tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日米貿易交渉は纏まったようですが・・・

2019年09月26日 17時09分25秒 | 国際経済
日米貿易交渉は纏まったようですが・・・
 日米貿易交渉は何とか共同声明に漕ぎ着け、政府筋からは、TPPの範囲内で収まった
いった解説がされています。
 アメリカではトランプ大統領が、農業団体を集めて、日本は70億ドル分の農産物の市場開放をする報告、出席者から、賛辞やお礼の発言があったそうです。

 コメの輸入枠設定などではアメリカの譲歩もあり、自動車の関税問題は当面いじらない、といったことで、日本側は当面ほっとしたところでしょうか。
 アメリカの報道では農業者も納得したようですが(賛辞やお礼は「さくら」発言かも・・・)、先行き何が起こるかわからないにしても、一応無難な幕引きだったということでしょう。

 それならアメリカは何でTPPを離脱してわざわざ二国間交渉を選んだのかというむきもあるようですが、やはりトランプさんは、みんなで一緒にというのはお嫌いということでしょうか。

 まあそれで結果がよければいいのでしょうが、これまでの実績を見てみますと、ほとんど、トランプさんの望む成果は出ていないといった方がいいような状態です。
  
 先ずはアメリカの貿易収支ですが、トランプさんの就任する1年前の2016年から2017年18年と赤字幅を増やしていますしペースも速まっています。2019年はまだ出ていませんが、傾向は変わりそうもありません。

 序でに財政収支を見てみますと、2017、2018、2019年(予算年度)と財政赤字の増加はペースを速めています(米予算局)。2019会計年度の財政赤字は対前年度比15%増加ということで、勿論、対GDP比も上昇です。

 財政収支の悪化には、トランプ減税の影響の大きいようですが、減税で消費が拡大して、人気は出ても、その分は、財政や貿易の赤字の増加になっているという実態は明らかでしょう。

 つまり、ポピュリズムの政治という意味では政治的にはそれなりの人気は出るしにしても、経済や財政の内実は経済原則に従うということでしょう。

 レーガン減税の時は、財政と貿易収支の「双子の赤字」削減のためプラザ合意で日本を長期不況に陥れ、その後、サブプライム・ローンで景気を保たせた後は、リーマン・ショックで、世界中の金融機関(結局は各国経済)に大迷惑をかけるといったことの、新バージョンでの繰り返しの方向に向かっているのではといっても、あながち否定できない状況のように思われるのです。

 当今の政治は、当面はポピュリズムでも動きますが、実態経済は、ツイッターや人気の演出では動きません。少し長い目で見ると、かなり怖い気がします。