tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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物価論議は実証分析をベースに その1

2013年05月27日 23時31分51秒 | 経済
物価論議は実証分析をベースに その1
 最近の消費者物価指数の動向をご覧になっておられるでしょうか。全国の先行指標と言われる東京都区部の数字は全国よりひと月早く25年の4月まで出ていますが、デフレ傾向はまだ止まっていません。

 都区部の4月は前月比こそ0.3パーセントのプラス(上昇)ですが、前年同月比では0.7パーセントのマイナスです。価格変動の大きい生鮮食品を除いた数字でも0.3パーセントの下落、1年前の昨年4月以降の各月とも一貫して0.5パーセント前後の下落です。

 つまりこうした動きは、未だに日本の物価水準は国際比較で見て高いから、グローバル化が進んでいる今日、国際的に見て高い国の物価は下がり続けるということなのでしょう。
 円安になりましたが、消費者物価で見る限りまだ相対的に円高のようです。

 日銀がインフレ・ターゲットとして言っている年2パーセントのインフレの達成について、日銀の内部でも、達成可能・不可能の論議があるように報道されていました。
 そうした論議がされるのも、物価というものが、金融政策でどうにでもなるといった「単純な貨幣数量説」のような考え方が未だどこかに残っているということの表れでしょうか。

 物価といってもいろいろあります。株価を物価だという人はあまりいないと思いますが、宝石や高級アクセサリー、骨董品などや、地価、マンション価格といったものも、言葉の定義上は物価でしょう。これらは、貨幣数量説で割合説明がつきやすいようです。

 以前このブログで「2種類の物価 」を書きましたが、物価には、主として値上がり待ちで買う物価と自分で日常生活に使うための物価の2種類があるのでしょう。
 日銀がインフレターゲットで言っている物価は、常識的に言えば、後者でしょう。つまり統計でいえば、「消費者物価指数」と言っていいのではないでしょうか。

 消費者物価の変動要因は大きく分けて2つあります。一つは、国際価格と国内価格の差(内外価格差)によるもので、よくあるのは原油その他の資源価格の高騰などで起きる、いわゆる輸入インフレです。その他、例は少ないですが、為替レートの設定が不自然なために、一国に物価が、国際価格にさや寄せする過程で起きる物価の変動、為替レートが低すぎればインフレ、高すぎればデフレです。

 プラザ合意後の日本のデフレはこれです。円高で日本の物価が上がり、それが国際価格に向けて下がるからです。この動きは国内物価が海外と同じになるまで続きます。
 国際化時代です、この物価変動は、貨幣数量説では必ずしも説明が付きません。(以下次回)