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てらまち・ねっと



 先日28日、熊本地裁で「ダムの建設は違法」とし、「今後の支出の差し止め」を認める判決が出た。
 原告が、ダムの建設について、事業費の返還と今後の支出を差し止めるよう求めた住民訴訟。
 ダムは、熊本県営の路木ダム。
 熊本県が2010年から約90億円をかけ建設を進め、本体はほぼ完成。今年4月から運用の予定。

 原告代表は、植村振作さん。
 農薬の空中散布の反対運動などで、いろいろとお世話になった人。
 大阪大学の助教授を退官して、故郷に戻ってからの裁判。
 
 以前、電話がかかってきた。
 「今、住民訴訟を本人訴訟でやってるんですよ。
  裁判所が反応しないんで、どうしたらいいの? 」 
  (関連)2008年5月21日のブログ⇒ ◆広がる田舎暮らし/植村振作さん

 私の経験はお話しした。
 その後、弁護士を付けて争い続けていた。

 以下、西日本新聞から。
 ★《判決は、「治水」としてのダム建設の必要性を認めず、ダム建設計画は「知事の裁量権の範囲を逸脱し違法」との判断を示した。
返還請求は退けたが、判決確定時までに支払い義務が生じたものを除き、新たな公金支出や契約締結の差し止めを命じた。
ダム本体はすでに完成しているが、ダム建設の違法性を認定する判決は異例。》


 ということで、報道を見て、事案を理解するため、植村振作さんの「路木ダム裁判とは」の文書の一部を記録しておく。

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●「主張認められた」と興奮 路木ダム違法判決
           2014年03月01日 くまにち
「主張認められた」と興奮 路木ダム違法判決 の写真、図解
 判決後、記者会見する原告の植村振作さん(右端)と弁護士=28日、熊本市中央区の県弁護士会館
 県営路木ダム(天草市河浦町)の建設に反対する市民らが、蒲島郁夫知事に事業費の返還と今後の支出を差し止めるよう求めた住民訴訟の判決で、熊本地裁は28日、ダム建設計画を違法と判断。原告らは「主張が認められた」と喜びをかみしめた。一方、事業を進めた県や天草市には動揺が広がった。県は控訴する方針。

 判決後、原告らは「勝訴」と書いた紙を掲げて集会。原告代表の植村振作さん(77)=天草市本渡町=は「知事への事業費返還請求が認められなかったのは理解できないが、本質的には勝訴。主張が認められ、ダム事業を違法と判断した意義は大きい」と興奮気味に語った。

 加藤修弁護士は「ダム建設の是非が争われた各地の訴訟で、ここまで明確に違法と踏み込んだ判決は例がないのでは」と話した


 訴訟を支援してきた市民団体の中島康代表(73)=熊本市西区=は「知事は違法なダム計画を進めたことを県民に謝罪すべきだ」と指摘。「ダム行政は根本的に変わらなくてはならない」と他のダム計画への波及効果に期待した。

 一方、県には衝撃が走った。県庁内では担当者が総出で判決文を読み込み、県幹部や県議に報告。ダムは4月1日の供用開始予定で、県河川課の持田浩課長は「予定通り進めたいが、違法とされたからには精査が必要だろう」と戸惑いを見せた。蒲島知事からも「しっかり中身を押さえてほしい」と指示があったという。

 地元でも、それぞれの立場で判決を受け止めた。路木川が流れ込む羊角湾への影響を懸念し、工事着工まで反対活動をしていた天草市河浦町の天草漁協崎津支所。浦壁壯介[たけゆき]元代表(73)は「ダムは完成し、供用も始まる。判決にあまり意味はないのでは」と複雑な表情。

 牛深地域の安定的な水源の確保を求めて早期完成を要望してきた牛深町区長会の里見洋之会長(84)は「利水の必要性が認められ、今後渇水に対する不安がなくなるのは大きい」と受け止め、安どの表情を浮かべた。

 補助参加した天草市は、利水の主張が認められたことに安どする半面、旧河浦町が治水対策を求めていたこともあって、複雑な受け止め。安田公寛市長は「県と協議した上で対応したい」というコメントを出した。

●路木ダム裁判・住民勝訴!植村氏へインタビュー
      YouTube 2 日前 - アップロード元: AmakusaTv


●熊本地裁、ダム建設「違法」と判断 計画の必要性認めず [熊本県]
      =2014/02/28 西日本新聞=
熊本県営路木(ろぎ)ダム(同県天草市河浦町)をめぐり、蒲島郁夫知事に事業費の一部約20億円の返還と公金支出の差し止めを求めた住民訴訟の判決で、熊本地裁は28日、「治水」としてのダム建設の必要性を認めず、ダム建設計画は「知事の裁量権の範囲を逸脱し違法」との判断を示した。
返還請求は退けたが、判決確定時までに支払い義務が生じたものを除き、新たな公金支出や契約締結の差し止めを命じた。
ダム本体はすでに完成しているが、ダム建設の違法性を認定する判決は異例。

 判決で片山昭人裁判長は、県の計画決定に重要な影響を与えた1982年7月の豪雨による浸水被害について「架空」だったと指摘。その上で、架空の被害などに基づく河川の氾濫形態や水位の想定は「合理性が欠如している」と認定した。さらに30年に1回発生する洪水でも県が想定する「堤防の破壊は発生しない」と判断。こうした堤防被害を除いた想定被害額から算出した費用対効果は「1」を大きく割り込み、事業の必要性が下がるとした。

 一方、ダムの「利水」計画は適法とし、知事に対しては「違法性を認識するのは極めて困難で、故意または過失があったとは認められない」と判断し、返還請求は棄却した。

●熊本地裁“県の計画は違法”路木ダム (熊本県)
         [ 2/28 22:51 日テレ NEWS24]
 熊本県が約90億円をかけて天草市に建設を進めている県営路木ダムは建設の根拠はなく違法だとして、市民グループが蒲島知事の事業費の差し止めなどを求めた裁判で、熊本地裁は28日、事業費の返還は認めなかったものの、建設計画は著しく妥当性を欠き、知事の裁量権の逸脱・乱用で違法だとして、市民グループの請求を一部認める判決を言い渡した。

 28日の判決で、熊本地裁の片山昭人裁判長は「路木ダムは架空の洪水を根拠に計画され、洪水調整施設としての必要性はなく、社会通念に照らし妥当性を欠き、知事の裁量権の逸脱・乱用で違法」だとして、この裁判の審理が終了した去年11月20日以降、この判決が確定するまでの知事の事業費などの支出の差し止めを認めた。しかし、去年11月20日までの公金の支出については「知事に過失はなく、責任は問えない」として、原告の返還請求を退けた。

 28日の判決について、原告の市民グループは、「知事に賠償責任を負わせることはできなかったが、実質勝訴の判決」と評価している。

 一方、蒲島知事は「今後の対応については、判決内容を検討し、決定したい」とのコメントを出した。
 県営路木ダムは、洪水を防ぐ治水とためた水を水道水として使う利水を目的に、熊本県が2010年から約90億円をかけ建設を進め、本体はほぼ完成していて、今年4月から運用される予定。

●浸水被害は「架空」、「違法」判決出たダム計画
         (2014年3月1日10時05分 読売新聞)
 治水と利水を目的にした熊本県天草市の県営路木ろぎダム建設に反対する地元住民が、蒲島郁夫県知事に事業費約20億円の返還と、今後の支出差し止めを求めた住民訴訟の判決が28日、熊本地裁であった。

 片山昭人裁判長は、県の整備計画に盛り込まれた浸水被害は「架空」とし、河川法に違反して計画が策定されたと違法性を認定。判決確定後の支出差し止めを命じた。知事の過失などは認めず、事業費の返還請求は棄却した。

 路木ダムは、県が2001年に策定した河川整備計画を基に、10年に着工。総事業費約90億円をかけてほぼ完成し、4月から稼働予定。県は建設の根拠として、「1982年7月等の豪雨による洪水で、約100棟の床上浸水があった」「慢性的に生活用水が不足している」と整備計画に明記。住民側は「浸水被害は発生しておらず、生活用水も既存の水源で賄える」と主張していた。

 判決によると、該当地域の浸水被害に関する資料がなく、県の浸水想定区域にも指定されていないことから、「被害は発生しなかった」と認定。県が提出していた、浸水被害があったとする天草市の調査結果を、「内容が具体性に欠ける」として証拠採用せず、整備計画に記された洪水被害を「架空」と指摘した。

 その上で、整備計画について、「合理性の欠如は明らかで、著しく妥当性を欠く」と判断。治水対策としての計画は違法と結論付けた。利水面では違法性が認められないとした。

 また、計画を是正せずに知事が公金を支出したことも違法としたが、知事は計画策定後に就任しており、違法性を認識することは困難と判断した。

 判決を受け、原告側は「事業の違法性を全面的に認め、実質的な勝訴だ」と評価。一方、蒲島知事は「今後の対応は、判決内容をよく検討し決定したい」とのコメントを出した。

●路木ダム裁判とは
   路木ダム裁判原告団代表  植村振作

             路木ダム裁判とは

当初砂防ダム計画でした
路木ダムは、熊本県天草市河浦町にある、魚類の生息場や産卵場となるアマモ場が広がる
羊角湾奥に流れ込む、長さ約 6km の路木川の中流に、熊本県が建設中の総工費当初予算 90
億円の多目的ダムです。

当初 1979(昭和 54)年に砂防ダムとして計画されていました。しかし、その後 1992(平
成 4)年に、下流宅地の家屋浸水被害の防止と、天草市牛深地区及び河浦地区の水資源開発
を目的として事業が開始され、2010 年(平成 22 年)6 月に本体工事に着工、現在、ダム本
体は殆ど完成しています。2014 年 3 月竣工予定です。

洪水氾濫防止目的ですが 洪水氾濫防止目的ですが
路木ダムの治水上の建設目的は、「昭和 57 年集中豪雨」による路木地区の約 100 棟床上浸
水被害を踏まえて、将来発生するかもしれない下流宅地の家屋浸水被害を防止すること(路
木川河川整備計画)ですが、そもそも「昭和 57 年集中豪雨」による路木川の氾濫による家
屋浸水被害はありませんでした。

将来堤防が壊れて集落に氾濫流が流れ込む恐れがあるとされる堤防は、堅固な山付道路兼
用堤防です。将来、堤防が壊れて、洪水氾濫が生ずる恐れもありません。

虚偽事実が書かれた「路木川河川整備計画 路木川河川整備計画 路木川河川整備計画」
100棟の床上浸水被害があったと書いたウソの「路木川河川整備計画」に基づいて進め
られれている路木ダム事業に公金を支出したことは、「地方財政法」違反であるとして、2009(平
成 21)年 5 月に私たちは住民監査請求しましたが、棄却されました。

そこで、2009(平成 21)年 8 月、違法な公金の支出により熊本県に損害を生じさせた熊本県知事に既支出金の返還と
路木ダム事業への支出差し止めを求めて住民訴訟「県営路木ダム事業に係る公金支出差止等
請求事件」(熊本地方裁判所民事第 3 部)を提起しました。
当初、代理人なし即ち本人訴訟で
したが、途中から3人の弁護士(市川守弘(札幌弁護士会)、加藤修(熊本弁護士会)、小林
法子(同))に加わっていただいて、裁判を進めています。


主な争点
主な争点は①治水上の必要性、②治水に関する費用対便益の算定及び③利水の必要性です。

・治水上の必要性について:被告は、将来堤防が壊れて路木川の洪水氾濫源となると主張し
ていますが、熊本県が壊れるという堤防は、堅固な山付道路兼用堤防です。“このようなと
ころが破堤して氾濫することなどあり得ない”と元京都大学防災研究所長・京大名誉教授今
本博健さんも言っているように、将来破堤して洪水氾濫が起こる恐れなど全く無い堤防です。
治水上の建設根拠は全くありません。

・費用対便益について:熊本県が費用対効果の算定の基礎とした、浸水被害が発生するとさ
れた地域の家屋地盤高は実際の地盤高より低く見積もられています。その結果、床上浸水家
屋数が多くなっており、費用対効果の客観性がありません。しかもその値はかろうじて 1.0
を越えた 1.08 です。そもそも氾濫しないのですが、仮に、熊本県の主張どおりに氾濫する
として、原告が実測した地盤高を基に費用対効果を求めると 1.0 を遙かに下回ります。路木
ダム事業は費用対効果の面からも公共事業として不適切です。

・利水上の必要性:天草市が行った牛深地区の将来の給水人口推計には全く科学的根拠があ
りません。天草市は、人口予測法の一つである“コーホート要因法”で推計したと熊本県や
厚労省へ報告していますが、コーホート要因法では推計してはいません。データを捏造した
虚偽の報告です。さらに天草市は、渇水期でもダムから放流しなければならないとされてい
る「維持流量」を勝手に 4 倍も水増しして計算し、既存ダムだけでは水が足りないといって
います。正しく計算すると、既存水源で将来の必要量を賄えます。

・・・


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