tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

来年度(平成29年度)の政府経済見通しを見る

2017年01月02日 12時41分45秒 | 経済
来年度(平成29年度)の政府経済見通しを見る
 平成29年になったところで、4月に始まる「平成29年度」の日本経済について、政府がどんな見通しをしているのか(2016/12/20発表)を見ておきましょう。
 <GDP成長率>
28年度実績見込み 名目1.5% 実質1.3%
29年度見通し   名目2.5% 実質1.5%
 <民間消費支出>
28年度実績見込み 名目0.4% 実質0.7%
29年度見通し   名目1.6% 実質0.8%
 <民間企業設備> 
28年度実績見込み 名目1.3% 実質2.1%
29年度見通し   名目4.8% 実質3.4%

 ご承知のように、名目と実質の差は、対応する物価の変化率ですから「経済成長率」は来年度は名目で今年より1ポイント高くなりますが、物価が上がるので実質は0.2%の上昇にとどまるという見通しです。インフレを伴う景気の微弱な上昇でしょうか。

 これを支えるのは民間消費と、企業の設備投資です。ここでは書いていませんが、民間住宅投資は来年度は低調との見方です。(マンション建設一段落?)
 しかし民間消費の方は伸びは低調で、景気をリードするのは企業の設備投資という事になっています。よほど企業業績が良くなるとみているのでしょうか。

 気になるのは、政府は来年度になると、物価がかなり上がると見ている点です。資源価格の上昇による輸入インフレ予想でしょうか、本当のことを言えば、資源のない日本にはこれは痛手です。政府は物価さえ上がれば景気にはプラスと見ているようです。

 貿易・サービス収支は5兆円ほどの黒字で、特に海外からの投資収益も含めた経常収支は24兆円の黒字です。

 <GDP(国内総生産)>は554兆円ですが、海外で稼いだ分も入れた<国民総所得>は574兆円で、こちらの方が日本の実力で、これは名目で2.7%、実質で1.7%伸びる見通しです。
 問題はいつも述べますように、24兆円の経常黒字分が使い残されているという事です。日本はいつも黒字だという事で、何かあると円高に振れ、経済運営をやりにくくします。
 一方政府は1000兆円を超える債務を背負っています。日本自体は大幅黒字、けれども日本政府は大幅赤字という日本独特のねじれ現象(?)が、そろそろ問題になって来る様に感じられます。