実はユーミンのファンである。高校1年生の時に、ラジオのFMから流れてきたひこうき雲を聴いて、頭の中に衝撃が走った。ビートルズ、マイルス、コルトレーンにやられて以来の衝撃だった。拓郎、陽水と人並みに流行り路線を辿ったが、ユーミンの世界は全く別物だった。旋律、歌詞、アレンジ、何より歌声にハマった。
当時は、レコードを買う余裕もなく、ただただラジオで聞いていた。大学に入って、アルバイトで金貯めて、LPを買う余裕が生まれて、「ルージュの伝言」聞きたさに「コバルトアワー」を買った。それから、ばんばんアルバムを買いあさり、レコードからCDに替わってもずっと続いた。最後に買ったアルバムは忘れたが、たぶん、20年近く前のはずだ。
今はもっぱらYouTubeで思い出に浸っている。さっき、「12月の雨」を聴いていて、雨の歌が多いなあと思った。「雨のステイション」「冷たい雨」「雨音はショパンの調べ」「雨の街を」、まだまだあったかもしれないが雨の歌は大体好きだ。「雨のステイション」などは、6月になると絶対に聞きたくなる。
コンサートは一度だけ行った。昨晩お会いしましょうではなかったか。当時、結婚したばかりで、妻と行った。歌はお世辞にも上手ではなかったが、エンターテイメントは半端なく、圧倒され、お腹いっぱいになってしまった。それからは、いじいじとレコードやCDで時を過ごすのが定番だった。
ユーミンを聴いていて、どうしてこんなにハートが伝わってくるのだろう、ひょっとして俺って本当は心が女なのかもしれないとまで思い、少し不安になったほどだ。まあ、女が好きな男なわけで、ユーミンのおかげで女性をリスペクトできるようになったと思う。
あれから気の遠くなるほど時が流れたが、ユーミンは思い出を辿る分厚い心のアルバムだ。