tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

何故円安で株高、解ったようで・・

2016年11月24日 14時49分45秒 | 経済
何故円安で株高、解ったようで・・
 北から強力な寒気が南下したという事で東京も朝から雪です。東京で11月の降雪は50何年振りとか。都下国分寺では正午には場所によりますが、3~5cmの積雪でしょうか、 本格的な降雪に驚きます。異常気象はいろいろな形でやってきます。

 反対に、今日も株式市場は熱い様です。先週から連続して上げていて、「モウはマダなり」がいつまで続くのかわからない状態です。
 原因は言わずと知れた円安でしょう。トランプさんが次期アメリカ大統領に選ばれてから、なぜか円安。世界中が「アメリカ経済が強くなる」と信じているのでしょうか。

 それはそれとして、今日の問題は、日本の株価は「円安になると無条件に上がる」という現象がなぜ起きるかです。

 確かに輸出産業にとっては、ドル建てなら、黙っていても円安分だけ円建てコストは安くなり、利益は増えます。
 しかし、株価が上がっているのは輸出産業だけではありません原材料を輸入している電力やガスその他の輸入原材料依存の企業でも株価が上がります。

 円安は、輸出産業には有利で、原材料輸入産業には不利、というのが一般的な説明ですが、株価はそうでもないようです。
 この説明には色々なものがあるでしょうけれども、日本経済トータルで見ると、やはり圧倒的に円安が有利というのが本当の所でしょう。

 このブログでもかつて円高になって、日本経済が大変苦労したことは繰り返し書いてきましたが、円安では、当然その逆が起きるわけです。

 その理由というのは、円安になると日本経済のコストも価格(物価)もドル価格では一律円安分だけ下がります。輸入コストはドル建てで円安分だけ上がりますが、輸入は日本経済の14%(2015年)ほどです。

 10%円安になったとしますと、ドルで見れば日本のコストの水準は10%下がり、輸入物価の水準は同じ、円で見れば、輸入物価の水準は10%上がって国内のコスト水準は変わらずとなります。

 国内で輸入物価上昇によるコスト増加分を全部消費者物価に転嫁しても10%×0.14=1.4%の上昇ですがドル建てのコストの方は10%×1.0=10%下がります。
 この分は輸出産業の利益になり、また、輸入品が高くなりますから国産品が有利になり国内市場でも国産品のシェアが高まり多くの企業で売上や利益が増えます。
 外国人には日本旅行のコストも下がり、訪日外国人が増え、爆買いも発生します。

 問題は、円安による利得は、先ずは、ほとんど企業において発生し、国内で生活する日本の消費者には、輸入物資の価格上昇で電力、ガス料金、パンやうどんが値上がりするといった輸入インフレが懐に影響するという事になることでしょう。

 日本全体では圧倒的にプラスが大きいのですが、その配分は均等ではありません。逆に円高の時は、消費者は得をし、企業がひどいことになりました。そして次第に企業の苦しさが雇用・賃金にしわ寄せされ、日本中が大不況に苦しみました。

 安倍さんは、「だから賃上げを」というのでしょう。しかし、労使がともに動きません。現実の経済現象には 色々な原因があるようです。