日経新春杯かあ。テンポイントの悲劇を昨日のことのように思い出す。海外遠征前の走行レース、雪舞う淀を断然人気と66.5Kというとてつもない斤量を背負い寒気の中をスタート。足元が悪すぎる、大丈夫なのか、こんなところで無理するなよ。それでもテンポイントは軽快にラップを刻み先頭を行く。嫌な予感は4コーナー手前で的中した。コーナーでスピードに乗り、負荷が一気にかかる。左後肢骨折、競争中止。通常なら予後不良、その場で安楽死の重傷だ。しかし、テンポイントは日本中のファンから愛されすぎたがゆえに生かされるという、過酷な運命を歩まされる。犬猫なら片足でも生きられるが、馬は無理。人間のエゴという批判も当然あった。馬房で戦うテンポイントを連日メディアがおいかける。ファンはひたすら回復を願う。一週間後、かすかに点った命の灯が消えた。
その後のテレビの特集で見た、京都競馬場からテンポイントを乗せた馬運車が降りしきる雪の中を走るシーンは今も目に焼き付いて離れない。