雇用の本質への理解不足
今、多くの国で経済政策が問われています。アメリカでも、ヨーロッパでも政権担当者が一番心を痛めているのは何でしょうか。
経済が思うように成長しない、貧富の差が拡大している、国民の将来不安が高まっている、などなどいろいろありますが、最も深刻な問題は雇用問題でしょう。
<最近の各国の失業率>(内閣府海外統計データ:%)
日本 4.1(9月)
ドイツ 5.8(9月)
アメリカ 9.0(10月)
フランス 9.9(8月)
イギリス 8.3(8月)
ユーロ圏 10.2(9月)
EU 9.7(9月)
途上国との競争があるのでインフレ率こそ今は上がりませんが、日本とドイツを除く失業率10パーセントといいうのは、昔から政権交代が言われる水準です。失業率に敏感な日本では、5パーセントでも政権が代わったではないかという見方もあります。
どこの国も、財政支出、金融緩和で雇用対策をやっていますが、もともと政府は金がない、金融はゼロ金利といった状態ですから、ほとんど効果はありません。
これは当然の話で、国民所得が増えない中で、人件費に割ける金額には限度があります。それなのに1人当たりの人件費は、毎年、何がしか増えているのです。雇用が増える余地はありません。デフレで傾向的に平均賃金が下がっているのは日本ぐらいです。
ポピュリストに成り下がっている多くの政権担当者は、それでも雇用を増やすと約束しては失敗を繰り返しています。
本当は、経済成長が期待できないときに雇用を増やすためには、一人当たり賃金を下げる以外にはないのです。しかしそれではデモが起きるということになります。
日本は非正規労働を増やして平均賃金を下げ、雇用の悪化を食い止めました。しかしこれは格差社会を生みました。
ところで今、日本の厚生労働省は、年金支給開始年齢の延伸を理由に、高齢者雇用促進、希望者の65歳までの雇用義務化を言い出しています。
法律を変えて雇用が増えるのであれば、どこの政府も苦労はしません。もともと雇用は経済成長の従属変数です。日本の経済成長をどうする、そのためには留めどない円高をどうする、といった問題は、経済官庁にまかせて「うちは雇用が担当だから」と言って無理すれば、日本経済にとっては、何らかの形で、平均賃金を下げて対応することしか方法はないでしょう。
今、多くの国で経済政策が問われています。アメリカでも、ヨーロッパでも政権担当者が一番心を痛めているのは何でしょうか。
経済が思うように成長しない、貧富の差が拡大している、国民の将来不安が高まっている、などなどいろいろありますが、最も深刻な問題は雇用問題でしょう。
<最近の各国の失業率>(内閣府海外統計データ:%)
日本 4.1(9月)
ドイツ 5.8(9月)
アメリカ 9.0(10月)
フランス 9.9(8月)
イギリス 8.3(8月)
ユーロ圏 10.2(9月)
EU 9.7(9月)
途上国との競争があるのでインフレ率こそ今は上がりませんが、日本とドイツを除く失業率10パーセントといいうのは、昔から政権交代が言われる水準です。失業率に敏感な日本では、5パーセントでも政権が代わったではないかという見方もあります。
どこの国も、財政支出、金融緩和で雇用対策をやっていますが、もともと政府は金がない、金融はゼロ金利といった状態ですから、ほとんど効果はありません。
これは当然の話で、国民所得が増えない中で、人件費に割ける金額には限度があります。それなのに1人当たりの人件費は、毎年、何がしか増えているのです。雇用が増える余地はありません。デフレで傾向的に平均賃金が下がっているのは日本ぐらいです。
ポピュリストに成り下がっている多くの政権担当者は、それでも雇用を増やすと約束しては失敗を繰り返しています。
本当は、経済成長が期待できないときに雇用を増やすためには、一人当たり賃金を下げる以外にはないのです。しかしそれではデモが起きるということになります。
日本は非正規労働を増やして平均賃金を下げ、雇用の悪化を食い止めました。しかしこれは格差社会を生みました。
ところで今、日本の厚生労働省は、年金支給開始年齢の延伸を理由に、高齢者雇用促進、希望者の65歳までの雇用義務化を言い出しています。
法律を変えて雇用が増えるのであれば、どこの政府も苦労はしません。もともと雇用は経済成長の従属変数です。日本の経済成長をどうする、そのためには留めどない円高をどうする、といった問題は、経済官庁にまかせて「うちは雇用が担当だから」と言って無理すれば、日本経済にとっては、何らかの形で、平均賃金を下げて対応することしか方法はないでしょう。