになる必要がある。これはバブルの余韻が残っていた1992年と同じぐらいだ。

 2000年代の平均名目成長率は約0%だから、これを5.5%にするには、かつてのような高度成長をもう一度起こすか、激しいインフレを起こすしかない。インフレだけでPBを黒字にするには年率14%ぐらい必要だ、というのが小黒氏の計算である。これは要するに、政府が実質的に借金を踏み倒すということだ。

【神話4】政府債務が増加しても経済に悪影響はない
 これは世界的にも論争になっている問題で、特にEU(欧州連合)が南欧諸国に緊縮財政を強制したために景気が悪くなって税収が減り、かえって財政が悪化した、とポール・クルーグマンなどは批判している。

図4 通常の国の成長率と政府債務がGDP比90%以上の国の成長率 これに対してケネス・ロゴフなどは、図4のように政府債務がGDPの90%を超えると、人々が将来の増税を予想して消費を控えるため、成長率が23年間で24%ポイント下がると推定している。最近この計算に誤りがあることが判明したが、政府債務が経済に悪影響を与えるという結論は変わらない、とロゴフは反論している。

 もう1つの問題は、日本政府が借金を返す気がないと市場が判断すると、国債の価格が下がる(長期金利が上がる)リスクである。特に日本銀行が大量に国債を購入する政策が、国の借金を穴埋めする財政ファイナンスだと市場に解釈されると、国債が売られて利払いが増える、と黒田東彦日銀総裁は記者会見で強調した。

 利払いが膨らむ程度ならいいが、今の南欧諸国の国債のように金利が10%を超えるような事態になると、激しいインフレが起き、経済が大混乱になる。年金や公務員給与の大幅減額や臨時大増税などの危機管理が必要になろう。

 そういうハードランディング(財政破綻)は決して理論上のシナリオではなく、財務省も内々に検討している。歴史上の前例から見ても、政府債務がGDPの2倍を超えた国がソフトランディングできた例はまずない。

 ハードランディングは発展途上国では珍しくない事件で、多くの場合は政権の転覆につながる。安倍首相がそういう「レジームチェンジ」を求めて消費増税をためらっているのだとすれば、それはそれで一貫した戦略である。

●「消費増税は中間層を貧困にする愚策」と気鋭の女性経済学者
            ニュース ポストセブン 2013.08.16
【「消費税はいびつで不公平な制度」と岩本沙弓さん】

. 来年4月に予定されている消費税増税だが、安倍総理は有識者会合を呼び掛けるなど税率アップの最終判断を下していない。側近の経済ブレーンから増税に慎重論が出るなど、その是非については政府の腹も決まっていない状況だ。

「そもそも消費税はスタートしたときから、いびつな制度である実態すら国民が知らないままで、ひたすら増税ありきでいいのでしょうか」と、税制そのものの欠陥を指摘するのは、国際金融市場に精通する大阪経済大学客員教授の岩本沙弓氏。そのカラクリについて解説してもらった。

 * * *
 消費税を引き上げるかどうかは、いずれ閣僚会議で決定されますが、私は消費税制そのものに反対の立場を取っています。

 それは最終消費者から税金を徴収するのが悪いとか、税金を払いたくないから言っているのではありません。税制度としていびつで不公平なまま、導入したり引き上げをしたりするのがそもそもおかしいと考えているのです。

 たとえば、お医者さんの場合、診療報酬は非課税で患者さんからは消費税をとりません。でも、白衣や脱脂綿、薬などはお医者さん側が消費税分を負担しています。診療に必要なものだから当然だろうと思われるかもしれませんが、その一方で支払った消費税が戻ってくる業界もあるのです。業界によって差があるのは税制として果たして中立と言えるのか。

 輸出企業には支払ったとされる消費税は還付金として戻すという仕組みになっています。どういうことか説明しましょう。

 消費税はその商品が消費される国で課税する、というのがGATT(関税および貿易に関する一般協定)の原則です。日本の輸出企業が完成品をフランスに輸出すれば、フランスで付加価値税(消費税に相当)19.6%が課税されます。

 日本の輸出企業はフランス向けの製品を仕上げるために日本国内の下請け業者から部品を調達しています。その際には、国内の下請け企業に対して、製品の価格+消費税を支払っていますので、GATTの原則に則れば、国内で支払った消費税はゼロになるよう調整されます。それが輸出還付金となります。

 輸出還付金の総額は、2012年度の予算で試算すると約2兆5000億円。その半分は輸出企業の上位20社に渡っています。消費税の歳入は年間10兆円なので、およそ4分の1に相当する金額が大企業に還付されています。還付金は消費税率を上限として渡されますので、消費税が5%から10%となれば単純計算ではありますが、5兆円が輸出企業に渡されることになります。

 問題は果たして輸出企業が下請け企業にきちんと消費税を支払っているのかという点です。

 本来、下請け企業にしてみれば100円で売らなければ採算が取れないものを80円に値切られてしまえば、輸出企業は80円プラス消費税5%を払うだけです。輸出企業は20円得したうえに5%の還付金まで戻ってくるわけです。一方、下請け企業は20円分の収益がなくなってしまいますので、大変苦しい状況に変わりはありません。

 このように消費税は価格に埋もれてしまうという特徴があります。会計処理上問題はなくても、大手が中小・零細企業に納入品価格の値下げの要求をする「買い叩き」の実態やお金の流れそのものに着目する必要があるのではないでしょうか。

 今年5月に「消費税還元セール禁止法案」が通り、大手小売業が反対したのは記憶に新しいでしょう。一見すると消費増税分を値上げしないとする小売業の姿勢は庶民の味方のように思えますが、むしろ消費税分の値上げをしなかったしわ寄せは、大手小売り業者に製品を納入する下請け業者へといき、製品そのものの買い叩きにつながる。

 つまり、大手企業による中小零細企業への製品そのものの値切り、買い叩きは恒常的に存在していることを政府ですら認めたという何よりの証拠でしょう。そうでなければわざわざ法案まで通す必要はありません。

 消費税を導入してから20年あまり、この間政府の税収は一向に増えていないにもかかわらず、そして今後消費税を増税しても税収が増加するのか疑問視されている中で、輸出企業への還付金だけは確実に増えるというおかしな状況となります。

 一握りの大企業が儲かれば、ひいては日本の経済をよくして国民全体の生活も次第に豊かになると信じている人もいるかもしれません。かつてはそうした時代がありましたが、グローバル化が進む状況では、なかなかそうはいかないというのは、景気が上向いても給与がひたすら下がった2000年代で我々は既に経験済みです。

 いま実体経済の回復がまだまだ伴っていない状態で消費税を引き上げれば、1%のグローバル大企業と残り99%の庶民の格差は広がるばかりです。

 消費税の計算の仕方は、(売上高―経費)×税率5%となっています。つまり、経費の金額が大きくなればなるほど、納税額は少なくなります。ここで重要なのは、経費の部分に非正規雇用の人たちの給与を入れることができる点です。人件費を安くできるうえ、節税にもなるため、非正規労働者がさらに増えやすいということになります。

 非正規が全労働者の約4割も占める状況が問題となっている現状で、消費税がさらに上がれば、これまで年収400~600万円で雇われていた中間層の正社員が非正規社員になる割合が増え、賃金ベースも落ちていくのではないかと危惧しています。

 最高益を上げている日本の輸出企業でも、日本にほとんど投資をしないし賃金も上げない。円安効果は「まだ分かりません」と国内に利益を還元しようとしない状況です。

 給与が上がらないまま円安がさらに進めば、ジワジワと生活へのプレッシャーがかかってくるのは当然です。すでに、ガソリン価格の上昇とそれにつられてモノの値段が次々と上がっていることで、そのことを実感している人は多いでしょう。

 景気が立ち上がらないままインフレになることは「スタグフレーション」とされますが、それにさらに中間層が疲弊して貧困化する現象は「スクリューフレーション」と称されます。そんな状況に追い込まれる中、わざわざ消費意欲をさらに減退させ経済活動の足を引っ張ることになる後ろ向きの消費増税が必要なのでしょうか?

 一方的に徴収されるばかりで、消費税の使い道は不公平。しかも、消費税だけでは財政も改善しないことは、過去20年の歴史が物語っています。ならば、もう少し内需拡大を促す税制度そのものの在り方を、いま一度議論し直すことが必要だと思います。

【岩本沙弓/いわもと・さゆみ】
経済評論家、金融コンサルタント。1991年から日米豪加の金融機関でヴァイスプレジデントとして外国為替、短期金融市場取引業務に従事。現在、金融関連の執筆、講演活動を行うほか、大阪経済大学経営学部客員教授なども務める。近著に『バブルの死角 日本人が損するカラクリ』(集英社新書)などがある。http://www.sayumi-iwamoto.com/


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