立法で雇用は改善しない
かつて、(労働の)経営参加をテーマにした国際シンポジウムで、北欧のある国の代表が「結婚を立法で幸せにすることは出来ない」といったのを覚えています。
労使関係を結婚に例え、いかに法律をいじってみても、立法措置で労使が信頼し合ったり協力したりするものではないという趣旨の発言でした。
今、非正規雇用問題が深刻な中で、政府やお役人は、雇用改善のためと称して派遣法を改正することに熱心です。マスコミも、それでは経営側に有利過ぎる、もっと働く側の事を考えるべきだ、などといった調子で、その動向を一生懸命追っています。
確かに製造業で派遣労働を認めたことが、派遣を増やしたとか、日雇い派遣が雇用を劣化させたとか、登録型は廃止せよ、とかいろいろ意見はあります。それぞれに自分の発言が社会正義に叶っていると考えているのでしょう。
しかし現実の世界はそれほど簡単ではなく、それぞれの雇用形態にはメリットとデメリットがあるのです。製造業で派遣を認めず、偽装派遣も徹底してなくしたら、日本の自動車メーカーの中には存続できなかったところも出たでしょう。
日雇い派遣で働く人の半分以上が、日雇い派遣は必要と答えているという調査もありました。
雇用制度というのは実は大変難しいもので、どんな法律を作っても、必ず光と影が出るのです。これが絶対良いなどというものは無いと思った方がいいでしょう。
それは、働く人自体の「自分はこういう働き方をしたい」という希望が極めて多様だからです。
端的な話が、誰もが正規社員になりたいかといえばそうではないのです。非正規で自由に働きたいという人の数は社会が豊かになると共に増えています。
兼業主婦(あまり聞きなれませんが)希望の人もいます。季節労働希望者もいます。学生の多くはパートが希望です。高齢者には、給料はともかく、週に2~3日手慣れた仕事をしたいという人も沢山います。
法律が、「そういう働き方はできません」というのが一番困るのです。いろんな働き方が選べるのが良い立法措置という事でしょう。
「どう決めたって、企業がそれを悪用する」という意見もありましょう。では、どうすればいいのでしょうか。
失われた20年に入る前、「ジャパンアズナンバーワン」といわれた時代、自ら非正規を選んで働く人たちが労働力人口の15パーセントぐらいいました。高齢者が増えていますから、今はもう少し多く20パーセント近いかもしれません。
現在、非正規労働者は労働力人口の35パーセントほどです。今の日本経済としての雇用能力(人件費支払能力)が不足なのです。非正規を減らそうとすれば(正規を増やせば)コスト高になって、人員整理や倒産が出る可能性が高くなります。
日本経済自体の「雇用能力」の不足をもたらしている不況の原因はプラザ合意による円高です。日銀の政策変更で、この4月、20円ほどの円安が実現しました。これから日本経済の正常化、プラス成長が始まれば、状態は徐々に改善されるでしょう。
大事なのは、日本経済の雇用能力(人件費支払能力)を増やして不本意に非正規で働いている15~20パーセントの人達の正規化を促進することです。
失われた20年の後遺症で少し時間がかかるでしょう。しかし雇用健全化の王道はこれしかないのです。もともと日本企業は正規雇用が好きですから経済成長さえ始まれば、着実に正規が増えるでしょう。
法律をいじくり回すよりも、政府は日本経済の早期活性化にエネルギーを集中的に活用することが今は最も大事です。あとは余計な世話をやかず、労使に任せればいいのです。
かつて、(労働の)経営参加をテーマにした国際シンポジウムで、北欧のある国の代表が「結婚を立法で幸せにすることは出来ない」といったのを覚えています。
労使関係を結婚に例え、いかに法律をいじってみても、立法措置で労使が信頼し合ったり協力したりするものではないという趣旨の発言でした。
今、非正規雇用問題が深刻な中で、政府やお役人は、雇用改善のためと称して派遣法を改正することに熱心です。マスコミも、それでは経営側に有利過ぎる、もっと働く側の事を考えるべきだ、などといった調子で、その動向を一生懸命追っています。
確かに製造業で派遣労働を認めたことが、派遣を増やしたとか、日雇い派遣が雇用を劣化させたとか、登録型は廃止せよ、とかいろいろ意見はあります。それぞれに自分の発言が社会正義に叶っていると考えているのでしょう。
しかし現実の世界はそれほど簡単ではなく、それぞれの雇用形態にはメリットとデメリットがあるのです。製造業で派遣を認めず、偽装派遣も徹底してなくしたら、日本の自動車メーカーの中には存続できなかったところも出たでしょう。
日雇い派遣で働く人の半分以上が、日雇い派遣は必要と答えているという調査もありました。
雇用制度というのは実は大変難しいもので、どんな法律を作っても、必ず光と影が出るのです。これが絶対良いなどというものは無いと思った方がいいでしょう。
それは、働く人自体の「自分はこういう働き方をしたい」という希望が極めて多様だからです。
端的な話が、誰もが正規社員になりたいかといえばそうではないのです。非正規で自由に働きたいという人の数は社会が豊かになると共に増えています。
兼業主婦(あまり聞きなれませんが)希望の人もいます。季節労働希望者もいます。学生の多くはパートが希望です。高齢者には、給料はともかく、週に2~3日手慣れた仕事をしたいという人も沢山います。
法律が、「そういう働き方はできません」というのが一番困るのです。いろんな働き方が選べるのが良い立法措置という事でしょう。
「どう決めたって、企業がそれを悪用する」という意見もありましょう。では、どうすればいいのでしょうか。
失われた20年に入る前、「ジャパンアズナンバーワン」といわれた時代、自ら非正規を選んで働く人たちが労働力人口の15パーセントぐらいいました。高齢者が増えていますから、今はもう少し多く20パーセント近いかもしれません。
現在、非正規労働者は労働力人口の35パーセントほどです。今の日本経済としての雇用能力(人件費支払能力)が不足なのです。非正規を減らそうとすれば(正規を増やせば)コスト高になって、人員整理や倒産が出る可能性が高くなります。
日本経済自体の「雇用能力」の不足をもたらしている不況の原因はプラザ合意による円高です。日銀の政策変更で、この4月、20円ほどの円安が実現しました。これから日本経済の正常化、プラス成長が始まれば、状態は徐々に改善されるでしょう。
大事なのは、日本経済の雇用能力(人件費支払能力)を増やして不本意に非正規で働いている15~20パーセントの人達の正規化を促進することです。
失われた20年の後遺症で少し時間がかかるでしょう。しかし雇用健全化の王道はこれしかないのです。もともと日本企業は正規雇用が好きですから経済成長さえ始まれば、着実に正規が増えるでしょう。
法律をいじくり回すよりも、政府は日本経済の早期活性化にエネルギーを集中的に活用することが今は最も大事です。あとは余計な世話をやかず、労使に任せればいいのです。