競馬にずっぽりはまるきっかけとなったレースが菊花賞だった。初めて馬券を買ったのはその前年の有馬記念だったが、本当に競馬の魅力に触れたのが、1976年の菊花賞だった。注目はトウショウボーイ、テンポイントの2強対決、誰もがどちらが勝つのかと持論を繰り広げていたが、結末は「内からグリーングラス」というテンポイント推しの杉本アナの悲鳴ともとれる実況だった。
今年の菊花賞の枠順を見て、思い浮かんだがのは競馬へと誘った76年の菊花賞というわけだ。ダービー馬タステュエーラ、皐月賞馬ソールオリエンスの2強にTTを重ね合わせたわけだが、実際はそこにサトノグランツというもう一頭の実力馬が肩を並べ、3強対決といえる。
ただ、そんな時こそ、グリーングラスのようなとんでもない惑星が現れる予感がしてならないのだ。
グリーングラスは前走条件戦を勝ち菊花賞に臨んだわけだが、戦績を見てみると実は将来を暗示するようなデビューだった。デビューは1月と当時の4歳(現3歳)で、東京芝1400mだったのだが、その時の勝ち馬がトウショウボーイで18頭立ての1番人気だったわけだが、実は2番人気に推されていたのがグリーングラスだった。結果は、4着と爪を隠したままだった。トウショウボーイはエリート街道まっしぐらで皐月賞を勝ち、ダービーこそ伏兵クライムカイザーに敗れたものの、ライバル、テンポイントと共に出世街道を歩み、秋の大一番で人気を分け合っていた。
一方、トウショウボーイに後れを取ったグリーングラスは3戦目のダート戦でようやく初勝利、2勝目もそれからさらに3戦目の東京芝2000mのあじさい賞だった。それでも、その1勝を契機に中山芝2000mのマーガレット賞2着、東京中距離Hで2着、直前の中山芝2000m鹿島灘特別で3勝目を上げるなど、徐々に大器の片鱗を見せていった。とはいえ、菊の大舞台では当然ながら12番人気とノーマークの存在であった。
そこでデビュー戦で相まみえたトウショウボーイと再会し、闘志に火が点いたのか、直線抜け出した二強をめがけて内からするすると追いつくと、ゴール前でかわしてしまったのである。淀のスタンドに悲鳴が起こったのは言うまでもない。多くはフロックと見たが、年明けのAJC杯で勝ってみせたことで、2強から3強、TTG時代が幕を開けたのだ。
今年の菊花賞で果たして、グリーングラスのような超惑星は現れるのか。
リビアングラスはどうだろう、名前からしていいプンプン匂うではないか。キャリアわずか5戦と10戦を要したグリーングラスと真逆だが、人気はない。デビューは3月と遅く阪神の未勝利戦芝2000m、1番人気の推されるも4着。このあたりはグリーングラスと一緒。初勝利は2戦目の中京未勝利戦芝2000mで、スタートで後れを取るも徐々に追い上げ、最後は差し切った。続く3戦目中京芝2000mでは思い切った逃げで2勝目を上げると、4戦目で京都新聞杯GⅡ芝2200mに挑戦、ここでも思いきった逃げの手に出て3着に粘った。その時の勝ち馬が、菊3強の1角、サトノグランツである。前走、新潟の芝2200m阿賀野川特別で逃げ切り、完全に勝ちパターンを会得した。
大一番でもおそらく思いきった逃げに出るだろう。セイウンスカイのような逃げを期待したいところだ。もし、3強を封じることになれば、グリーングラスの再来となる。
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