tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

OJTのすすめ:育て合う人間関係

2018年02月24日 13時17分46秒 | 経営
OJTのすすめ:育て合う人間関係
 ブラック企業などという言葉が横行する今の日本の企業社会では、従業員教育訓練用の用語などは死語になっていしまっている所もあるかもしれませんが、経済復活の兆しが見えて来る中で、そろそろ教育訓練用語も、職場で共通用語として復活してきてほしいと思っています。

 先ず取り上げたのは「OJT」On-the-job Training です。
 かつては日本企業の教育訓練は80%はOJT、などと言われたものですが、「ああ上野駅」に歌われるように、戦後全国各地から産業集積地に出てきた若者が、当時の中小企業に就職し、ついには「現代の名工」などと讃えられるようになるといった多くの例が生まれたのも、まさにOJTの成果でしょう。

 On-the-job、仕事の現場で、先輩が仕事をしながら教えてくれるというやりかたがOJTです。
 英語ですから、発祥はアメリカで、第一次大戦で造船の仕事が忙しく、技能工養成が急務という中で生まれたのだそうですが、戦後日本では、日本なりに、職場の緊密な人間関係の中で育ったようです。

 日本でもこんな言葉は有名です。
「やって見せ、言って聞かせて、やらせてみ、褒めてやらねば、人は動かじ」(山本五十六)
 OJT開発者のチャールズ・アレンも「やって見せる→説明する→やらせてみる→補修指導」の4段階と言っていますが、違いは「褒めてやる」か「補修指導」かだけです。

 日本人だけではないと思ますが、仕事を覚えると人に教えたくなるものです。特にグループワークを得意とする日本人はそうかもしれません。

 実は「教える」という事は自分の理解を整理・促進する効果のまるようです。ある本にこんなことが書いてありました。
 教授が学生にある理論の説明をしていた。一回説明、学生ポカン。二回目懇切に説明、学生ポカン。三回目さらに一生懸命説明している時、その理論の意味を教授自身が理解した。

 山本五十六も教えながら、「人にものを教えるという事は大変なことだと学んだのでしょう。教えることは教えられることでもあるようです。
 こうしたプロセスが積み重ねられて、職場の人間関係は深まり、組織の凝集力が高まるのです。

 アレンのOJTの4段階もその後、TWIに発展し、戦後日本に導入されて、労働省が全国に広め、監督者訓練のバイブルになりました。その後の日本の産業訓練は、監督者向けのTWI,管理者向けのMTP を両輪に発展してきています。これらはOJTではなく、Off-JTです。

 こうした言葉が、職場の中で、当たり前に飛び交うようになると、日本の企業内訓練、産業教育も本格化という事になるのではないでしょうか。
 現場力の強化、人を育てられる人材の育成が、これからの日本を支えるでしょう。