tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

当面の景気はピークを過ぎたか:日銀短観

2018年10月02日 12時42分06秒 | 経済
当面の景気はピークを過ぎたか:日銀短観
昨日、9月時点の調査の日銀短観が発表になりました。結論から言うと、景気はピークを過ぎたかなといった感じです。
 勿論、異常事態でも起きない限り、世界経済は多様性はあっても総体的には安定上昇基調の中にあるようですから、日本の場合もこのまま景気が下降を続けると考える必要なないのでしょうが、当面不安定要因が多すぎ、企業は慎重の度をいくらか強めているという所ではないでしょうか。
 
 短観の最初の表を見ますと、こんな状況です。



  景気を主導する大企業の数字では、「良い」企業の割合から「悪い」企業の割合を差し引いた結果は、製造業では、6月調査の21から19に2ポイント減り、非製造業では24から22への同じく2ポイント減っていますが、先行き(3か月後)については横ばい、つまり現状程度で推移するという見通しになっています。

 中堅企業では、同じように見て来ますと、製造業が20から15ㇸ5ポイント減、先行きについても2ポイント減、非製造業では20から18に2ポイント減、先行きは3ポイント減となっています。

 中小企業では、製造業が14から14で変わらず、先行きは3ポイント減、非製造業は8から10へ2ポイント改善、先行きは5ポイント減となっています。

 先行きは慎重に見る傾向があることなどを勘案すれば、景気は、昨年来のピークは過ぎましたが、現状維持程度の状況は大方の視野の中という事ではないでしょうか。
 ただ、トランプさんのツイッターが突然どんなことを言い出すかといった不安は常に付きまとい、NAFTAの再交渉は、名前を変えて当面収まったという状況ですが、米中関係は、お互いの意地の張り合いから今後さらにこじれる可能性もあり、日本企業へのとばっちりも当然予測されるでしょう。

 さらには、日米間の貿易問題も、安倍さんは当面影響が出ないように確約した(交渉中が自動車の関税は上げないなど)とニコニコ顔ですが、トランプさんは、トランプさんで、日本は巨額の防衛装備品を買ってくれると国内向けには成果を自慢しています。

 FRBの金融正常化の方向が示され、当面為替は円安の方向に動いますが、FRBとホワイトハウスの確執も予断は許されないでしょうし、世界的に安定志向で改善状態にある経済に政治が波風を起すといった状況は続きそうです。

 11月のアメリカの中間選挙の結果でどうなるかも皆目わからないところで、経済にとっては困った政治家が多くなったという所が景気の最大の問題点かもしれません。
ポピュリズム化した民主主義の結果かもしれませんが、折角よくなってきている世界経済をもっと大事にしてほしいものです。