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てらまち・ねっと



 美濃加茂市長の名古屋高裁の有罪判決にかかる上告を最高裁が棄却した。実質的に有罪の確定に近い。
 本人は「冤罪だ」と異議申し立て、再審請求をする旨を表明しつつ、速やかに辞表を出した。

 もともと、有罪だろうと見ていた私は、裁判所の結論には納得。
 ただ、本人や弁護人が強く無罪だというので、今日は、経過からして「政治家として許されることか、許されないから発覚した時に辞職すべきこと」だったのか、そんな観点で過去のブログを整理しておく。

 事件が報道されたのは2014年。
 6月25日報道では、「業者に会い、市に議員として働きかけ」「市長選があり」「当選後、機器・システムを導入した」という流れの中の、市長選挙数日前から、同社長が「選挙の政策の素案や演説原稿などを書く手伝い」の人間を派遣し、「当選後の私設運転手」もさせていた、という。
 刑事事件では「金をもらったか、もらっていないか」が争点になるような報道がされている。

 私自身は、そもそもの事件発覚時、いろんな報道機関が周辺を独自に調べたことの内容なども見ていて、「金銭のやり取りがあったのは事実なんだろう」と思い、仮に金銭が無くても「役務の供与もある上で、市の事業にその業者の事業を採り入れたのだからアウト」と思った。検察の考えることはともかく、社会通念としては、金をもらっていなくても、「議員時代からの業者との癒着関係」という問題自体で許されないことだと見ている。

 「無罪だ」という人たちがいるけど、それは裁判所の判断であって、「癒着関係」に目をつむるのかと懸念する。
 「癒着関係」が問題になれば、辞めるしかないのに、金が介在していないならと、「癒着関係」を肯定するのだろうか。

 結局、政治家は、「疑いをもたれるような行為は絶対にしないこと」。
 なお、高裁の有罪判決の時の弁護人の意見に一番の違和感を抱いた。
 担当弁護士の「こういうことが当たり前にあると、政治活動ができなくなってしまう」(弁護士ドットコム)という発言。
 この「政治活動」には、喫茶店で業者と一緒に飲食する活動を指している、もしくは含んでいるわけで、政治家はそんなことをやってはいけないこと、その線引きをしないとズルズルとはまる。
 このことは、公務員の不正、役所の不正の歴史、改善のための努力の歴史が示している。

 ところで、今朝の気温はマイナス1.7度。昨日よりは1℃高いので、寒さの感は薄かった。

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 ★この問題を扱った過去ブログからの簡潔な抜粋は以下。
●2014年6月25日ブログ ◆全国最年少29歳市長を逮捕/受託収賄、事前収賄/居酒屋やファミレスで会い現金入り封筒★≪全国最年少市長だった岐阜県美濃加茂市長が逮捕された。受託収賄、事前収賄とされている。一言でいえば、議員の時から、業者から金をもらって、行政に同社の製品のことを働きかけ、市長に当選したら、実験設備を自分の母校に導入した、ということのよう。

● 2014年6月27日ブログ ◆現金受領「一切ない」=美濃加茂市長、郷原弁護士に/「潔白を晴らす」/贈賄側 市長選に知人1カ月派遣★≪業者は会ってお金を渡したことを認めている。市長は、会ったこと、議員の時に同社の機材・システムを市に勧めたこと、当選してシステムを導入したことは認めつつ、お金を否定している。 ★26日の中日新聞★≪中林容疑者は市長選告示日数日前から約1カ月間、知人男性を美濃加茂市に派遣。男性は市内のホテルに宿泊し、藤井容疑者の政策の素案や演説原稿などを書く手伝いをしていた。選挙後もしばらく同市に滞在。中林容疑者は「藤井容疑者の私設運転手をさせていた」》
 ・・仮に現金が否定されても、「約束」は逃げようがない。

 請託を受けて賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたとき
 ★事前収賄罪 刑法197条(収賄、受託収賄及び事前収賄) 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。 2 公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、5年以下の懲役に処する。

●2014年8月21日ブログ ◆美濃加茂市長は逮捕、拘留されて間もなく2カ月/金沢市長は辞職/両者は事案の構造が酷似。★≪ 検察の考えることはともかく、社会通念としては、金をもらっていなくても、「議員時代からの業者との癒着関係」という問題自体で許されないことだと私は見ている。「無罪だ」という人たちがいるけど、それは裁判所の判断であって、「癒着関係」に目をつむるのかと懸念する。 業者から金をもらっているか否かに関係なく、事実であれば、辞めるしかないと思う。

●2014年9月18日ブログ ◆美濃加茂市長の公判始まる/ 「覚えていない」 「忘れていた」 が 多過ぎの懸念★≪・・弁護団の郷原信郎弁護士は、会見やネットで世論を作る作戦のようにも見える。・・・昨日のことの報道で気になったことは、市長の「覚えていない」という旨が目立つこと。
 ★≪藤井被告は昨年4月2日、現金10万円を受け取ったとされている。検察側は同月4日に藤井被告が自身が経営する学習塾の口座へ9万5000円を入金したとの証拠を示している。 会見で入金の趣旨を質問された藤井被告は「(何の入金か)具体的には覚えていない」と述べた。 毎日》 
 ★≪《記者からいろいろ聞かれても、忘れていることも多くて……。(中林氏との)会食は4回あったらしいんですが、はっきり覚えていたのは2回。(10万円を渡されたとされる)ガストでの昼食は、完全に忘れていました。 夕刊アメーバニュース》

●2016年11月29日ブログ ◆美濃加茂市長、逆転有罪 収賄事件で名古屋高裁判決/主任弁護人「政治活動ができなくなる」・・・って 何? ★≪昨日の名古屋高裁での美濃加茂市長の収賄事件の判決。無罪とした一審判決を破棄し「有罪」とした。こういう時、応援した支持者の人たちは「信じられない」と思う。
 結局、政治家は、「疑いをもたれるような行為は絶対にしないこと」とするしかない。そんな意味で、判決は自然。一番の違和感は、担当弁護士の「こういうことが当たり前にあると、政治活動ができなくなってしまう」(弁護士ドットコム)という発言。
 この「政治活動」には、喫茶店で業者と一緒に飲食する活動を指している、もしくは含んでいるわけで、政治家はそんなことをやってはいけないこと、その線引きをしないとズルズルとはまる。このことは、役所の不正の歴史、改善のための努力の歴史が示している。

★・・・・・以上のもとになる、この問題を扱った過去ブログから(それぞれのブログのリンク先には、報道やデータがまとめてある。)
★2014年6月25日ブログ ◆全国最年少29歳市長を逮捕/受託収賄、事前収賄/居酒屋やファミレスで会い現金入り封筒  
 全国最年少市長だった岐阜県美濃加茂市長が逮捕された。
 受託収賄、事前収賄とされている。
 一言でいえば、議員の時から、業者から金をもらって、行政に同社の製品のことを働きかけ、市長に当選したら、実験設備を自分の母校に導入した、ということのよう。

 若いからとか、年期があるから、とかいう話ではない。
 もともと、汚職体質だったいうこと。
 それは、次の報道に端的。
 「居酒屋やファミレスで会い、その際に、資料に現金入り封筒を混ぜ、渡した。賄賂の総額は約30万円。」(今朝の毎日新聞・紙版)。

 それに昨年の選挙で当選した時に報道されていたのは、当選の背景の一つに自民党総裁選にも出て「自民⇒維新⇒石原新党」と歩く藤井孝男氏の支援も・・・ということ。
 (以下 略)

● 2014年6月27日ブログ ◆現金受領「一切ない」=美濃加茂市長、郷原弁護士に/「潔白を晴らす」/贈賄側 市長選に知人1カ月派遣  
 美濃加茂市長が逮捕されて4日目。
 業者は会ってお金を渡したことを認めている。
 市長は、会ったこと、議員の時に同社の機材・システムを市に勧めたこと、当選してシステムを導入したことは認めつつ、お金を否定している。
 ということは、「お金をもらったか、否か」、ここが焦点になるのかなと思える。

 ともかく、報道でいろいろと明らかとなってくる。
 会食が2回とされていたが、それが「4回」に増えた。

★24日の東京新聞 「2回、会食したが、金は受け取っていない」と疑惑を否定していた。
★26日の中日新聞 「4回会食したが、賄賂を出そうとしたそぶりもなかった」(接見した弁護士の話)

 しかも、市長選挙を約1か月、手伝ってもらったという。
★26日の中日新聞 《 中林容疑者は市長選告示日数日前から約1カ月間、知人男性を美濃加茂市に派遣。男性は市内のホテルに宿泊し、藤井容疑者の政策の素案や演説原稿などを書く手伝いをしていた。選挙後もしばらく同市に滞在。中林容疑者は「藤井容疑者の私設運転手をさせていた」》

 報道では、「業者に会い、市に議員として働きかけ」「市長選があり」「当選後、機器・システムを導入した」という流れの中の、市長選挙数日前から、同社長が「選挙の政策の素案や演説原稿などを書く手伝い」の人間を派遣し、「当選後の私設運転手」もさせていた、という。

 これら密接な関係も含めて、警察は、仮に現金が否定されても、「約束」は逃げようがないということか。
 請託を受けて賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたとき

 ★事前収賄罪 刑法197条
(収賄、受託収賄及び事前収賄) 第197条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
 2 公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、5年以下の懲役に処する。

 ところで、私の町では、3つの自治体が合併して「市」になる前、2代の町長が汚職で逮捕されている。
 その時は、新聞各紙を保存し、2つの刑事事件の法廷も基本的に全部傍聴した。  (略)
 とはいえ、市長を信じる人たちがいるのも事実。(以下 略)

 「賄賂収受の意思」「賄賂の収受の時期」「賄賂の収受の後の工作」について確認しておこう。
●1. 賄賂収受の意思に関して/昭和25(れ)1370収賄、贈賄、商法違反、物価統制令違反等昭和32年3月28日最高裁判所第一小法廷第11巻3号1136頁
 裁判要旨/刑法第一九七条にいう「其職務ニ関シ」とは、当該公務員の職務執行行為ばかりでなく、これと密接な関係のある行為に関する場合をも含むものと解するのが相当である。

 2. 賄賂の収受の時期に関して/最高裁判所第3小法廷/昭和26年(あ)第219号/昭和27年7月22日判決
 賄賂罪における請託の意義/裁判要旨/刑法第一九七条第一項後段の請託とは、公務員に対して、その職務に関して一定の行為を行うことを依頼することであつて、その依頼が不正な職務行為の依頼であると、正当な職務行為の依頼であるとを問わない。
 (補足)同判決は、「公務員が請託を受けて賄賂を収受した事実ある以上収賄罪は成立し、賄賂の収受が事前なると事後なるとは犯罪の成否に影響なきことは従来判例の趣旨に徴して明らかである。」としている。

3. 賄賂の収受の後の工作に関して/最高裁判所第3小法廷昭和58年(あ)第770号昭和63年4月11日決定
 自らその旨の意思を表明すること及びその旨説得勧誘することを請託して金員を供与したときは、贈賄罪が成立する。
 (以下 略)

★2014年7月16日ブログ ◆美濃加茂市長を起訴 受託収賄などで 名古屋地検/勾留のまま、市長在職のまま  
 ・・・(略)・・・ この美濃加茂市長の逮捕以後、私のところにも、「若いと大丈夫?」とか「経験が浅いと・・」とか言ってきたり、電話して来たりの声がある。
 私は、事件は、「個人の問題でしょ」「いままで、汚職はいい年の人たちの行為でしょ」「年齢の問題ではない」等と答えている。
 (以下 略)

●2014年8月19日ブログ⇒ ◆金沢市長、辞職願提出/場外車券場巡り業者に便宜/「道義的責任」/来月にも市長選

 4年前、6選の現職市長を倒して市議から当選した金沢市長。
 今年12月の2期目の選挙に向けて、6月議会で再選出馬を表明、各党の推薦を得て再選を目指す体制が整う方向になっていた。
 ところが、業者との癒着問題の発覚で、突然、辞職。

 その件は、市長選前に業者と事業の約束を交わし、選挙支援を受け、当選後に調整、しかしその事業が実現しなかったので、市長が別の業務を提案したらしい。
・・・これって、収賄で6月に逮捕された美濃加茂市長と業者の関係と同じ構図に見える・・・

 そこで、両者の比較をするために、まず、今日は、金沢市長の事件のことを見ておく。
 ★《車券売場問題をめぐっては、山野氏は、初当選した10年の市長選で支援を受けたビル管理会社の元社長から、車券売場開設の要
(以下 略)

★2014年8月21日ブログ  ◆美濃加茂市長は逮捕、拘留されて間もなく2カ月/金沢市長は辞職/両者は事案の構造が酷似   
 全国最年少の市長である美濃加茂市長が逮捕、拘留されて間もなく2カ月。
 刑事事件では「金をもらったか、もらっていないか」が争点になるような報道がされている。
 検察の考えることはともかく、社会通念としては、金をもらっていなくても、「議員時代からの業者との癒着関係」という問題自体で許されないことだと私は見ている。

 「無罪だ」という人たちがいるけど、それは裁判所の判断であって、「癒着関係」に目をつむるのかと懸念する。
 「癒着関係」が問題になれば、辞めるしかないのに、金が介在していないならと、「癒着関係」を肯定するのだろうか。

 ともかく、美濃加茂市議会は、問責決議を議決した。
 ところで、先日、金沢市長が、辞表をだした。
 私には、両者は事案の構造が酷似している、それにも変わらず、対応が全く違う、そのように映る。
 簡略化して比較してみる。

【金沢市長】 市長選前の議員時代に、業者と事業の約束を交わし、選挙支援を受け、当選後に調整、しかしその事業が実現しなかったので、市長が別の業務を提案した、らしい。

【美濃加茂市長】 議員の時から、行政に同社の製品のことを働きかけ、選挙前後の支援を受け、市長に当選したら、同社の実験設備を自分の母校に導入した、らしい。

 業者から金をもらっているか否かに関係なく、事実であれば、辞めるしかないと思う。
 今日のブログはそんな観点で比較、それと美濃加茂市長の関連の動向を記録しておく。

 ところで、深夜に、本の編集者から、原稿の校正に関しての問い合わせ事項が10項目以上届いた。
 今朝3時に起きて、それらへの回答を作り、このブログをまとめる。
 今日は議会改革特別委員会の会議もある。
 
 もとに戻り、もう少し、美濃加茂市長と金沢市長の比較。
 (以下 略)

★2014年9月18日ブログ  ◆美濃加茂市長の公判始まる/ 「覚えていない」 「忘れていた」 が 多過ぎの懸念 
 全国最年少の美濃加茂市長の(受託)収賄の疑いの刑事事件の公判が始まった。
 昨夜7時からのNHKの全国ニュースにも出ていた。それだけ注目の事件。

 始まったばかりだけど、判決時期については、中日がまとめていた。
 ★《刑事裁判では、被告が起訴内容を認めていれば審理が早く進み、多くは判決まで一カ月もかからない。ただ、藤井市長は無罪を主張して検察側と争っていることから、複数の証人への尋問が行われる・・弁護側によると、早ければ年内に結審する見込みのため、判決言い渡しは年末か年明けになりそうだ。》

 確かにそうだ。否認すれば長引く。
 かつて、うちのまちの町長が収賄で逮捕された時も、贈賄側はすっと認めて、結審し判決も確定しているのに、元町長は否認して1年近くかかった。(元町長も、一審の有罪で、控訴せず確定)

 NHKは、
 ★《次の裁判は、来月1日と2日に賄賂を渡したとされる業者に対する証人尋問が、行われる》
 中日は、
 ★《だが、裁判は必ずしも市長側に有利に進んでいるわけではない。贈賄側の中林正善被告は、自身の裁判で金を渡したことを全面的に認めた。このまま、藤井市長の判決を待たずに有罪判決が確定しかねない流れだ。》

 弁護団の郷原信郎弁護士は、会見やネットで世論を作る作戦のようにも見えるけど、裁判の結論に影響するのか、やや疑問。
 昨日のことの報道で気になったことは、2点。

 一つは、市長の「覚えていない」という旨が目立つこと。
 ●《検察は業者とのやり取りについて「被告は、飲食店で、業者から現金の入った封筒を見せられ『足しにしてください』と小声で言われた。当時、資金繰りが楽ではない状況で『すみません。助かります』と言って現金を受け取った」と主張。 これに対して弁護士は「いずれの現場にも、ほかに同席者がいて、現金の受け渡しを目撃していないと話している。資金繰りについては、自由に使える多額の現金があった」と主張。》 NHK

 ●《藤井被告は昨年4月2日、現金10万円を受け取ったとされている。既に行われた公判前整理手続きで、検察側は同月4日に藤井被告が自身が経営する学習塾の口座へ9万5000円を入金したとの証拠を示している。 会見で入金の趣旨を質問された藤井被告は「(何の入金か)具体的には覚えていない」と述べた。 郷原弁護士は「事件との関連性はない。検察側もあきらめて、入金記録の話は冒頭陳述に入れなかった」と補足した。》 毎日 
 ●《記者からいろいろ聞かれても、忘れていることも多くて……。(中林氏との)会食は4回あったらしいんですが、はっきり覚えていたのは2回。(10万円を渡されたとされる)ガストでの昼食は、完全に忘れていました。》 夕刊アメーバニュース

 もう一つは弁護士の次の主張。(弁護士ドットコムニュース)は、 (以下 略)

★2016年11月29日ブログ ◆美濃加茂市長、逆転有罪 収賄事件で名古屋高裁判決/主任弁護人「政治活動ができなくなる」・・・って 何?  
 昨日の名古屋高裁での美濃加茂市長の収賄事件の判決。無罪とした一審判決を破棄し「有罪」とした。
 こういう時、応援した支持者の人たちは「信じられない」と思う。
 私自身は、そもそもの事件発覚時、いろんな報道機関が周辺を独自に調べたことの内容なども見ていて、「金銭のやり取りがあったのは事実なんだろう、役務の供与もあるうえで、市の事業にその業者の事業を採り入れたのだからアウト」と思った。

 周りの人が「信じられない」と思うのは当然。(信じたいとの期待感の現れともいえる)
 私の住む町の例。二十数年前、当時の現職議員ら4人ほどが収賄事件で逮捕され有罪、その絡みで町長も100万円もらったことを認めたが「政治献金だ」と言い張って逮捕を免れた事件があった。信じられない思いを表す人が少なくなかった。
 次の町長は、業者からの賄賂をもらったのがバレて逮捕、有罪。議員として向き合っていたから、そんな人物像は感じなかったけれど・・・
 さらに、次の町長も賄賂をもらったのがバレて逮捕、有罪。議場で一緒に仕事をしていた同僚だから、見えることは少なくない。

 結局、政治家は、「疑いをもたれるような行為は絶対にしないこと」とするしかない、という方針を通すしかない。飲酒運転だって、絶対にしない。その観点では、報道から見た美濃加茂市長の事件は「いけないことをやってしまった」と映る。
 特に、県や市、権力相手にも市民運動をガンガンやっていたから、検察や警察に嫌われているわけで、いっそう気を付けてきた。

 そんな意味で、判決は自然。一番の違和感は、担当弁護士の「こういうことが当たり前にあると、政治活動ができなくなってしまう」(弁護士ドットコム)という発言。
 この「政治活動」には、喫茶店で業者と一緒に飲食する活動を指している、もしくは含んでいるわけで、政治家はそんなことをやってはいけないこと、その線引きをしないとズルズルとはまる。このことは、役所の不正の歴史、改善のための努力の歴史が示している。
 (以下 略)

●社説 美濃加茂市長選 市政と司法の間で…
        中日 2017年1月31日 
 行政の行き詰まりを打ち破るため、首長がいったん辞職して出直し選挙であらためて信を問う、という戦術がないわけではない。市政運営に新たな弾みはつけてほしいが、司法はまた別であるはずだ。

 岐阜県美濃加茂市の出直し市長選で、逆転有罪判決を受けて辞職した前職藤井浩人氏(32)が再選された。数字を見れば圧勝である。
 全国最年少市長の誕生となった前回二〇一三年の市長選は、投票率52・86%で藤井氏の得票は一万一千三百九十四票だった。
 今回の出直し選は、投票率57・10%で得票は一万九千八十八票。投票率が上がっただけではなく、得票も七千七百票近く増えたのである。示された民意は重い。

 藤井氏は、市議時代に設備業者から計三十万円の現金を受け取ったとして事前収賄などの罪に問われた。名古屋地裁は一五年三月、無罪判決を出したが、控訴審の名古屋高裁が昨年十一月、逆転有罪を言い渡している。

 現金の授受を否認している藤井氏は最高裁に上告するとともに、法廷闘争をしながら市長を続けることの是非を問う、として出直し市長選に打って出た。裁判で逆風にさらされる中、市民からの強い支持を証明してみせた。狙い通りの展開ということになろう。

 しかし、今回の選挙で市政に新たな展望は開けるだろうか。
 再選を果たした藤井氏の任期は一期目の残り期間で、今年六月一日まで。従って、五月には再び市長選が行われる。
 そもそも、昨年十一月の高裁判決後も市議会主要会派は藤井氏続投を容認しており、市政が停滞するような状況にはなかった。

 近年の出直し首長選には、市民税減税をめぐって河村たかし市長が仕掛けた一一年二月の名古屋市長選、大阪都構想をめぐって当時の橋下徹市長が仕掛けた一四年三月の大阪市長選などがある。
 ともに議会との対立を打開して公約実現を図る狙いであり、力任せに異論をねじ伏せるような手法の是非はさておき、優れて行政課題に密着したものだった。

 裁判の行方は裁判の審理に委ねるのが法治国家のルールである。一審無罪、二審有罪という微妙な裁判だが、仮にも民意の援軍を求めようというのであれば、筋が違うと言われよう。
 藤井氏への市民の期待の大きさはあらためて示され、それが今後の市政運営に資することを期待したい。しかし、冷たいようだが、司法はまた独立の判断でもある。


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