tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

不況の違い、対策の違い

2009年05月21日 14時17分45秒 | 経済
不況の違い、対策の違い
 失われた10年の長い不況を経て、2002年以降、多少生気を取り戻してきた日本経済でしたが、また改めて、昨年来の深刻な不況になってしましました。

 不況の時は、雇用不安、賃金やボーナスのカット、デフレが心配などなど、われわれ国民の感じることはいつも同じようで、政府も大型補正予算とか対策は多分に画一的ですが、実は、前回の不況と今回の不況とではその原因も、起こり方もぜんぜん違っています。

 見かけは同じでも、中身は違うわけですから、それに対する対応策も、当然違ってこなければならないのでしょう。確かに今回はエコポイントとか、従来と違った景気対策が取られ、多少の手応えはありそうですが、この辺りも、不況の性格を確り認識した上で、よく考えてやることが効果を大きくするのではないでしょうか。

 前回の不況は 「為替レートとゴルフのハンディ 」 でも書かせていただきましたように、基本的には、プラザ合意による円高で、日本が 「世界一コストも物価も高い国」 になり、そのコスト高を克服するためのコストダウンのプロセスでした。
 日本には、遮二無二コストを下げるしか脱出の選択肢はなかったわけです。

 今回の不況は、アジアもヨーロッパも経済の実体はよかったのですが、アメリカ産の腐敗菌入り(サブプライムローン入り)のハンバーガーを食べた結果、世界中の金融機関がひどい下痢を起こし、へなへなになって、金融機関の役を果たせなくなったことが原因です。

 前回の不況は日本だけの問題で、日本が努力すれば済んだのですが、今回は世界中の金融機関の問題で、日本だけではどうにもなりません。
 しかし、日本の金融機関は比較的健全で、しかも世界一の貯蓄を持っている日本ですから、世界中がどうであれ、日本の中で金融を回し、経済を回るようにすれば、蓄積のない国に比べれば回復は早いはずです(「 余裕のある経済・ない経済」参照)。

 中国は政府が金を使って回復を早めていますが、日本は、政府が借金で首が回らない状態ですから、貯蓄を持っている民間に、いかにお金を使ってもらうか( 内需の自主的拡大)が勝負でしょう。

 それが出来ずに、輸出が回復するのを待っていたのでは、蓄積したお金も「宝の持ち腐れ」で、外国が回復するまで日本はダメ、日本経済の回復は一番後、といったことになりかねません。
 経済政策にも進化が必要ですね。