2016春闘、労使の論議は噛み合うか
新春早々に始まった国会では、アベノミクスの新3本の矢や、一億層活躍社会、GDP600兆円を目指すといった言葉も聞かれますが、東京株式市場は新年に入ってほとんど一方的な下げで日経平均は16,000円台にまで下がり、何か経済沈滞ムードが広がってきました。
日銀の黒田総裁は日本経済は回復基調といっていて、実体経済は多分その通りなのでしょう。しかし黒田バズーカ第3弾で、株価上昇を期待する向きには残念な状態です。
今年の春闘は、こんな状態の中で始まることになりそうです。
連合や傘下の産別労組などは昨年より低めの要求基準を示しているところも少なくないようです。これは昨年までの大幅円安による為替差益や、前年の消費税上昇の影響などが消えることを前提にした極めて良識的な要求だと感じた所です。
一方、1月中旬と言われていた経団連の「経営労働政策委員会報告」もそろそろでしょう。昨年12月の原案では2015年以上の賃金上昇を促すような内容と報道されていました。勿論個々の企業ではそれぞれの実態、支払能力によるということのようですが、非正規従業員の正規化や、非正規の賃上げにも言及など、前向きの感じを受けるものでした。
ところで、要求をあまり無理のないなものにとどめた労働側と、安倍政権の要請を受けてなどと言われる経営側の積極的な意見は、何か春闘の中で、巧く噛み合わないように感じる方も多いのではないでしょうか。
かつての高度成長期は、労働側が「昨年を上回る賃上げ」というのが一般的でしたが、何か労使の主張の逆転現象のような錯覚にとらわれます。
もちろん交渉の現場では、賃上げ要求する組合側に、そこまでは無理といった論議になるのでしょうが、安倍政権、財界、個別企業といったそれぞれの段階が、飾られたキャッチフレーズに踊らされず、現実を踏まえた真剣な論議を期待するところです。
おそらく、この年初からの株式市場の暴落状況は、実体経済とはかなり乖離してるものとはいえ、経営側にとっては、安易な賃上げは許されないのではないかという懸念を強めるのではないかと思われます。
「経営労働政策委員会報告」の最終案で、そのあたりは見えてくることになるのでしょうが、春闘は、まさに日本中の労使が、日本経済からわが社の現状までについての理解を共通なものにするための絶好の論議の場として機能してきた歴史があります。
この日本の労使関係の伝統が、十分に生かされるような、真剣で噛み合った論議が、2016春闘でも行われることを期待したいところです。
新春早々に始まった国会では、アベノミクスの新3本の矢や、一億層活躍社会、GDP600兆円を目指すといった言葉も聞かれますが、東京株式市場は新年に入ってほとんど一方的な下げで日経平均は16,000円台にまで下がり、何か経済沈滞ムードが広がってきました。
日銀の黒田総裁は日本経済は回復基調といっていて、実体経済は多分その通りなのでしょう。しかし黒田バズーカ第3弾で、株価上昇を期待する向きには残念な状態です。
今年の春闘は、こんな状態の中で始まることになりそうです。
連合や傘下の産別労組などは昨年より低めの要求基準を示しているところも少なくないようです。これは昨年までの大幅円安による為替差益や、前年の消費税上昇の影響などが消えることを前提にした極めて良識的な要求だと感じた所です。
一方、1月中旬と言われていた経団連の「経営労働政策委員会報告」もそろそろでしょう。昨年12月の原案では2015年以上の賃金上昇を促すような内容と報道されていました。勿論個々の企業ではそれぞれの実態、支払能力によるということのようですが、非正規従業員の正規化や、非正規の賃上げにも言及など、前向きの感じを受けるものでした。
ところで、要求をあまり無理のないなものにとどめた労働側と、安倍政権の要請を受けてなどと言われる経営側の積極的な意見は、何か春闘の中で、巧く噛み合わないように感じる方も多いのではないでしょうか。
かつての高度成長期は、労働側が「昨年を上回る賃上げ」というのが一般的でしたが、何か労使の主張の逆転現象のような錯覚にとらわれます。
もちろん交渉の現場では、賃上げ要求する組合側に、そこまでは無理といった論議になるのでしょうが、安倍政権、財界、個別企業といったそれぞれの段階が、飾られたキャッチフレーズに踊らされず、現実を踏まえた真剣な論議を期待するところです。
おそらく、この年初からの株式市場の暴落状況は、実体経済とはかなり乖離してるものとはいえ、経営側にとっては、安易な賃上げは許されないのではないかという懸念を強めるのではないかと思われます。
「経営労働政策委員会報告」の最終案で、そのあたりは見えてくることになるのでしょうが、春闘は、まさに日本中の労使が、日本経済からわが社の現状までについての理解を共通なものにするための絶好の論議の場として機能してきた歴史があります。
この日本の労使関係の伝統が、十分に生かされるような、真剣で噛み合った論議が、2016春闘でも行われることを期待したいところです。