tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

問われるアメリカの良識、そして日本も

2017年12月11日 12時38分18秒 | 国際関係
問われるアメリカの良識、そして日本も
 12月の6日に「世界を困らせる(?)トランプさん」と書きましたが、「エルサレムをイスラエルの首都と認定」の発言以来、アラブ世界の反発は勿論ですが、ヨーロッパ主要国を含め、多くの国から、「そうした発言は認められない」といった意見が表明されました。

 そして「やっぱり」という事になりました。北朝鮮が、トランプ発言に強く反応し、「国際世論を無視するならず者国家」といったこれまでアメリカが北朝鮮に向けて言った言葉を、そのままアメリカに返すことになりました。

 さらに北朝鮮は、アラブとの連帯まで言っていますが、これがどうなるかは別として、今回のアメリカに対する北朝鮮の非難は、それ自体としては合理性を持つものだという所が最大の問題のような気がします。

 北朝鮮は、度重なる国連決議を無視して、核・ミサイル開発に邁進し、その成果を世界に誇示して、アメリカが主導する北朝鮮への圧力強化に何とか対抗しようとの姿勢を崩していません。

 こうした状況の中で、アメリカは特に中国、ロシアに対して、さらなる圧力強化を言っているのですが、そのアメリカが、今回のトランプ発言で、自らも国連決議を無視することになってしまったという事ではないでしょうか。

 ご承知のように、1980年国連総会は「エルサレムをイスラエルの首都というエルサレムの決定は無効」を決議し(反対はイスラエルのみ、アメリカは棄権)、安全保障理事会は「国連加盟国はエルサレムに大使館等を置いてはならない」との決議を可決(アメリカは拒否権行使せず)しています。

 こういう状況の中で、トランプ大統領が、「自分は選挙の公約に忠実だ」と言いたかったのでしょうか、エルサレムはイスラエルの首都、アメリカ大使館をエルサレムに」という発言は、あまりにタイミングが悪すぎます。

 国連や安保理決議を北朝鮮に「守れ、守れ」と圧力をかける一方、アメリカは自ら国連、安保理事会決議を無視し」北朝鮮と同じレベルに降りて行ったのです。
 北朝鮮の非難に対しても反論のしようがないでしょう。

 これからの問題はアメリカ自体が、このトランプ発言をいかに収拾するかでしょう。アメリカの良識が問われます。
 そして、日本はどうするのでしょうか、安倍政権も、その思想・理念の根本が問われているという事でしょう。