tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円安・デフレ・雇用・賃上げ・年金問題と消費動向

2013年12月22日 15時21分18秒 | 経済
円安・デフレ・雇用・賃上げ・年金問題と消費動向
 前回のような統計分析やマクロ論では実感がわかないという方もおられましょう。個別論は苦手ですし、そういうケースもあるけど、そうでないケースもあるよ・・・、と言ったことにもなるので、気の進まない面もありますが、少し書いてみましょう。

 政府は、アベノミクスで景気が回復したのに賃金が上がっていないと言います。確かに統計上はそうです。しかし消費は明らかに伸びています。賃金が上がらなくても、消費が伸びているのです。何故でしょうか?

 テレビの報道番組では「株が上がった」「ボーナスが増えた」などいろいろな要因が消費を押し上げていることが解ります。消費を増やすのは消費者の気持のようです。
 たとえ賃金が上がっても、雇用不安が強まればそれは貯金に回ります。

 別の報道番組では、派遣労働で食いつないできたが、とうとう職も住居(企業の寮)も失った人が、NPOの支援で給料は安いが安定した職に就き、自力で部屋も借りて、徐々に家財道具も買い、生活に望みを持ち、結婚も考えるようになったといったものもありました。消費を安定的に増やすのは、雇用の安定、生活の安定感があってこそです。

 振り込め詐欺の報道でいつも不思議に思うのは何百万、何千万といった現金を持っている人が多いことです。
 多くの高齢者は、巨大な貯蓄を持ちながら使っていないようです。何故でしょうか。多分将来(老後)不安からでしょう。老後のためには3千万円必要などという評論家もいます。
 かつて、金さん・銀さんが放送会社から出演料を貰って「何に使いますか」と聞かれ『老後のために貯金します』と答えていたという笑い話のような実話がありました。

 消費税増税は将来不安をもたらします。しかしもともとは、消費増税を財源にして、年金財政を安定させ、国民の老後不安をなくするというのが趣旨だったはずです。
 消費税は直接税と違って、安定財源ですし、国民にとっても解り易い税金です。消費税の使途が適切なら国民の将来不安は薄れ、それこそが消費増につながります。

 企業に賃上げさせれば消費が増えるというのは、雇用不安や将来不安がないという前提での話でしょう。しかし無理な賃上げは、企業の収益減、インフレ(あるいはスタグフレーション)そして雇用不安につながるのが多くの国の現実の経験です。
 長期の円高デフレの中で、国民は労働組合も含め、本能的にそれを知っています。

 今政府の政策に必要なことは、「もう円高不況にはしない」と国民に約束し、デフレ不況脱却を国民が実感できるようにし、さらに内外政策での国民の政策不信、生活の将来不安を極小にしていくことです。すべては国民の安心感から始まります。