tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

低下する平均消費性向

2016年09月19日 12時39分15秒 | 経済
低下する平均消費性向
 消費不振が言われます。政府や評論家の中には、賃金が上がらないからという人も多いのですが、賃金、ここでは正確には勤労者家計の可処分所得という事になりますが、家計の所得が増えても、それがダイレクトに消費の増加に繋がるとは限らないという問題もあります。

 繰り返して触れてきていますが、収入が増えても、将来不安があると、家計は消費を控えて貯蓄に回します。多くの方が現にそうしておられます。そして、統計上それが示されるのが、総務省の「家計調査」の中の「平均消費性向」という数字です。

 こうした統計には、直接なじみがない方も多いかと思いますので、細かいことになってしまいますが、最近の家計調査の中の「平均消費性向」の動きをグラフにして載せてみました。


 現実の動きはこんな状況です。

 一見して「あれ」と思うのは「3の所の青色の柱」が突出して高いことでしょう。これは、2013年の3月です。すぐお解りと思いますが、消費税増税の直前の月です。統計は正直です。

 この時は特別ですが、8月-翌年7月(最新の統計が今年の7月までですのでこうなりました)のサイクルで、ここ3年間の動きを見ますと、例外的に5月のように年々上昇している月もありますが、ほとんどの月は毎年下がっています。特に今年の6、7月は顕著です。

 8月、9月の統計が発表になった時どういう動きになるかですが、この動きが変わってこないことには消費の改善は期待できません。

 日本の官庁統計の信頼度は国際的にも高いと言われます。統計は現実を正直に語ります。その現実の動きがいかなる理由によるものか、統計を見て、皆様の頭の中にあるビッグデータと照らし合わせて、理由を分析し、将来を予測するというのも、時に面白い作業です。