tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日鉄:USスチール問題、政治介入に

2025年02月10日 14時42分20秒 | 国際政治

石破総理とトランプ大統領の首脳会談が終わりました。

石破さんがアメリカについて空港に降り立つところ、トランプさんと握手する写真などがマスコミに載りました。

マスコミの、特にネット関係の報道は、片手をポケットに入れていて格好悪いとか、トランプさんと握手の際の石破さんの左手がどうとか、石破さんは外交下手で、立ち居振る舞いが失礼だなどの批判が随分ありました。

そんな事を書く暇があったら、もう少し石破外交の重要性か何か少しレベルの高い事を論じて欲しいと思っていましたが、終わってみれば、今度は大方が、トランプさんはご機嫌だった、これで日米関係は当面順調にいきそうだといったものや、中には石破さんを持ち上げる記事などと様変わりしています。

事ほど左様に多くのマスコミの報道の流れというのは移り気なものだと感じるところですが、さて、今後はどうなるのでしょうか。

そうした中でどうにも筋の見えない、理解不能な問題の一つに日本製鉄のUSスチール買収の問題があります

この問題はご承知のように日本製鉄が、かつてはアメリカ繁栄の象徴であったUSスチールを買収するという事で両社の合意していたものです。ただし、アメリカの鉄鋼の労働組合USWは反対でした。

それに対して大統領選の最中、トランプさんが、「アメリカ栄光」でもあったUSスチールの日本の鉄鋼会社への身売りには反対と言い出し、USWの支持を得たい共和、民主両党とも反対という事になって、私企業どうしの合意なのですが日本製鉄、USスチールも動きにくくなっていたところです。

この、私企業間の問題も首脳会談の議題になったようで、トランプさんは、買収でなく投資ならばOKといい、石破さんは合意したようです。 

トランプさんは、アメリカへの投資は大歓迎というのが基本姿勢ですから、アメリカの栄光とUSWの票にはこだわっても、日本製鉄がUSスチールに巨額の投資するのなら大歓迎は当たり前です。

だいたい、私企業間の契約です。大統領や総理大臣に決定権があるわけでもないのに、大統領選のさ中、アメリカの栄光と票とカネを天秤にかけたような話が首脳会談で纏まったと言っても、問題は日本製鉄とUSスチール以外は部外者のはずなのです。その後、トランプさんの、出資なら50%までなどという経営権の話まで報道されたりしています。

日本製鉄の意見についての報道はありませんが、日本製鉄としては、問題がとんでもなく大きな事になっていまって、大迷惑という事でしょう。 

結果がどうなるかは両企業の経営者や株主が決めることでしょうから、トランプ流ではない、まともなディールとして結論が出されるのでしょう。

今回の石破訪米石破さんは「反対されるのが嫌いな人」と意識していたそうで、結果は大変スムーズで「日米関係の黄金時代」などという言葉も出ていました。

しかし、かつての「ロン・ヤス」の黄金時代には「プラザ合意」で、円安という劇薬を飲まされ、就職氷河期を含む30年不況の原因を作っています。

マスコミは、本当に大切なことを、見落とさずに、みんなに知らせてほしいものです。


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