旭川市が女子中学生の凍死事件はいじめが原因と認め、かかわった生徒を特定したというが、こうしたいじめ報道で気になるのは、いじめの原因がほとんど明かされないことだ。たまたま、そうした報道を見ていないだけなのかとも考えたが、過去のいじめ報道を思い起こしてみても、いじめの原因についての追及は明かされていない気がする。
相当昔の記憶では、ある小学生の自殺報道でも先生と生徒が一緒になって自死を誘発しかねない追悼の寄せ書きをしたりしていたなんて話もあったが、いじめの理由は語られなかったきがする。
たしかにいじめの原因は想像するに、生徒の容姿や性格、家庭環境などプライバシーに関することが多いと思われ、当事者の名誉を思えば、公にすることでいじめられた生徒の名誉を傷つける可能性はたぶんにある。
ただ、是非はともかく、何がいじめの原因だったのかはいじめ撲滅のためには知っておきたいというのが本音だ。
個々のいじめを特定せず、原因だけを集約して検証するような資料の公表や報道特集があってもいいのではないか。いじめは悪いことは誰もが知るところだが、何気ない言葉や態度が、いじめにつながることはいじめる側もいじめられる側もわからないケースが多い。
そうしたいびつなコミュニケーションは大人同士でも多々ある。大人の場合は陰ではボロクソに批判しても、あからさまに相手を攻撃したりはしない。しかし、子供同士となるとはそうはいかない。2対1になれば、2が正義で1が悪という構図になり、2は1を攻撃する。それが、10対1ともなれば、攻撃の度合いはさらにヒートアップする。原因は大人なら簡単に見過ごせるささいなことがほとんどだ。その結果、自ら命を絶つ。痛ましい限りだ。
せめて子供たちに、その何気ない一言が、その何気ない態度が、人に不快感を与えたり、傷つけたりする事例を教えてあげるのもいじめ防止になるのでは。