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てらまち・ねっと



『はだしのゲン』の図書排除事件。
 その後、鳥取の図書館でも排除されていたことが分かった。
 さらに高知でも同様の圧力がかかっていたことが明らかになった。

 意図的になされている圧力の動き。全国的というべきかどうかはともかく。

 (高知新聞)
  を小中学校の図書室から撤去するよう求める陳情が、高知県・市の両議会にも提出されていたことが分かった。
     高知市議会が全会一致で不採択とするなど、議員からは批判の声が上がっている。県市の教育委員会も撤去はしない方針だ。


 これが本来の姿だと誰でも思う。
 どんな方向の図書にしろ、それを特定の意図で廃棄するとか、自由に見ることができないように措置するとか、という行動は許されない。
 
 当の松江市の教育委員会。
 前回の会議で対応を決める予定だったが、教育委員から、教育委員との協議もなしに排除を決めて実行した教育委員会事務局への質問が相次ぎ、
 結論を出すのが延期された。

 この間、文科大臣は「松江市教育委員会の(排除)対応に問題はない」旨を答弁。
  
 松江市教育委員会としての対応の決定は、今日26日の16時半からの委員会の会議に。
 報道機関の社説なども論調が厳しい。
 その後の関連情報を整理しておく。

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  (関連)2013年8月17日ブログ ⇒ ◆信じられない話/はだしのゲン「閉架」に 松江市教委が「表現に疑問」と小中に閲覧制限要請
      8月20日ブログ⇒ ◆「はだしのゲン」貸出禁止にモノ申す! 言論の自由が、ヘイトスピーチに屈する社会 (東洋経済)

●教育委員会会議開催のお知らせ
          平成25年第12回松江市教育委員会会議の開催
1 開催日時  平成25年8月26日(月) 14:30開会 
2 開催場所  第2常任委員会室(松江市役所西棟3階)

3 付議事件  8月下旬に告示します。

  ○原則公開とし、傍聴できます。ただし、松江市教育委員会会議規則第2条ただし書の規定により非公開となる場合もあります。
 ○お問合せ先  教育委員会 教育総務課 総務係(0852-55-5424)



●「はだしのゲン」閲覧制限 松江市教委協議、結論先送り
        朝日 2013年8月22日
 原爆や戦争の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」が松江市立小中学校の図書室で自由に読めなくなっている問題で、市教育委員会は22日午前、教育委員会会議を開き、閲覧制限を撤回し、作品を開架図書に戻すかどうかの協議をした。
 市教委事務局の対応を巡って教育委員から質問が相次いだため、26日に臨時会議を開くこととし、結論は先送りした。

 会議は午前10時半から松江市役所で始まり、清水伸夫・教育長を含む教育委員5人が出席した。最初に市教委が、学校側に閲覧制限を要請する昨年12月までの経過について説明。閲覧制限の問題発覚後、校長を対象に、閲覧制限への意見や図書室での置き場所などを尋ねたアンケート結果を参考資料として配布した。

 この問題をめぐっては昨年8月、小中学校から作品の撤去を求める市民の陳情が市議会にあったが、12月初旬に不採択となった。

●松江市教委 3人は「ゲン 原則自由に」
                    8月26日
 漫画「はだしのゲン」の一部に過激な描写があるとして、松江市教育委員会が学校で自由に読むことができない措置を取るよう学校側に要請していた問題で、5人の教育委員のうち、少なくとも3人が「原則は子どもが自由に読めるようにすべきだ」という考えを示していることがNHKの取材で分かりました。
26日開かれる臨時の会議で最終的な結論が出されることになっています。


この問題は、漫画「はだしのゲン」について松江市教育委員会の前の教育長が、去年12月の小・中学校の校長会で、「一部に過激な描写がある」として、子どもが図書室などで自由に読むことができない「閉架」の措置をとるよう要請したものです。
先週、松江市教育委員会の定例の会議が開かれ、要請について報告を受けていなかった5人の教育委員に対し、清水伸夫教育長が「前の教育長が独自に学校に要請したことは適切ではなく、教育委員の意見をまとめるべきだった」と謝罪しました。

この問題で5人の教育委員のうち、少なくとも3人が「閲覧制限の要請は実質的な指示に当たり、教育委員会が行うべきではない。原則は子どもが自由に読めるようにすべきだ」という考えを示していることがNHKの取材で分かりました。
この問題については26日開かれる臨時の会議で専門家の意見なども参考にしたうえで最終的な結論が出されることになっています。


●中沢啓治著「はだしのゲン」の利用制限について(要望)
                  中沢啓治著「はだしのゲン」の利用制限について(要望)
平成25(2013)年8月22 日

松江市教育委員会委員長 内藤 富夫 様
松江市教育長 清水 伸夫 様

(社)日本図書館協会 図書館の自由委員会
委員長 西河内 靖泰

中沢啓治著「はだしのゲン」の利用制限について(要望)
・・・・
貴委員会は「閲覧や貸出しの全面禁止でなければ、(日本図書館協会が表明する)図書館の自由を侵さないと独自に判断」されたと報道されています(「中国新聞」8月19日)。

 しかしながら、日本図書館協会「図書館の自由に関する宣言」(1979年、総会決議)は、図書館は国民の知る自由を保障することを最も基本的な任務とし、図書館利用の公平な権利を年齢等の条件によって差別してはならず、「ある種の資料を特別扱いしたり、書架から撤去したりはしない。」と明記しています。各国の図書館專門機関による国際図書館連盟は、図書館はすべて利用者に資料と施設の平等なアクセスを保障しなければならず、年齢等の理由による差別があってはならないとしています(IFLA Statement on Libraries and Intellectual Freedom 1999)。学校図書館の蔵書についての紛争や裁判を数多く経験するアメリカ合衆国の図書館協会は、年齢によって図書館利用を制限することを戒め、貴委員会と同種の提供制限措置を「目立たない形の検閲」であるとしています(Intellectual Freedom Manual 2010)。

 学校図書館において利用が制限されている蔵書を読みたい子どもが、教師さらに校長の許可を求めることの心理的負担は、とても大きいのではないでしょうか。子どもたちはその本を読むことが教師や校長から良くないことだと思われると受け止めるのではないでしょうか。そして場合によっては、読むことを諦めるのではないでしょうか。子どもたちは、学校図書館を、蔵書の内容によっては自由に手に取り、読むことを抑制する場であると受け止めるのではないでしょうか。学校図書館の自由な利用が歪むことが深く懸念されます。
・・・・・
子どもたちの「自主的な読書活動」を尊重する観点から本件措置を再考され、読書活動の環境整備をよりいっそう推進されますよう、お願い申し上げます。
・・・


●【はだしのゲン】納得できない閲覧制限
              高知 2013年08月22日
 原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」を小中学校の図書室から撤去するよう求める陳情が、高知県・市の両議会にも提出されていたことが分かった。
 高知市議会が全会一致で不採択とするなど、議員からは批判の声が上がっている。県市の教育委員会も撤去はしない方針だ。
「表現の自由」の重さを踏まえた当然の対応である。
 原爆や戦争体験の風化が危ぶまれている時だからこそ、それを学ぶ機会を子どもから奪ってはならない。

 この問題は同様の陳情を受けた松江市教委が市内の全市立小中に対し、「はだしのゲン」を自由に閲覧できない「閉架」の措置を取るよう求めたことから明らかになった。
 松江市と本県の議会に陳情を提出したのは高知市の男性で、「間違った歴史認識を持った作者が執筆し」「特定の政治色の強いものだとうかがえる」としている。しかし、自らの考えと相いれないからといって、一方的に排除しようというのは戦前の検閲をほうふつとさせる。

 松江市議会も陳情を不採択としたが、同市教委は首をはねたり女性を乱暴したりする場面などが過激だとして閲覧制限を求めた。確かに漫画には残酷な描写もあるが、それは原爆や戦争の非人間性をそのまま表現しているからにほかならない。閲覧制限は悲劇の実相に迫ろうとする子どもたちの目を覆うことになろう。

 「はだしのゲン」の累計部数は1千万部を超え、約20言語に翻訳もされるなど世界で読み継がれている。松江市教委が市内の小中学校長に実施したアンケートでも、多くが平和学習の教材として評価していた。
 にもかかわらず、教育委員にさえ諮らずに市教委事務局の独自判断で閲覧制限を決めている。不透明なやり方も問題と言わざるを得ない。

 作者の故中沢啓治さんが本県の図書館を訪れた際、「はだしのゲンは本棚にいくら入れてもなくなる」と言われた。1巻を読んだ子が2巻目も読みたくて、それを秘密の場所に隠すからだ。表紙はぼろぼろになりベニヤ板で止めてあった。「作者冥利(みょうり)に尽きる」と著書に記している。

 「はだしのゲン」はそれほどまでに子どもの心に根を張っている。大人の勝手な判断で取り上げないよう松江市教委には再考を望みたい。


●社説[はだしのゲン「閉架」]平和考える機会奪うな
                 沖縄タイムス  2013年8月23日
 子どもたちが戦争の実相に触れ、平和を考える機会を、教育現場から奪うことになりかねない。

 松江市立小中学校の図書室で、原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」が自由に読めなくなった。市教育委員会が、閲覧制限を全市立小中学校に求めたからだ。

 措置が明るみになって以来初めてとなる、教育委員の定例会議が22日、開かれた。制限を継続するかどうかの結論は先送りされた。あらためて協議するという。

 「はだしのゲン」は、昨年12月に亡くなった漫画家、中沢啓治さんが自身の被爆体験を基に描いた自伝的作品だ。

 市教委は「作品自体は高い価値があると思う」と認めつつも、暴力描写が過激だと問題視する。旧日本軍によるアジアの人々への残虐行為などだ。「教員のフォローが必要だ」と学校側に「閉架」措置を要請した。

 だが、教育委員の会議では諮られておらず、校長へのアンケートでも、制限が必要と答えたのは約1割の5人にとどまっていた。

 作品には、確かに残酷な描写はある。だが、描かれた惨状は戦争そのものである。

 克明な描写には少年誌への連載当時も批判が寄せられた。しかし、作者の中沢さんは「現実から逃げるな」とはねつけたという。

 各教育委員には、この物語に込めた作者の信念、そして戦争のむごたらしさを子どもたちに伝えてきた役割を、いま一度、思い起こしてもらいたい。
「閉架」要請は撤回すべきだ。子どもたちが、図書室で自由にこの作品を手に取る機会は保障してもらいたい。

    ■    ■
 閲覧制限の発端は、昨年8月、「はだしのゲン」を学校の図書館に置かないよう求める市民からの陳情だった。市議会は同年12月に不採択としたものの、「大変過激な文章や絵が占めている」との意見が出たことから、市教委で取り扱いを協議した。

 下村博文文部科学相は「子どもの発達段階に応じた教育的配慮は必要」と松江市教委の判断に理解を示した。

 しかし、子どもたちは、たとえすぐに全てを理解できなくても、胸をえぐられるような感情を通し、本質をつかみ取る力を持っている。だからこそ世代を超えて読み継がれてきたのだ。

 一部の指摘をきっかけに、開かれた議論も十分ないまま自主規制に走る姿勢は疑問だ。

    ■    ■
 教育委員会が教育現場に介入する事例が相次いでいる。

 国旗掲揚と国歌斉唱に関し「一部自治体で公務員へ強制の動き」と言及した日本史教科書について、神奈川県教委は使用を希望した高校に再考を求めた。東京都教委なども「不適切」との見解を示した。

 これまで自由に読めていた蔵書に許可が必要になった。これまで現場が判断していた教科書選択で、見直しが求められた。なぜか。

 安倍晋三首相は全国戦没者追悼式の式辞で、アジア諸国への反省と加害責任に触れなかった。安倍政権の歴史認識に象徴される「空気」が背景にないか、注視する必要がある。


●はだしのゲン 「事なかれ」では守れない
      =2013/08/24付 西日本新聞
  小学生のころ「はだしのゲン」を学校の図書館で読んだ記憶を持つ人も多いだろう。原爆の恐ろしさに震え上がり、平和のありがたさを胸に刻んだものだ。

 その「はだしのゲン」が、松江市の学校図書館の棚から撤去されていたことが分かり、波紋を広げている。

 「はだしのゲン」は、広島出身の中沢啓治さん(昨年12月に死去)が、自らの被爆体験を基に描いた漫画である。特に原爆投下直後の広島の惨状を描いた部分は、被爆の実相を伝える資料として評価が高い。全国の学校図書館に置かれ、平和教育の貴重な教材となってきた。

 松江市では昨年8月、「ゲン」の歴史認識を問題視し、学校図書館から撤去するよう求める陳情が市議会に出された。市議会は陳情を不採択にしたが、一部市議が「文章や絵が過激だ」と発言したため、市教委が取り扱いを検討した。

 その結果、市教委は同12月、子どもが自由に閲覧できない「閉架」とするよう同市立小中学校に要請した。これを受け各校は、閲覧には教員の許可が必要として、書庫などに収める措置を取った。

 市教委は、閲覧制限の理由について、旧日本軍による斬首や女性への性的暴行のシーンを挙げ、「発育段階にある子どもにとって、一部の表現が適切かどうか疑問が残る」と説明している。

 しかし、閲覧制限の背景からは、「ゲン」に描かれた歴史観と、それに対する保守派からの批判、その矢面に立ってたじろぐ市教委-という構図が浮かぶ。

 「ゲン」は、前半は少年漫画雑誌に連載されたが、後半は大人向けの教育誌などに連載された。後半では、日本軍の加害行為や昭和天皇の戦争責任など、国民の間で論議の分かれるテーマについても、より大胆に踏み込んでいる。保守派が批判するのは主にこうした部分だ。

 最近では、先の戦争での日本の加害責任など、歴史の負の部分に目を向けようという意見や作品表現に対し、一部の保守勢力からの攻撃が強まっている。「ゲン」についても、ネット上では「反日漫画」などと決め付ける声もある。

 しかし、論議の分かれる点はあるにせよ、実体験に基づく「ゲン」の平和思想には、戦争を知らない世代にとって計り知れない重みがある。実際に、長年にわたり多くの子どもたちが「ゲン」を読んで育ってきた。閲覧制限しなければならないほどの弊害が出ていただろうか。

 そもそも図書館とは、多種多様な思想や英知の宝庫であり、その最後の守り手でもある。そこから特定の思想を排除することは、図書館の存在意義を自ら否定する行為といえないだろうか。


 松江市教委は「ゲン」の取り扱いを再検討している。「ゲン」のケースに限らず、教委や図書館などの現場はさまざまな圧力や抗議にさらされることもあるだろう。
しかし「事なかれ主義」で対応してしまえば大事なものが守れない。図書館の原点に立ち返って判断してほしい。

●社説/はだしのゲン 閲覧制限は権利侵害だ
              北海道 (8月25日)
 戦争の実態を知り、平和の尊さを考えるための機会を奪う行為だ。「学習権」「知る権利」の侵害は明らかである。

 原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」を子どもたちが自由に閲覧できなくするよう、松江市教委が小中学校に指示していた。

 断じて容認できない。市教委は直ちに制限を解くべきだ。

 「ゲン」は、故中沢啓治さんが自身の被爆体験を基に身近な人たちの苦しみや死を生々しく描いた。

 昨年、市教委の指示を受けた小中学校は書庫に入れて貸し出し禁止とし、閲覧に教員の許可を必要とする措置を講じた。「描写が過激で残酷な場面がある」との理由からだ。

 鳥取市の市立図書館でも児童書棚から事務室内に移す手段が取られた。撤回したとはいえ、これも知る権利を奪う憂慮すべき事態だ。

 しかも、松江市教委の対応について下村博文文部科学相は「違法ではなく、問題ない」と発言した。見識を疑わざるを得ない。

 被爆地の広島市では小学3年の平和教育で使われている。「命の大切さや家庭愛を学ぶための教材」と位置づけているという。

 戦争体験を語る世代が少なくなる中で、漫画は核兵器の残忍さを学ぶ大事な教材だ。世界唯一の被爆国として悲惨な体験を直視し、継承する重要性は言をまたない。

 松江市の対応で問題なのは、閲覧制限を当時の教育長など市教委の事務局内部で決めたことだ。

 教育行政の基本方針は、複数の教育委員で構成する教育委員会の合議で決定するよう、地方教育行政法で定めている。閲覧制限は知る権利にもかかわる重要事項であるはずだ。

 委員会に諮らず、事務局の判断だけに依存した決定は、委員会制度をないがしろにする行為だ。

 中央教育審議会では現在、その制度のあり方が論議されている。

 教育行政の権限を事務方の責任者である教育長に集中させる方向で検討が進んでいるとされるが、今回の事態が独断専行の恐ろしさを露呈したといえる。熟慮が必要だ。

 気になるのは、閲覧制限の決定前に「ゲン」の撤去を求める陳情が市議会に出ていたことだ。
旧日本軍の残虐行為が描かれていることなどを「間違った歴史認識」と問題視する内容で、結局、不採択となった。

 同様の要請は市教委にも行われていた。一連の運動が制限につながったのであれば、当時の教育長らの歴史認識も問われてしかるべきだ。

 撤回の可否は22日の教育委員会で結論が出ず、26日に持ち越された。次回協議に制限の撤回と、意思決定過程の究明を強く求める。






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