今年の6月に、18年いっしょに暮らしたタマが逝ってしまい
そのあとのうちは、まるで砂漠のように乾いた日々。。。
裏山を歩いていても、畑の雑草を取っていても、仕事場で土を触っていても
なにをしていても光ってこない、鈍い毎日。
知人が猫の里親を募集していることをひとづてに知り
月曜日、父ちゃんとふたりで猫に会いに行った。
父ちゃんは最初「もう少し(次の猫を飼うまで)時間がほしい」という態度だったけど
会うとダメである。目尻が下がってきた。よしよし。
結局シロクロの4ヵ月くらいの女の子と、1ヵ月くらいの男子を連れて帰ることになった。
ニコニコして帰宅。よかったのはここまで。
「つかれたねえ」などと猫に声をかけ、ウチの中に放したそのとき
大きい方の猫がびゅっと飛び出し、網戸を蹴り開けて、すごいいきおいで外に飛び出してしまった。
「あああっ!」という父ちゃんの声に振り向くと、すでに猫は裏山へガーッと走り去って行くところだった。
この暗い林の奥に行ってしまった。
青ざめるわたしたち。追いかけて追いつく早さじゃないし、林は奥深い。
すぐに父ちゃんは一時間以上山の中を捜索開始。
かすかに奥の方で声を聞いたけれど、すがたを見ることはできない。
その晩は「もう天国から地獄に落とされた気分だ」という父ちゃんのセリフ通りの気持ち。
酒も呑めず。
この晩父ちゃんはネコが無事に帰ってくる夢をみて「ああーよかった」と思ったら目が覚めて
すごくショックだったらしい。
捜索一日目(火曜日)
早朝裏山に向かって前に呼ばれていた名前を呼ぶと、林の奥の方からミヤーと小さい声がする。
コドモの朝ご飯などは父ちゃんに任せてそのまま裏山捜索。
ひとりでこんな奥まで歩いたことないんだけど、猫を思うと怖くない。
怖いのは途中木の根っこに集まっていたスズメバチであった。
もとの飼い主であるkikiさんに相談したら捕獲器がいいかも、ということで
近所の方に相談すると、数時間もしないうちになんと捕獲器を持って来て下さった(T_T)早い。
さっそくミカンの網にカリカリを入れて、針金にひっかける。
これを爪でつかもうとすると、扉が落ちて閉まるしくみ。
手作りの捕獲器。性能はいいとのこと。
この捕獲器を声のする林の中へ設置。
あと家の周辺にあたたかいベッドを作り、ごはんも置いておくことにした。
捜索二日目(水曜日)
朝、早くに目が覚めて捕獲器を見ると、ごはんだけ食べられてる。扉は開いたまま。
うまく食べたのは一体だれなんだろう?
うちの周辺はタヌキやハクビシン、さらにお隣で飼われている猫が数十匹いるので
だれが食べたのか皆目検討つかず。
さて二匹きた猫のうち、小さい方。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/30/45efd2a6c7708dcb50274b2ba9966e21.jpg)
うちに来たその日からなじみがよくてソファで寝るし、コドモの横にも座ってくれる。
とても助かる。
kikiさんいわく「怖がりなはずだし、そう遠くへは行ってないとおもう。
床下のすきまとかに隠れてる気がするんだけど」
そう聞くと近くにいるような気がする。うれしくなって家の周辺を家捜し。しかし見当たらない。
今日は声も聞いていない。気配もしない。絶望感も襲ってくる。
捜索三日目(木曜日)
朝、また捕獲器のごはんだけが食べられている。
家の周辺に置いたごはんがなくなっている。
早朝来ている模様(だれが食べてるかはわからないけれど)。
父ちゃんとふたりで山の奥から少しずつゆっくり捜索。ローリング作戦である。
たまに薮の中でじーっと座って気配を探ってみる。
鳥の声がよく聞こえる。
ケモノの糞も見つかる。
冬の前の雑木林、うつくしい。
今日は夜半から台風が来るとのことで、捕獲器を薪置き場の横へ移動し
雨風がしのげるよう、板を乗せたり固定したり。
夜中、ものすごい強風でものすごい音と豪雨。
バタンバタンという音で何度か目が覚める。
あの子はどうしているだろう。
しかしなぜか猫は安全なところにいるという思いも一方である。なぜかしら。
捜索四日目(金曜日)
猫の声を聞かなくなって3日目。
うちのまわりにはキツネも出るし、もしかしたら襲われたのか?そんな懸念もアタマをよぎる。
夕方捕獲器を家の近くに移動。
するとすぐにカシャンっと扉の閉まる音が!父ちゃんが走っていってみると
お隣のグレーのおっきいオス猫が入っていた。ううう。
捜索五日目(土曜日)
なにもひっかかっていない捕獲器を期待せずに見に行くというのが朝の日課になってしまった。
今日は保育園の運動会なので私は朝から弁当作りで忙しい。
父ちゃんが新聞を取りに行って
「ちょっと!ちょっとー!!」って叫んでるのも
またお隣のネコが捕まったんだろうと思ってたら、なんと
逃げた女房じゃないけど、ネコが捕まっとる~!何度も目をうたがって、夢かとも思った。
こんなふうに捕まってくれるなんて、奇跡だと思う。
ご協力してくださった方々、ご心配くださった方々、みなさんありがとうございます。
ココロからお礼をいいたいです。
帰って来てくれてありがとう。
きみのなまえは、前の飼い主さんがつけてくれたまま「はね」だよ。
今回の脱走事件で大騒ぎになったうちでは、
「もしかしたらタマがまだ新しいネコを入れるのを嫌がってるから事件が起きたのか」と思ったこともあった。
タマが亡くなってからまだ半年経ってない。後妻を迎えるのはまだ早い、という気持ちが
わたしたち家族にあったから。
でもはねは帰って来てくれた。
しゃああ~と威嚇はされたけど、その後ものすごい頭突きとスリスリで
わたしたちはすぐに毛だらけになった。
これでいいのだ、タマはそう言ってる。そう思う。
2015年の秋はこういうかんじになった。
だれも想像してないことだった。