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チマチマ毎日

木工屋と陶器屋の夫婦が作るセルフビルドの家と、まいにちの生活、道具のあれやこれや。

「麦の穂を揺らす風」

2007年01月16日 | 読む見る聴く&思う
「麦の穂を揺らす風」
                   ケン・ローチ監督。
遠来の友人とともに名古屋シネマテークまで映画を見に。

「麦の穂を揺らす風」は1920年代のアイルランドが舞台。
映画が始まってすぐにイギリスの武装警察隊の怒声にはっとさせられ
そこから心臓をわしづかみにされるような凄惨なストーリーに
息もつけなかった。

イギリスの支配はアイルランドの言葉を、文化を、富を、人々の
穏やかな日常を奪う。少しでも抵抗するものは、いとも簡単に
銃で殴られリンチを受け拷問を受け殺されてしまう。
主人公デミアンは医師になる道を捨て、戦いに身を投じることを
選ぶ。

家族友人を殺され、生活をおびかされ、それに抵抗するべく
戦いが始まる。

戦いの中では情報を漏らした仲間を処刑せねばならず
ひとを殺めることに平気にならねばならない。
最初の銃の重さが徐々に感じられなくなってくる。
その過程がとても静かに伝わってくる。

アイルランドの抵抗の末、イギリスは見せかけの講和条約を
結ぶ。今まで共に戦ってきたデミアンの兄テディは
この条約に賛成し自由国軍に所属する。デミアンは反対。
仲間のダンらとともに条約反対運動をつらぬく。
今度は今までの仲間が敵になる。
仲間だった者に銃をむける。

シネードが武装警察にリンチを受け
「わたしはふつうに生活したいだけなのよ」と叫び
涙を流す。
今、世界の中でどれだけ同じ思いを抱えているひとが
いるだろう。
どうして人間はこんな悲しいことを繰り返してしまうんだろう。


たくさんのことを考える映画です。
いろいろな国のひとがこの映画を見て
たくさんのひとがいろいろなことを感じて深く考えることを
思いました。






「誰も知らない」

2006年12月27日 | 読む見る聴く&思う
「誰も知らない」

 この映画を見ているあいだ、つらくてつらくて
はやく終わってくれ、と思うくらいだった。
なのに見おわってからこの映画のことばかり思い出す。
こんなに残る映画はわたしにはそうないかも。

 12歳の男の子をあたまに3歳くらいの女の子まで4人の
子供がいて母親とマンションの一室で暮らしてる。
子供たちはだれも学校や保育園などには行っていない。
近所の人には長男しかいないことになってるから
長男以外は外にも出れない。
そんな中母親が年末を前に家に帰ってこなくなる。
最初はこぎれいだった家の中が
電気を止められ、水道を止められ、徐々に荒れてきて
子供たちの髪の毛も伸び、洋服も汚れてくる。
長男のアキラは弟妹たちの世話をみながら
「生活」を維持していく。

もう見ていて「痛い」んだけど、
でも、この子たちとわたしたちは同じなんだ、って思った。
生きている、生きていくっていうことでほんとに同じ。
毎日の生活の中でそれは忘れてしまいがちなんだけど
生きていくってこういうことなんだ。
生きていくって痛いんだ。
って思った。

すごくいい映画だった。
見ていない人いたら2時間ちょっと、
痛いけどみてほしいな。


かもめ食堂・恋の門

2006年12月14日 | 読む見る聴く&思う
 むすこが8時前に寝るようになって、
 夜、本を読んだり映画をみたりする時間が
 久しぶりにできた。借りてきて映画を見るなんて
 これまた5年ぶりくらい。

 「恋の門」松尾スズキ初監督作品。
最初から面白くて笑ってばかし。(好みもあるが)
片桐はいりや塚本晋也などもったいないくらいの使い方で登場する。
     
コスプレがメインになるところが多く、パーティー会場シーンは
よーくみると、ど根性ガエルのひろしやガチャピン、メーテル
(大竹しのぶ)など探すといろいろいる。(もちろん車掌も)
サンボマスターのBGMはぴったりだし
忌野清志郎と何十人が繰り広げるダンスシーンは必見。

       
「かもめ食堂」
 うってかわってフィンランドにある食堂が舞台。
小林聡美がひとりでやってるこの店にひとり、ひとりと
女がやってくる。この店長は、すごく親身になって親切に
するわけでもないんだけど少しずつことばをかける。
おいしいコーヒーをいれて出す。おにぎりをつくる。

この映画を見て思ったことは「ああ、女ってやさしいな」ってこと。
なにか事情があってここにいるんであっても、何も聞かないで
温かいものを出す。

すごくかっこいいわけでもなく、派手なことも起こらず
淡々と生活はある。そういう毎日がとてもいとおしく描かれている。

この鳥の模様は、空港で荷物が出てこなくて困っている
もたいまさこが、着るものがないのでフィンランドの町で買った
シャツの柄である。