tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

低失業率維持する日本

2009年05月09日 13時18分25秒 | 労働
低失業率維持する日本
 今回の世界金融恐慌では、これまでの資本主義のあり方のいろいろな問題点が見えてきました。しかし現状は、重要な本質論議としての資本主義の改造、資本主義の新たな進化の方向などについては、論議が余り進まないままに、金融面の手当が各国政府の努力によって、急速に進んできています。

 金融面の手当が出来たところで、本質問題が忘れられるのは困りますが、経済の血流である金融面の手当には、なお万全の努力を続けて欲しいと思います。

 ところで、今回もたらされた不況で、またまた、それぞれの国における雇用面での対応の違いが見えてきたようです。最近時点の失業率の国際比較を見ますと、日本の4パーセント台に対し、アメリカは8パーセントに載せ、ドイツ、フランス、イギリスなどのヨーロッパ諸国も7~8パーセントに近づいています。

 日本の過去の最高は、失われた10年の中での5.4パーセントと記憶しますが、そこまで行かないことを願いつつ、また行かない努力をするといった意味からも、日本企業における雇用のあり方をもう一度よく考えてみる必要があるのではないでしょうか。

 かつては、ベテランの人事部長でも、雇用削減を発表するときは足が震えた、などといわれましたし、「首を切る経営者は腹を切れ」などともいわれました。日本の企業人は、雇用の維持が、経済社会の安定の基本的要素として、極めて重要であることを知悉していたのでしょう。

 こうした社会の枠組みのあり方の重要な含意(例えそれが多少不自由であっても)が。「規制緩和、規制撤廃」の大合唱の中で、制度だけでなく、「考え方や、態度、志」まで変化することへの危惧感を持つ人は多いのではないでしょうか。

 さいわい、失業統計の国際比較で見る限り、日本人の雇用に関する良き伝統は、種々の法律・制度の変化にも拘らず、未だ維持されているように思われます。
 労働経済の分野で、雇用についての本格論議が、今日、改めて、必要になっているように思われるところです。