tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

TPPとRCEP

2012年09月04日 07時55分02秒 | 経済
TPPとRCEP
 先日、アジアの十数か国の企業の中堅幹部の方々と経済発展の問題を中心に、経済活動における人間と資本の関係、マネー経済と実体経済(労働経済)、賃金決定(労働分配率)と経済成長、経済成長と為替レート、日本経済の成功と失敗などの問題を話す機会がありました。

 私の主張は、基本的はこのブログに書いてきたことがベースですが、その中で、日本経済は度重なる円高で、成長を担うべき企業の力が失われ、失われた20年を経験している。これからの日本は、繁栄するアジア経済が頼りだ、というようなことを言ったところ、
「アジアの繁栄から日本経済はいかにして裨益するのか」
といった質問がありました。

 「日本経済は疲弊しているが、まだまだアジアの皆さんの国々にお役にたてる多くの基礎技術、素材産業に関わる技術やノーハウ、社会的インフラ(含環境)の構築ソフト、労使関係や賃金決定、さらには、自らの失敗の原因を率直に語ることもできる・・・」などという話をし、協力、共益の立場で日本のビジネスチャンスは広がるだろうし、いま日本の企業は、国内でなく、アジアへの直接投資に益々真剣になっている」といった話をしました。

 アジアの方々には、極めて好意的に受け取って頂けたようですが、これも今まで、アジアにおいて日本企業が積み上げてきた実績の結果と心強く思った次第です。

 ところで、最近、TPP(環太平洋経済連携協定)とRCEP(東アジア包括的経済連携協定)が並べて論議され、TPPよりRCEPの方が進展するのではないかといった見方も多いようですが、この2つはどう違うのでしょうか。

 目指すところは基本的には共通部分が多く、最終的には、アジア太平洋地域の国々が、経済的に協力し合って、より繁栄する経済圏を目指そうというのでしょが、それでは何が違うのかというと、決定的に違うのは、RCEPはアジア主導でアメリカは入っていない、という事でしょう。

 アメリカはアジアの国々にとっても巨大市場ではあります。しかし、例えば、日本にとってみれば、アメリカが入っていなくてもRCEP内の貿易量の方が、TPP域内より2倍近く大きく、さらには拡大速度も大きいというのが現実です。

 アジア諸国にしてみても、力は強いが、経済は万年赤字でいつも海外からの金が欲しいアメリカよりも、大幅黒字の中国や、同じく万円黒字で人畜無害の日本と付き会っている方が安心できるというのが本心ではないでしょうか。

 かつて「TPPの胡散臭さ」でも指摘させて頂きましたが、アメリカ経済の本格的な立て直し(万年赤字脱出)が世界経済の安定と発展のためにも(もちろんアメリカ自身のためにも)必須だという事です。