『中村勘三郎 最後の131日』を読んだ。歌舞伎座でその舞台を観たかった
私がお役をいただいている法人は病院を運営しており、お医者さんを始めとする様々な医療関係者とお話しする機会がある。そうした中で伺いすることだが、「医療に事故はつきもの」との言葉と出会い、「無謬主義」の立場に立つ私を驚かせる。
もちろん一切の事故をなくすためにあらゆる努力をしているし、現実には皆無に近いがそれでも「医療事故」と無縁でないという。それ故、信頼できるお医者さんと出会えることは、とても大切だと実感する。
そんなことを思ったのも、波野好江著『中村勘三郎 最後の131日 哲明さんと生きて』(集英社刊)を読んだからだ。がん発症が発見されるまでの闘病生活をめぐってのお医者さんとのあれこれは、読んでいてとも心が痛んだ。ずいぶんと遠慮してお書きになっているものの、いろいろとあったことは想像に難くない。
ところでこの本は、ずいぶんと以前に、図書館に予約カードを出していたが、たくさんのリクエストがあるのだろう、今頃になって届いた。一気に読んだ。 再び舞台に立ちたいと闘病生活の苦しさに耐えた中村勘三郎。彼が願った新生歌舞伎座の舞台に立たせたかった。それは彼の夢だけではなく、歌舞伎を愛する全ての人の思いでもある。歌舞伎界の宝を一人失った、その悲しみは癒えない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます