tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

TPPで日本がやるべきこと

2013年08月23日 14時52分48秒 | 経済
TPPで日本がやるべき最も大事なこと
 もう2年近く前になりますが、2011年の11月に「TPPの胡散臭さ」を書かせていただきましたが、ここに来てやっと日本もTPPに入れてもらえることになったようです。

 報道では、「日本が入れてもらうのにはいろいろ大変で、やっと全面的に入れてもらえることになった」みたいな言い方のものもありましたが、もともとアメリカにとっては、TPPとは日本に入ってもらわなくてはあまり意味がないものでしょう。

 アメリカはすでに日本との間で、いろいろな問題について、事前協議で日本の譲歩を引き出しています。
 例えば、自動車の対日関税率の引き下げは、最大限後ろ倒しするとか、保険の第3分野(がん保険など)についてはかんぽ生命は参入しないなどです。
 一方、日本はコメなどの聖域化などを望んだようですが、その辺りは一蹴されて、TPPの本来の意義である「聖域なき自由化」論議になっているようです。

 この辺りは、日米の交渉力の違いということでしょう。その背後には、日本はアメリカのお蔭で経済的繁栄を実現してきたといった日本の負い目があるのも事実でしょう。
 しかしそんなことばかり言っていると、いつまでたっても日本はアメリカの御意向を承らなければ、国としての政策も取れないということになり、日本人の対米不満も益々鬱積して日米関係に良くないのではないでしょうか。

 歴史を振り返れば、戦後のアメリカの占領政策は「日本に再び戦争をさせない」(第一次大戦後のドイツの例も考慮してでしょう)ということを第一義としたものでしょうから、戦争放棄、徹底した平和教育・民主主義教育だったのでしょう。
 戦後の日本を指導した人たちは、嘗ての札幌農学校のクラーク博士ではありませんが、純粋に理想主義的な人達が多かったと私も思います。

 真面目な日本人はそれを忠実に守り、平和と民主主義の実践者になったのです。予想以上の成果を上げたアメリカにとって、その徹底ぶりは些か行き過ぎで、今では「少しアメリカの軍事行動に役に立ってくれよ」ということになって来るのでしょうか。

 話がそれましたが、経済面においても、プラザ合意のような難題を「ハイハイ」とOKし、20年苦労しても、また経済力を取り戻しつつある日本を、何とかアメリカ経済に貢献させよう、もともとアメリカが守ってやってこその経済繁栄だから。という意識を持っていても不思議ではありません。
 戦後の力強いアメリカと違って、40年も経常赤字を続け、世界中に不義理をし、半ば堕ちた偶像(覇権国)のようになっているアメリカです。

 TPPで日本がアメリカに問うべきは、「アメリカ国民の自助努力なくしてアメリカ経済の健全化は不可能」「アメリカ自身が経済健全化の具体的な日程をTPPで示してほしい」ということではないでしょうか。
 そして、それを前提にして、日本は、出来るだけアメリカの経済健全化に力を貸す(アメリカへの恩返し)努力をすることでしょう。

 アメリカを「ゴリ押ししてくる上司」としてではなく、「力を貸して自立させる相手」として話し合いをしていくことが。今の日本に求められているのではないでしょうか。