
ケン・ローチ監督。
遠来の友人とともに名古屋シネマテークまで映画を見に。
「麦の穂を揺らす風」は1920年代のアイルランドが舞台。
映画が始まってすぐにイギリスの武装警察隊の怒声にはっとさせられ
そこから心臓をわしづかみにされるような凄惨なストーリーに
息もつけなかった。
イギリスの支配はアイルランドの言葉を、文化を、富を、人々の
穏やかな日常を奪う。少しでも抵抗するものは、いとも簡単に
銃で殴られリンチを受け拷問を受け殺されてしまう。
主人公デミアンは医師になる道を捨て、戦いに身を投じることを
選ぶ。
家族友人を殺され、生活をおびかされ、それに抵抗するべく
戦いが始まる。
戦いの中では情報を漏らした仲間を処刑せねばならず
ひとを殺めることに平気にならねばならない。
最初の銃の重さが徐々に感じられなくなってくる。
その過程がとても静かに伝わってくる。
アイルランドの抵抗の末、イギリスは見せかけの講和条約を
結ぶ。今まで共に戦ってきたデミアンの兄テディは
この条約に賛成し自由国軍に所属する。デミアンは反対。
仲間のダンらとともに条約反対運動をつらぬく。
今度は今までの仲間が敵になる。
仲間だった者に銃をむける。
シネードが武装警察にリンチを受け
「わたしはふつうに生活したいだけなのよ」と叫び
涙を流す。
今、世界の中でどれだけ同じ思いを抱えているひとが
いるだろう。
どうして人間はこんな悲しいことを繰り返してしまうんだろう。
たくさんのことを考える映画です。
いろいろな国のひとがこの映画を見て
たくさんのひとがいろいろなことを感じて深く考えることを
思いました。