tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済再建を確実なものにするために

2013年05月24日 12時10分04秒 | 経済
日本経済再建を確実なものにするために
 株価は経済の先行指標という事になっています。いま日本の株式市況は活況です。乱高下もありますが、圧倒的に強気優勢でしょう。

 大変結構な話ですが、本当の問題は、この株式市況の活況が企業活動の活発化につながって、日本経済が着実なプラス成長に転じ、着実に増加した付加価値(GDP)が企業の利益と従業員の賃金に確りと分配されるというサイクルが、キチンと回り出したとき、初めて、景気は回復し始めたな、日本経済は再建の緒に就いたな、と言えるのでしょう。

 それを実行するのは他ならぬ企業(労使)です。このブログで、これからが、企業の出番 と言っているのはそのことです。
 
 この何か月かで円は対ドルで約2割下落しました。2割の円安は、日本の国内コストの2割低下を意味します。円で生活していれば、殆ど何も変わりません。変わるのは輸入品の値上がりぐらいです。輸入依存度は10~15パーセントですから影響は限られています。
 あとの85パーセントの分野では円安はコスト低下→「経営の余裕」となっています。

 この「余裕」が、日本企業の経営活動を活発にし、日本経済を本来の成長体質に回復させるだろうと予見し、企業、経済の将来を買っているのが今の株価高騰ということではないでしょうか。

 ならば、日本経済、それを構成する日本企業はそれに応えなければなりません。
 この余裕は飲み食いで楽しく使ってしまう事も出来ます。「賃上げ、インフレ」で円安を調整というのはその類でしょう。あとには何も残りません。

 一方、この余裕を、研究開発、優れた伝統技術技能の継承発展、人材育成、社会インフラ整備などに使うこともできます。これは、1年後、3年後、5年後、10年後、日本経済の活性化、着実な成長の実現という大きな成果となって帰って来るでしょう。

 日本人、日本社会が何を選ぼうとしているかは明らかです。後者でしょう。
 すでに日本経済は徐々に成長に動きつつあります。その成長の成果が配分されて雇用が増加し、賃金が増加するとき初めて永続する生活水準の改善が実現します。日本経済が成長体質を取り戻したということです。

 あえて付け加えれば、単なる円安による余裕発生の時点で(まだ経済成長が実現していないのに)その余裕を、賃金引き上げ 、消費拡大に使うことは、与えられた成長のチャンスを当面の享楽のために雲散霧消させることでしかないということです。