もう30年も前のお話。でも、昨日の出来事のよう。

 初めてBMXレースしにアメリカに行ったときに同行してくれたのが、大野薫(おおのかおる)というプロサーファーだった。

 薫さんは、サーフ界ではとても有名な人で、サーフカルチャーの最先端を突っ走っている人だった。

 日焼けしたロングヘアーに色あせたTシャツにサンダルという、俗に言われたサーフファッションじゃなく、すごくおしゃれで、時折パンクで、でもベースはアイビーな感じ。とても洗練されていた。

 ハワイやウエストコーストの明るくてさわやかなイメージが強かった日本のサーフ界に、パンクやギャングなカルチャーを持ち込んだのも薫さん。

 はちゃめちゃなところもいっぱいあったけれど、ずいぶん刺激を受けたなあ。

 薫さんを慕って集まっていたキッズたちは、サーフ界、スケート(ボードね)界、BMX界と幅広く活躍してたからなあ。

 そんな薫さんは1999年に亡くなってしまった。

 薫さんを慕っていた仲間の一人であるT19の大滝が、今日懐かしい感じのステッカーをたくさん持ってきてくれた。

 今度、ビームスのTOKYO CULTURE ARTで、大野薫のサーフブランドであったPINEAPPLE BETTY’Sをテーマにしたエキシビションをやるそうで、ステッカーの台紙にはその案内がプリントされている。

 このスティッカーをみていると、あの突っ走っていた薫さんの姿が頭によみがえる。