tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

産油国アメリカの現状

2018年10月03日 16時02分47秒 | 国際経済
産油国アメリカの現状
 アメリカがサウジを抜いてロシアに次ぐ産油国になったという記事があったので、ちょっと興味を持って調べてみました。

 以前アメリカのシェールオイル・ガスなどの生産額がどのくらいの規模のものか調べてみましたら、GDPの5%ぐらいになるといった数字があり、嘗てはアメリカの経常赤字がGDPの4~5%でしたので、 丁度赤字を消すぐらいの規模だとびっくりしたことがありました。

 その後アメリカは韓国や日本にLNGなどを輸出するようになったようですが、ロイターによれば、2016年まではゼロだった中国輸出が今年1月には日量40万バレル、10億ドルと報道されています。
 12ヶ月にすれば120億ドルですから、かなりの額でアメリカの対中国貿易赤字(4000億ドルほど)の緩和にどんな役割を果たすのでしょうか。

 そこで、ついでにアメリカの、原油、石油関連製品の輸出の統計を見てみました。
 U.S. energy information administration 発表の資料ですが、それまでずっと横ばいだった数字が2005年あたりから伸びはじめ2010年以降は急速な伸び昨年は2005年の6倍になっています。



 アメリカの貿易収支の赤字が異常な大きさなので、2018年に入っての貿易赤字の縮小は見られるものの、まだまだトランプさんの活躍が必要なのかもしれませんが、アメリカが世界一の産油国になるかもしれないといった可能性は、トランプさんの貿易戦争に今後影響して来るかといったことも起こりうるかもしれません。

 先月、日本の国際収支の構造変化を取り上げましたが、アメリカは、サービス収支と第一次所得収支は、万年黒字の状態です。
 本当は、この万年黒字で経常収支全体の黒字を維持すべきなのでしょうが、消費中心の経済成長路線が行き過ぎて、消費し過ぎになり経常赤字、借金国家に転落ということになったのでしょう。

 逆に日本は、消費の不振が経済の足を引っ張って、思うように成長しないという現状ですが、アメリカは消費に行きすぎ、日本は消費過少(貯蓄に行きすぎ)、という形のようで、中庸を保つというのはなかなか難しいのかもしれません。