大上段に振りかぶったタイトルですが、前々回の「インフレかデフレか」の続きです。
ちょっとその前に、前回のトランプ劇場の続きですが、トランプさんが、ガザのアメリか所有は「長期でなく短期だ」と言い換えたようです。
国連の態度や、現地の状況、ガザの人たちは「もうガザに住みたくない」のではなくて「早くガザに帰りたい」と思っているという情報なども解って、発言を変えています。
第二幕のトランプさんは少し柔軟になったのでしょうか。トランプ劇場の今後の展開は、さて、どうなるでしょうか。
更に余談ですが、日本でも、大阪高裁の判断を受けて自民党は森友文書開示の方向に舵を切るか、状況に対応して態度を変える柔軟性が試されています。
余計な事を書きましたが、本題はデフレ・インフレと賃金の問題です。
前回の結論では今の日本も、インフレとデフレが混在する状態で、病状は「賃上げ恐怖症候群」か「inflagnation」とでも言ったらと書きました。
ご承知のように賃金が上がり、物価が上がって景気がいいのかと思ったら利益が出ない,GDPも伸びないという経済状況はスタグフレーションという名前がついています。
スタグフレーション発生は賃金上昇→物価上昇→国際競争力喪失→企業利益減少・経済成長低下、という解り易いプロセスです。
日本の場合は、異常な円高から、金融政策で円安→国際競争力回復→賃金抑制→消費不振(企業利益増)→国内経済不振(対外投資増)→賃金抑制(国際競争力高進)→輸出部門好調(輸入インフレ発生)→消費不振深刻化→企業利益明暗・低成長→賃上げ必要論発生、といったより複雑な形です。
しかし、一見してお解りのように、いわゆるスタグフレーションの場合は、基本問題は賃金の上げすぎであり、日本の現状の場合は、賃金の過度の抑制が原因という事は見えて来るのではないでしょうか。
何故賃金の抑制が起きたかという問題については「賃上げ圧力の強い社会、賃上げ圧力の弱い社会」の3回シリーズで書きました。
つまり、世界では、殆んどの国が、何かあれば賃上げで解決いようというのが常識で、勿論日本も嘗てはそうでした。
しかし、1973年の石油危機を賃上げ抑制で乗り切って、「ジャパンアズナンバーワン」と言われた時の経験から、大幅賃上げは厳禁という学習をし、さらに長期の円高不況で賃金コスト削減の強迫観念に支配された結果、2013~14年の為替レートの正常化の後も、賃金は、あまり上げないほうが良いという意識から抜けられなかったのでしょう。
そして、一昨年辺りから、日本の労使も、賃金決定は日本国内の視点だけでなく、海外物価と為替レートを含め、国際競争力の視点が基本的な基準である事に気付き始めたという事でしょう。
これからの賃金決定論はマクロでは国際競争力基準、ミクロでは企業の人件費支払い能力配慮(労使合意前提)という方向に進むべきなのでしょう。
さて、今春闘の展開は一歩前進となるでしょうか。