tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費税負担と税収

2016年01月22日 17時07分00秒 | 経済
消費税負担と税収
 1月19日の衆院予算委員会で、麻生財務相から、国民1人当たりの増税額について1万4000円から2万7000円に訂正する発言があったとの報道がありました。

 ちょっと計算してみますと、家計調査年報の最新は2014年で、総所帯の月平均消費支出は251,481円、これに1.10/1.08を掛けると256,138円で差額は4657円、12ヶ月ですから12倍して5万5884円、所帯人数2.41人で割ると1人当たり2万3188円となります。
 政府の当初の計算とはかなり違って、訂正後よりは少ない数字です。矢張り訂正前の数字には問題がありそうです。

 ところで、計算をやり替えて2万7000円に増えたというのは、今度は国民経済計算ベースにしたからということです。
 政府見通しによる平成28年度の民間最終消費支出は304.9兆円です。そのほか民間住宅15.6兆円にも消費税はかかるでしょうから課税対象の合計は320.5兆円です。再来年の経済見通しはないので一応これを使います

 これに上のように2パーセント増税分を掛けますと326.4兆円になりますから差額は5.9兆円、つまり2パーセント増税で5.9兆円税収増(国民には負担増)になります。政府の約束する軽減税率1兆円を差し引くと4.9兆円です

 一方、麻生さんの答弁のデータによれば、消費税を1パーセント増税すれば「軽減税率を見込んでも」税収は2.7兆円、2パーセントで5.4兆円増えるとなっています。
 上の計算とは、5000億円の差、つまり5000億円多く見積もっていることになります。

 前回の3パーセントの増税では税収は6兆円台の増加のようです。ベースが変わらなければ2パーセント増税では4兆円台でしょうか。統計の取り方や推計の方法はいろいろ可能ですが、何か楽観的過ぎるような気もします。

 最後に、国民1人当たりの負担増ですが、税収増を政府見積もりの5.4兆円とすれば、これを日本の人口1億2700万人で割ると国民1人当たり4万2519円になります。ここでの試算の4.9兆円でも3万8583円です。一方、政府のいう国民1人当たりの増税額(訂正後)2万7000円に人口の1.27億人を掛けても3.4兆円弱です。あとの2兆円ほどはだれが払うのでしょうか。
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 これはあくまでも限られた公表データから推計したものです。民間最終消費支出の太宗は家計が支出しているので、消費税のほとんどは家計が払っていると考えていますが、誤りがあればご叱正いただきたいと思います。