地底人の独り言

いつまでもみずみずしい感性を持ち続けて生きたいと願いつつ、日々の思いや暮らしを綴っていきます

丸谷才一

2012年01月04日 | 読書

 

今年最初に読んだ小説は丸谷才一著『持ち重りする薔薇の花』、読む喜びに浸った

 「カルテットというのは、四人で薔薇の花束を持つようなものだな。面倒だぞ、厄介だぞ、持ちにくいぞ――。互いの妻との恋愛あり、嫉妬あり、裏切りあり。それでも奏でられる音楽は、こんなにも深く、美しい! 財界の重鎮が語る、世界的カルテットとの知られざる交友。人生の味わいを細密なディテールで描き尽くす」。

 上は、丸谷才一の8年ぶりの長篇小説『持ち重りする薔薇の花』(新潮社刊)のPRコピーだ。私は近年、「本は図書館で借りて読む」こととしているが、丸谷才一の本は一回読んだだけでは、とてもではないがその神髄に迫れない。

 『持ち重りする薔薇の花』について、「波瀾万丈なエピソードが絡み合い、作品としてのまとまりを見せていく様は圧巻」との評にも接する。それ故、購入して読んだ。

  

 丸谷才一の今から30年前に出版された純文学書下ろし特別作品『裏声で歌へ君が代』(1982年、新潮社刊)の箱に書かれた二人の作家の推薦文が、丸谷才一の小説の「魅力」を伝えている。

 劇作家の山崎正和は「この小説には種も仕掛けもふんだんにあって、これだけ趣向の凝らした作品も珍しい」と書き、作家・劇作家の井上ひさしは「知的なひっくり返しやどんでん返しもあります。そういうことを全て含めて、知的な、文字通り劇的な小説である」と書いている。

 浅学非才、私の文字通り貧弱な知識では、『裏声で歌へ君が代』の面白みを全て理解することはとうてい無理であった。ギブアップ、お手上げだった。

 ただ、丸谷才一の『女ざかり』(文藝春秋刊)は、とても面白く読んだ。この小説は、吉永小百合が主演して映画化もされた。当然だが観に行ったが、原作を超える面白さはなかった。その他、丸谷才一の小説はたくさん読んできた。そのたびに、小説を読む喜びに浸らせてくれる。

 私は今年はどんな素晴らしい小説に出会うことができるのだろうか、ワクワクしている。

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