tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米、EU、経済立て直しに必要なこと:実体経済2

2011年12月27日 14時42分11秒 | 経済
米、EU、経済立て直しに必要なこと:実体経済2
 前回、今のアメリカ、EUなどの、いわゆるソブリンリスクの問題の基本は、将来の経済成長を担保に前借をして、現実の稼ぎよりも良い生活をしてしまい、借金がかさんで、二進も三進も行かなくなった結果だということを説明してきたつもりです。

 その借金が、IMFとか世銀とか、まともな金融機関からならいいのですが、サラ金みたいな国際投機資本関連からとなると、事は容易ではありません。まともな金融機関なら、経済立て直しの面倒を親身に見てくれるでしょうが、国際投機資本は、その目的とするところが、「このチャンスを利用していかに大きく儲けるか」ですから、国がつぶれようと、国民がどうなろうと、それは関係ないことなのです。

 この問題は次の金融の側面で触れるとして、実体経済の面から、立て直しに必要なことは、基本的には、現在の生活水準を、自分の稼ぎに合わせることだけです。まさに「入るを量って、出るを制す」しか、解決策はないのです。
 その他の策はすべて時間稼ぎで、結局は問題を深刻化するだけです。

 例えば、ギリシャの経常収支はGDPのマイナス8.0パーセント(いずれも2011年推計)
      イタリア              マイナス3.5パーセント
      フランス              マイナス2.7パーセント       
      イギリス              マイナス3.1パーセント
      アメリカ              マイナス3.1パーセント
      ドイツ             プラス  5.0パーセント
      日本              プラス  2.5パーセント
 ですから、マイナスの国はこのぐらい節約できれば、実体経済上は最悪の事態は回避できるということでしょう。(黒字の国もあまり溜め込むべきでないという見方もあります。)

 アメリカの場合は基軸通貨国ですし、EUの場合は、もともとマーストリヒト条約で、ユーロの加盟基準(収斂基準)で放漫財政(企業なら放漫経営)の規制はあったわけですから、本来、各国のガバナンスが早い段階で問われるべきだったのでしょう。

 立て直しはもちろん大変でしょう。しかし本来自分が、収入以上の贅沢をしてきたツケですからやるしかないのです。その上で、元本の返済という問題が残ります。

 実体経済の問題は、政権を変えても、デモをやっても暴動を起こしても解決しません。アメリカをはじめ、赤字垂れ流しの国には、早く真面目になってもらいたいと思います。赤字の返済が困難となると、ついつい、まともでない方法を考えるようになるからです
 
 <注>日本の場合
一般的に言うと、この経常収支の赤字のレベルは財政の赤字レベルに連動しているのですが、日本の場合は、政府に借金させて使わせ、国民が貯めこんでいる(国民が使わないから政府が国民から借金して使っている)という形で、政府の財政は超大幅赤字、国全体では、経常黒字という変わった形です。外国に迷惑をかける状況ではありません。