夏泊の訪問から四年後、見残してしまった青谷の美しい景色を見る為に訪ねたのは、夏泊漁港にほど近い「長尾鼻」。
駐車場の案内看板にあった航空写真で見る長尾鼻全景。約250~500万年前、火山から発生した安山岩質の溶岩流が日本海へ到達して作り上げた断崖絶壁。その形が鳥の尾羽のように見える事が「長尾鼻」の名称の由来になったとも言われています。
西因幡県立自然公園の一画にあり、マンホールデザインにも登場した長尾鼻灯台。敷地への通路は門扉に閉ざされていますが、十分にその姿を楽しむ事が出来ます。
「断崖絶壁は怖い! 高い所は苦手・・でも波に洗われる断崖の造形美は感動する。打ち寄せる波頭の白い泡は様々に想像を掻き立てられて・・・」とまぁ・・(^^;) このように相反する思惑に心をかき乱されながら(笑)、断崖が見えると思われる場所まで行ってみる事に。
人の足跡がはっきりとわかる細い通路から見下ろす岩場、泡立つ波の白さが流れの速さを知らしめて、絶対的な安全圏で見る分にはこの上なく美しい眺めが展開されます。
『大国主』と『八上姫』が待ち合わせた「待合谷」・・『八上姫』を待っていた『大国主』は海水で足を冷やしていたところ、鮫に足を噛まれてしまいます。流れる血を止血をしたという「血止めが池」。神代の昔に育まれた恋人たちの聖地、それはどのあたりだろう?
はるか向こうに細く突き出して見えるあの岬は・・・?空と陸と海が一つになる場所・・・そんな形容詞がふいと頭に浮かぶ。
一年を通じて磯釣り客でにぎわう長尾鼻、駐車場には「長尾鼻磯釣り案内図」の看板。木陰には主のいない他府県ナンバーの車が一台。他には誰の姿も、何の気配も無く、爽やかな秋の日差しが木漏れ日となって影を落とすだけ。
そうそう、展望台へと向かう細い通路の脇に「魚つき保安林」と書かれた白い杭を見かけました。古来より、漁業を営む地域では海岸の森林を守る習慣がありました。岬の岩場に形成される海岸性の森林、湾内の離島の森林などに神社を設け、神域として立ち入りを制限し一定の保護を行って来た場所があります。そのようにして守られてきた森林を、法的に保護するための名称が「魚つき保安林」なのです。
訪問日:2016年10月21日
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます