tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ユーロ問題と国際投機資本

2012年09月16日 14時14分10秒 | 経済
ユーロ問題と国際投機資本
 前回、ECBの、「債務危機国の国債購入無制限」という決定に触れさせていただきました。
ユーロ相場は一応の平静を取り戻したようです。
 もちろん、対策の本番はこれからですが為替が乱高下しなくなったというのは、実体経済にとっては大変結構なことです。

 しかし、国際投機資本にとってはどうなのでしょうか。だいぶ前になりますが、
「株屋殺すにゃ刃物はいらぬ、寄り引け同値でザラバなし
という都々逸を紹介させて頂きました。
 キャピタルゲインの極大化を追求する投機資本にしてみれば、相場に変化がなくなるということは一番困ることなのです。

 当面、ビジネスチャンスを失った国際投機資本はどうするんでしょか。トウモロコシ、大豆でしょうか原油でしょうか。ユーロ以外の通貨に何かしかけるのでしょうか。それともユーロに追い討ち? いずれにしても、何もしないわけにはいきません、ドルはじゃぶじゃぶ、更にまたアメリカの超金融緩和が決まって、株が動いています。株ならまだいい方かもしれません。

 サブプライム・リーマンショックの「宴の後」でも、世界中の金融機関のバランスシートを毀損し、世界経済を混乱させた国際投機資本問題をテーマにした特集(マネー資本主義:NHKなど)がありましたが、その中でも「俺のやってきたことは一体何だったのか」と、その空しさを反省し、こうした投機活動から手を引いて人間らしさを取り戻した人、カネの狂気に取り憑つかれたままに、新たなビジネスチャンスを求めて、相変わらずマネーに引きずり回される人などが登場していました。数からいえば、後者が圧倒的に多いのでしょう。

 石川五右衛門の辞世の三十一文字を引き合いい出したら、怒られることを承知でいえば、「浜の真砂は尽きるとも、世にギャンブラーの種は尽きまじ」という事でしょうか。やはり、一度その世界に手を染めれば、「額に汗するカネ」を地道に稼ぐなどは、バカバカしくて「やってらんないよ」という事になるのでしょう。

更にこうした世界は、有史以来、必ずインチキ、不正が入り込みます。
 最近も、インサイダー情報問題は後を絶たず、はてはLiborまで種々取りざたされるありさまです。
 この世界は、付加価値を作るのではなく、所得の振替(移転)のみの世界ですから、すべてゼロサムである事を考えれば、これはひどい話です。不正で得をする人がいれば、同額分損する人がいるのです。

 IFSを作って、巨大投資銀行をはじめとした世界の金融システム、ヘッジファンド、格付け会社などの行動、野放図なレバレッジやデリバティブを制限しようと言いながら、なかなか実効が上がらないのには「それなりの」理由があるのでしょう。
 実体経済こそが人類社会に役立つ経済という認識への回帰は遠く、まだまだギャンブルの種探しが続くのでしょうか。